Ali'i Drive Breeze

The Big Island
ハワイ島で体験した思い出を写真とともに綴る旅日記

間もなくハワイ島上空。

2010年01月25日 | HOLO HOLO

2009年12月31日。
ハワイ時間午前8時。

日本を飛び立って、6時間。
飛行機は確実にハワイへと近づいていた。

機内から窓の外を覗くと、
そこには、はっとするほど鮮やかなブルーの世界が広がっていた。
地上から見上げるそれとは違う立体感のある雲と、
ブルーのグラデーションが織り成す高度1万メートルの別世界だ。

                

『なんという美しい光景だろう・・・。』
ぼくは思わず携帯電話のカメラにその光景を収めた。

4年ぶりのハワイ上空。
間もなく、
ぼくたちは、
懐かしい島に降り立つことになる。

今回で7度目の訪問となる通称ビッグ・アイランド
何度訪れても、少しも興味が失せないのは、
そのたびに様々な感動を与えてくれるからだろうか。
『果たしてどんな体験が、ぼくらを待っているのだろう。』

期待に胸膨らませ、機外の美しい景色に見惚れているぼくの耳に妻の声が・・・。

「あなたも塗っとく?」
すでに機内のトイレでTシャツ・短パンに着替えを済ませた妻が、
せっせと日焼け止めを塗りながら、テカテカに光った顔で尋ねる。
「いや・・・」
浸っていた雰囲気を一瞬で壊されたような気がする。
「塗っといたほうがいいよ。ハワイの陽射しは馬鹿にならないんだからさぁ。」
そんなことは言われなくても分かってますよと思いながら、
「じゃ、鼻だけ。」
と、ぼくの鼻に日焼け止めを塗ってもらった。

隣の席で、今や遅しと降りる支度を始めている妻だが、
じつは成田を出発する前から様々な出来事が・・・


日本時間:12月31日午後6時

先ずは、
背負っていたリュックを空港ロビーに15分以上も置き忘れるという失態を
妻は演じてしまった。
そもそも、年末に起きたテロ未遂事件の影響が気なり、
早めに自宅を出たまでは良かったのだが、
到着した空港では却って時間を持て余し気味に。

そんな折、2週間前に腰を痛めたぼくを気遣ってか、
「こうやって、こまめに腰を伸ばしたりしないとね。」
と言いながら、軽々と上体を折り曲げストレッチをして見せる妻。
「ほら、気持ちいいよ~。」
しかし、2度3度とストレッチを繰り返すその背中に、
さっきまで背負っていたはずのリュックがありません。
「ねぇ、リュックはどうしたの?」
そう尋ねた次の瞬間、妻の表情は強張り、
脱兎のごとく空港ロビーを駆け抜けて行きます。
一人とり残されたぼくは、自らの腰を気遣いながら、
スーツケースと自分のリュックとカメラ・ケースとコンビニで買い物した袋を提げて、
妻の後を追うことに。

ほどなく、意気揚々と引き返してくる妻。
「平気!あった、あった。」
そう言いながら、背中に背負ったリュックを見せます。
先程ぼくがトイレに行っている間休んでいたベンチに、
リュックを置き忘れたまま移動したらしい。
日本国内で良かったと、つくづく思う。これが海外だったら・・・。
「ぼくに対する気遣いはいいから、自分の手荷物を気遣ってくれないかなぁ?」
まだ出発前だというのに、早くも失態を演じてしまったことに気落ちした妻でしたが、さらに追い討ちをかけるような出来事が、ぼくたちの身に・・・。

搭乗チケットを発券し、カウンターでスーツケースを預けようとすると、
受付の女性に、「このままではダメです。」と、
言われてしまったのだ。
アメリカに向かう便に預ける荷物の重さは、ひとつ23キロまで。
重量オーバーなら有料だというのだ。

ぼくたちのスーツケースは25キロをオーバー。
そんな重量制限があることを知らなかったぼくたちは、ただ驚くのみ。

「5千円の料金をお払い頂けば、お預かりできますが。」とのこと。
「ええっ?」
寝耳に水状態のぼくたちに、
「23キロ以下の荷物なら、2個までお金がかかりませんので、
 あそこのABC(宅配サービス)カウンターでダンボール箱を買って、
 荷物を分けるという方法もありますけど。」
と、
ABCを指し示しながら女性が代案を教えてくれた。
「分かりました。ちょっと、考えてみます。」
と、一旦ロビー片隅の公衆電話前に移動。

いまどき公衆電話を利用する人は少ないので、
その前だけスペースが空いていたのを幸いに、スーツケースを広げるぼくたち。
「5千円って、どういうこと?何が根拠なの?信じられない?」
と不満たらたらの妻。
詰め込めるだけ詰め込んでも4年前は平気だった上に、
今回は中身を少なくしていたにも拘らずダメだと言われたことが、
納得いかない様子だ。
しかも、わずか2キロのためにお金を使うのも微妙なところ。
「ダンボールって、いくらするの?」
「さぁ?でも、これを抜けば、2キロぐらい減るんじゃないかな?」

とりあえず、カメラの三脚ならと見当をつけて抜き取り、
機内持ち込み荷物としてリュックに移し変えることに。
ダンボール箱は買わずにスーツケースを閉じ、再びチャレンジ。

「お願いします。」
と、さきほどの女性がいるカウンターに行き、スーツケースの重さを量ると、
なんと24.2キロ。
困惑する女性の顔を見るなり、
「出直してきます。」
そう言い置いて、再び公衆電話前まで撤退。

「仕方ない。一番小さいダンボール箱を買おう。」と、
ABCのカウンターでわずか150円を払って購入。
「あと、1キロちょっとの重さで、
 このサイズのダンボール箱に移しても平気なものは・・・?」

