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響 -HIBIKI-

2018-09-27 18:34:05 | 映画2018

 響のビキニは見れない。

 「新潮45」(新潮社)が休刊を発表した。原因は水田水脈代議士による性的マイノリティを「生産性がない」とLGBT差別を載せた記事、及びその批判への擁護・反論を特集記事を掲載したことによるものだ。この映画(原作はマンガ大賞を受賞)の設定がまるで時期を合わせたかのように公開されたのも興味深い。昨今、LGBT差別、セクハラ、パワハラが大きくマスコミに取り上げられているし、作品中にもセクハラシーンがあり、それを許さない主人公響(平手友梨奈)が芥川賞作家の顔面に蹴りをいれるのも面白い。暴力は許されるものではないが、言葉の暴力に対して非力な15歳の女子高生が真っ向から立ち向かう姿に爽快感を覚えた観客も少なくないはずだ。

 物語の核は、一風変わった女子高生響が大人の社会のルールに縛られることなく、自分の主張を貫き通すといったもの。文芸雑誌の新人賞に応募、とはいえ、受賞したいという俗的なものではなく、誰かに自分の小説を読んでもらい、感想を聞きたかっただけと平然と語る響。それが編集部の花井(北川景子)の目に留まり、ネット公募にもかかわらず自らデータ化して応募させる。やがて、新人賞を獲ることになり、それが芥川賞ノミネートへと突き進むことになるのだ。本人は受賞というものに全く興味がなく、ただ読んでもらって人を幸せにできるならいいという考え。そこが天才たる所以なのか、観ていて気持ちがいい。

 相手が自分の尊敬する作家であろうが、初対面でも敬称無し。天才的な文章力があるにもかかわらず、挨拶もろくにできない、社会生活には不向きな人格なのだ。何度も暴力沙汰を引き起こしても、被害者に謝り、彼女のまっすぐな性格により和解する。一方で、話題の女子高生小説家のそうした暴露記事を書こうと躍起になるゴシップ記者に対しても、世間に謝る必要はなく本人に謝れば済むという感覚の持ち主でもある。そこには大人社会のルールを無視するというより、どこか根底に少年法により守られているという信念さえ感じられるのです。ただし、最終的には鉄道会社からの損害賠償請求を受け入れるというエピソードがあり、法律は順守している一面もある。

 大人社会、とりわけ政治家の失言や差別発言が目立ってる世の中。ネットの中でも批判している人間はかなりいるのですが、これがマスメディアに取り上げられてもそのうち沈静化し、「解決した」とされてしまう。この響のような人間が暴力ではなく、ペンの力で立ち向かっていってくれればと願うばかり。そして、小栗旬演ずる売れない作家とのエピソードもなかなか良いのですが、わずか少数の人間が評価していることで自殺を思いとどまるほど満足できるのかどうか、もしかしたら伝説的W受賞少女に出会えたことに幸せを感じただけかもしれません。

 主人公の暴力性を批判するレビューも見受けられるのが気になりますが、文学少女×アクションといった設定が面白いのであって、ここから暴力を取り除いたら全く魅力のない映像作品になってしまいますよね。むしろ、腐った大人社会に立ち向かえ!とエールを送りたくなる痛快な作品でした。


★★★★・

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