地方公務員給与の不適切な支給実態の改善を目的として、毎年出版してきた総務省の報告書「地方公務員の給与とその適正化」が今年から廃止されることが24日、明らかになった。
総務省は、「販売数が少なく、予算など諸事情により刊行を取りやめることにした」と説明するが、地方公務員給与のあり方が問われる中での突然の廃止とあって、「国民を実態から遠ざける結果になり、時代に逆行している」(関係者)と批判の声も上がっている。
同書は、旧自治省時代の1977年に刊行が始まり、現在は総務省自治行政局公務員部給与能率推進室が作成している。各自治体への配布のほか、市販もされており、毎年約1000部が売れているという。最新の2003年版(04年9月刊行)は計390ページ、3100円。
最新版では、国が実施している「55歳昇給停止制度」について、03年4月現在で、大阪市が59歳まで、宮城、茨城、兵庫、長崎など10県は58歳まで職員の昇給が続いていると指摘。市区町村を合わせると、全国で2002の自治体で55歳以上の昇給を確認した。
地方公務員の各種手当も、「時間外勤務手当を事実に関係なく一律支給」「特殊性が認められないにもかかわらず特殊勤務手当を支給」など、自治体名は伏せながらも不適正な支給の実態を認めている。退職時に基本給を引き上げて退職金を上乗せする「退職時特別昇給」の制度も、早期改善を求めている。
(2005年5月25日3時11分 読売新聞)
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