重さの分かるピッタリなものがないかと荷物を選別していた妻が一言。
「サトウのごはん!」
「それだ!」

コンドミニアムでの自炊用に詰めておいた200グラム入りのごはんのパックが6個、
スーツケースの中に。
通りすがりの人が振り向くのも構わず、嬉々として段ボール箱に移し替えるふたり。

緩衝材がわりにTシャツも一緒に詰めて、
ABCのカウンターに行き、ガムテープでしっかり封印してもらい、
サインペンを借りて目印を書いたところで、
「さぁ、今度こそ・・・」と、航空会社の受付カウンターへ。

「おめでとうございます!合格です!」
とは言われなかったけれど、『3度目の正直』でスーツケースとダンボール箱を預け、
ようやく出国ゲートへ。

靴を脱いで金属探知機のゲートを潜り、出国審査を経て、
国際線出発ロビーで、ほっと一息。
「な~んだ、思ったほど厳しくなかったね。」と、妻は安心顔だ。
だが、テロ未遂事件が起きたばかり。
しかも、オバマ米大統領はハワイで休暇中。
セキュリティー・チェックがそんなに甘いはずがなく、
『アメリカ便に搭乗のお客様は、
 手荷物検査とボディーチェクが搭乗前に行われますので、
 早めに搭乗口にお集まりください』
といった内容のアナウンスが
ロビーに流れていた。
それを聞いた妻は、まだ1時間前だというのに早くも搭乗口へ行こうと言い出した。
だが、この判断は結果的に良かった。

出発30分前、搭乗口前のベンチに座って待っていると、
係官のほうから近づいてきて、「ご協力をお願いします。」と、
一人一人順番に手荷物検査とボディーチェックを始めた。
だから、自分たちの番まで椅子に座ったままで待っていられたのだが、
それ以降にやって来た人は、
ゲート前の階段上で一列に整列させられ、チェックをされていた。

日本時間:午後9時5分。

すべての乗客が搭乗を終えたJO 70便は、予定通り出発。
いよいよ成田空港を飛び立ち、一路コナ国際空港へ。
「強烈な追い風の影響により、30分早く到着予定です。」
という機長のアナウンス。
早く到着できることはラッキー。しかし・・・。
「途中、乱気流で揺れることも予想されますが、飛行に問題はありません。」とのアナウンスも。

ところが、その機内で、ぼくたちはやや淋しい思いをすることに。
楽しみにしていた機内食サービスの時のこと、
順番に配られてくる様子を見ながら、
「メニューは何だろうね?」と、ウキウキ顔の妻。
前の座席に配られ、続いて通路を挟んだぼくたちの横の列に配られる食事。
座席テーブルも下ろし、準備万端。
『さぁ、ぼくたちの番だ。』と、行儀良く座って待っていたら・・・。
CAさんは後ろの列に移動。

「???」
「ねぇ、わたしたちのは?」
妻が小声で尋ねます。
「さぁ、どうしたんだろうね?何か理由があるのかな?」
「まさか、わたしたちを見過ごしたとか?」
「そんな馬鹿な。だって、同じ列の隣には配ってるんだよ。」
「もしかして、ツアーのお客さんが先とか?」
「それこそ、ありえないよ。」

いずれにしても、まわりを見渡せば他の乗客は食事を始めていて、
配られていないのは明らかにぼくたちだけ。
「おかしいよ、こんなの。」
妻の意見は、もっとも。

『さて、どうしたものか。』
コール・ボタンを押そうかと迷っていたら、
チーフらしきCAさんがやって来ました。
そして、ぼくたちのテーブルには何も乗っていないことに気づくと、
急いで戻っていきました。
おそらく食事が余っていることを不審に思い、確認に来たのでしょう。
ほどなく、「お待たせしました。」と言いながら、食事を持ってきてくれました。
こちらとしては、諸事情を酌んで、
『まぁ、安全に飛んでさえくれれば、多くを望みません。』という心境。
ところが、
さらに妻は怖ろしくも辛い思いをすることになったのです。

日付変更線を越え、
機内の照明も落とされ、乗客は皆それぞれ静かに過ごしていた時、
機長がアナウンスで言っていた通り、機体がガタガタと揺れ始めたのです。
シートベルト着用のサインも点り、若干の緊張感が機内を包みます。
元来、乗り物に酔いやすい上、揺れるのが大嫌いな妻は、早くもガチガチに緊張。
冷たくなった手で、ぼくの手を掴みます。
「大丈夫だから。」
優しくそう言って、ぼくは揺れに体を預けて眠ることに。

ほどなく、『ポーン!』と音が鳴って、機長のアナウンスが。
「およそ10分ほど、この揺れが続くと思われます。」
それを聞いた妻は、ただただ早く10分が経つことを願うのみ。
しかし、10分経っても揺れはおさまらず、暫らくして、また機長のアナウンスが・・・。
「あと10分ほど、この揺れが続くと思われます。」
すがるような思いで10分経過を願う妻をよそに、機体は激しく揺れ続け、
急に下降したりを繰り返します。
それなのに、隣でほんとうにスヤスヤ眠っているぼくを、
憎らしいとさえ思ったようです。
一向に収まる気配のない揺れのなか、3度目の機長アナウンスが!
「もう10分ほど、揺れが続くと思われます。」

およそ1時間近くも揺れ続けた飛行は、妻の精魂を尽き果てさせたようでした。
「どう?揺れはおさまったの?」
何事もなかったかのように目覚めたぼくを、
妻は恨むような目つきで見返しました・・・。



ハワイ時間:午前8時20分。

雲の上に顔を出した山の頂が、くっきりと見えて来ました。

とにもかくにも、ようやく辿り着いたハワイ島上空。
果たして、今回はどんな旅になることやら・・・。



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