弁理士近藤充紀のちまちま中間手続13
拒絶理由 進歩性
引用文献1には、本願発明の金属Aの化合物に該当する・・・化合物、本願発明の金属Bの還元性化合物Rに該当する・・・含有化合物、本願発明の酸化剤に該当する活性水素を有する化合物を使用して触媒を製造することが記載されているから、本願請求項1の発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものといえる。
意見書
引用文献1には、・・・化合物と、還元能力を有する・・・含有する化 合物と、特定の・・・を含む水添用の触媒が開示され ている。また、引用文献1には、その・・・行に、メタノー ル等の種々の活性水素を有する化合物で失活させることが記載されている。
しかしながら、このような化合物による失活対象となっているのはリビングアニオン重 合で得られたリビング重合体であり、本願のような金属Aとの反応後に残留する還元性官 能基に対してではない。具体的には、例えば、引用文献第12頁右上欄の参考例8には、 オートクレーブ中にシクロヘキサン、スチレンモノマーおよびn-ブチルリチウムを加え て重合させて得られたリビング重合体溶液をメタノールで失活させることが記載されてい る。そして、・・・には、このようにした得られたリビング重合体と 、メタロセン化合物とを混合して水添触媒が構成されることが記載されている。他の参考 例および実施例についても同様である。すなわち、引用文献1では、メタノール等により リビング重合体を失活させ、この後に金属化合物を加えている。
したがって、本願発明のように、還元剤による金属の還元後に、残存する還元性官能基 を中和する工程は、引用文献1には記載されておらず、そのような工程を示唆するような 記載もない。当然、酸化剤Oによって還元剤Rの還元性官能基を中和により除去し、これ により、全体の触媒性能が低下されることを防止することができるという本願発明の効果 についても記載されていない。
以上の次第で、本願請求項1は、還元剤による還元後の触媒に対して、中和反応を 行うことにより、残存する完全性官能基を除去する工程を行うものである。このような工 程は、引用文献1~2のいずれにも記載がなく、引用文献1および2を組み合わせたとし ても、本願請求項1に想到することはできない。したがって、本願請求項1は進歩性を有 する。当然、請求項1を引用する請求項2も進歩性を有する。同様の理由により、請求項 3~26も進歩性を有する。
拒絶理由2回目 サポート要件・記載不備
意見書
本願発明は、特定の触媒を用いて特定の反応を行った、といった類のものではなく 、明細書の段落[0010]等に記載されるように、反応媒質において、還元され得る金 属塩とは反応していなかった還元剤の還元性官能基を、活性触媒種の形成後に酸化剤を導 入することにより中和し、これにより、触媒の活性度および選択性を高くすることができ るということを趣旨とするものであるので、本願発明は、均一系触媒であって、還元処理 が必要な触媒全般において適用され得るものである。
本出願人は、本発明がより広く一般化することが可能であることを示すためにさらなる 実験を行ったので、以下に、追加実施例1~8としてそれらを記載する。なお、これらの 追加実施例を実験成績書として追って提供する。
特許査定
進歩性・サポート要件ともに、丁寧に記載したのがよかったのではなかろうか、と思っている。構成要件が同種であるとなかなかに難しいところがあるが、クリアできた。
サポート要件に追加実施例の提出は、危険かな、とは思うが、前段が効いてる。
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