石川県ロケのある映画はかなりあるけど、これはなかなか代表作とならない・・・なぜだ?
監督:浦山桐郎(『キューポラのある街』など)
出演:浜田光夫 和泉雅子 小池朝雄 etc.
日活作品
15歳の若枝(和泉)と21歳の三郎(浜田)との純愛物語を基本として、親のだらしなさと貧しさにより非行に走り、周囲の影響でさらに事態が悪化していく様子を描く。そして、更正施設のおかげで立ち直り、自立の道へと進む・・・といった内容の映画です。
「だら」「だらくさ」その他金沢弁がいっぱい(「だら」とは「ばか」「あほ」の意味)。しかも役者さんたちが皆上手いんです。金沢や内灘を中心としたロケで、懐かしい風景というより、今はもうない風景ばかりが映し出される。唯一わかるのは内灘の米軍試射場跡と浅電沿線の河北潟や浅野川。最後に登場する金沢駅は特に懐かしいし、昔の丸越百貨店にも胸打たれる。そうか、浜田光夫はここでブローチを買っていたんだな・・・
『キューポラのある街』でも貧しい家庭という設定でしたが、この作品でも似たような状況。しかし、主人公は吉永小百合と和泉雅子とを対照的に描いている。すなわち、不幸な境遇だからといってグレることなく明るく働く少女とグレてしまった少女。どちらかといえば、本作のほうが実際に起こりうる少女の心理ではないでしょうか。そして、高度成長期における都会と田舎の差も・・・その重要な役を若干15歳のお嬢様が演じるのでは雰囲気が伝わらないと、監督は和泉に風呂禁止、洗髪禁止、母親の付き添い禁止、演技にダメだしという徹底したイジメを加え、本人からも嫌われるよう仕向けたらしく、和泉の眼の奥から憎むようなほどの演技がとてもリアルなのだ。そのリアル志向は養鶏場火災にも表れ、実際に大量のニワトリが死んでしまったほどらしい。今、こんな火災を撮ったらクレームだらけになることでしょう・・・
三郎という青年の設定も興味深いのです。兄が町会議員なので反感もあるけど、自力で生きていくことを決意するという展開。その相手が村民から冷たい目で見られていた若枝なのだ。非行に走らせるような周囲の悪も徹底していて、いかにその苦境から正しく抜けられるかも見所の一つ。その手助けとなる更正施設の教師たちも素晴らしかった。
特記すべきは、映画の中に内灘闘争が描かれていること。1950年代朝鮮戦争時に米軍が日本で生産される砲弾の性能検査をするために金沢近郊の内灘砂丘が選ばれ、その基地に反対する住民闘争。詳細には描かれてないものの、米兵がうろちょろしている貴重なシーンがあった。
監督:浦山桐郎(『キューポラのある街』など)
出演:浜田光夫 和泉雅子 小池朝雄 etc.
日活作品
15歳の若枝(和泉)と21歳の三郎(浜田)との純愛物語を基本として、親のだらしなさと貧しさにより非行に走り、周囲の影響でさらに事態が悪化していく様子を描く。そして、更正施設のおかげで立ち直り、自立の道へと進む・・・といった内容の映画です。
「だら」「だらくさ」その他金沢弁がいっぱい(「だら」とは「ばか」「あほ」の意味)。しかも役者さんたちが皆上手いんです。金沢や内灘を中心としたロケで、懐かしい風景というより、今はもうない風景ばかりが映し出される。唯一わかるのは内灘の米軍試射場跡と浅電沿線の河北潟や浅野川。最後に登場する金沢駅は特に懐かしいし、昔の丸越百貨店にも胸打たれる。そうか、浜田光夫はここでブローチを買っていたんだな・・・
『キューポラのある街』でも貧しい家庭という設定でしたが、この作品でも似たような状況。しかし、主人公は吉永小百合と和泉雅子とを対照的に描いている。すなわち、不幸な境遇だからといってグレることなく明るく働く少女とグレてしまった少女。どちらかといえば、本作のほうが実際に起こりうる少女の心理ではないでしょうか。そして、高度成長期における都会と田舎の差も・・・その重要な役を若干15歳のお嬢様が演じるのでは雰囲気が伝わらないと、監督は和泉に風呂禁止、洗髪禁止、母親の付き添い禁止、演技にダメだしという徹底したイジメを加え、本人からも嫌われるよう仕向けたらしく、和泉の眼の奥から憎むようなほどの演技がとてもリアルなのだ。そのリアル志向は養鶏場火災にも表れ、実際に大量のニワトリが死んでしまったほどらしい。今、こんな火災を撮ったらクレームだらけになることでしょう・・・
三郎という青年の設定も興味深いのです。兄が町会議員なので反感もあるけど、自力で生きていくことを決意するという展開。その相手が村民から冷たい目で見られていた若枝なのだ。非行に走らせるような周囲の悪も徹底していて、いかにその苦境から正しく抜けられるかも見所の一つ。その手助けとなる更正施設の教師たちも素晴らしかった。
特記すべきは、映画の中に内灘闘争が描かれていること。1950年代朝鮮戦争時に米軍が日本で生産される砲弾の性能検査をするために金沢近郊の内灘砂丘が選ばれ、その基地に反対する住民闘争。詳細には描かれてないものの、米兵がうろちょろしている貴重なシーンがあった。
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