2019 8月30日(金)日本時間
いよいよ、迎えた出発当日。
よくよく考えてみれば、前回が2009年の大晦日に出発だったので、
ほぼ10年振りの海外旅行だ。
かなり胸が高鳴るかと思っていたが、意外なほどいつも通りに朝を迎え、
自宅を出る午後までの時間をゆったり過ごした。
やはり、直前まで抱えていた仕事をすべて片づけた安堵感の方が大きいのだろうか?
長期休暇に出かけるというより、1泊2日で温泉旅行にでも行くかのような気安さだ。
今回も、一番大きなスーツケースは、前日に宅配で成田空港に送っておいたので、
自宅から持参するのは、中くらいサイズのキャリングケースひとつと、
ふたりそれぞれが背負ったリュックのみ。
「じゃ、そろそろ行きますか?」と、焦るわけでもなく、
午後9時25分発のJAL770便に搭乗すべく、余裕を持って家を出た。
自宅近くのJRの駅から電車に乗り、途中駅で成田空港行きのNEXに乗り換えた。
座席に着き、スマホの充電をしながら車窓の眺めていると、
「ねぇ、空港で出国審査済ませたら、何か食べるでしょ?
何がいいかな?あとで機内食も食べるし、軽いものにしておいたほうがいいよね?」
と、何を食べるか早くも決めようとする妻。
「着いてから、お店で決めればいいんじゃない?」
ぼくはと言えば、ちっともテンションが上がらないままでいた。
「そっか。じゃ、どのお店にする?和食系?洋食系?」
興奮しているのか、あるいは緊張感からか、妻のテンションは早くも上がってきている。
対照的な2人を乗せたNEXは、何事もなく成田空港へと向かった。
【Narita International Airport 成田空港】
両替:成田空港第2ターミナル到着後、
まずは旅行中に使う現金を、グリーンポートエージェンシー(GPA)でドルに両替した。
スーツケースの受け取り:次に、前日に宅配便サービスで送っておいたスーツケースを引き取りに、
手荷物宅配カウンターのある1階へ向かった。
すると、到着ロビーで、TVカメラを抱えたクルーが外国人家族を撮影していた。
何の取材だろうか?などと思いながら彼らの傍らを通り過ぎる瞬間、
ぼくの耳に、「ユーは、ナニしにニッポンへ?」と、どこかで聞き覚えのある言葉が飛び込んできた。
(あっ!!)
と、内心驚きつつもクルーの傍らを5メートルほど静かに通り過ぎたところで、
後ろをついてきている妻に振りむき、後方を指さした。
「えっ?なに?」
妻は、撮影クルーに気づかなかったようだ。
「ユーは何しにの撮影。」と、小声で伝えるも、
「なんの撮影?」と、ピンとこない妻。
仕方なく、「“YOUは何しに日本へ?”の撮影だよ。」と、はっきり伝えると、
「ええっ?そうなの?」と驚き、きゅっと首を振り向けた。
「本当に、入国ロビーで、ああやって撮影してるんだね。」
番組で見る光景そのままの様子に、ちょっとした感動を覚えた。
「ほんとなんだぁ!びっくりぃ!・・・ねぇ、戻ってもう一回そばを通ってみる?
わたしたち映るかも?」
妻が目を輝かせ真顔で言う。
「いやいや、スーツケース取りに行くんでしょ?ほら、さっさと行くよ。」
ミーハー気分でカメラに映りこむ気満々だった妻の手をひっぱり、手荷物宅配カウンターへ向かった。
受付に着いて、
じつはスーツケースの受け取り票を家に置き忘れて来てしまっていることが判り、少しだけ焦ったのだが、
代わりにパスポートを見せ、フライト便を告げると、
スタッフが確認してスーツケースを運んできてくれた。
チェック・イン:荷物が揃ったところで、3F出国ロビーへと向かう。
が、海外旅行のブランクがありすぎたため、出国の手順をすっかり忘れていたことに、この時気づいた。
とりあえず、プリントアウトしてきたeチケット控えをJALの係員に見せ、
タッチパネルでのチェック・インを手伝ってもらい、搭乗券をゲット。
そういえば、初めてのハワイ島旅行のころは(かな~り昔の話)、航空券が郵送されてきていたのに、
ずいぶんと簡便な世の中になったもんだなぁと、ちょっとした感慨にふけった。
だが、この後の出国審査でさらに時代の変化に驚くことに。
搭乗券を手にしたところで、スーツケースを預けるためJALのカウンターへ。
前回は、ここで重量オーバーだと指摘され、
フロアの隅で大きなスーツケースを広げて重量を減らす手間がかかったが、
今回は、大きなスーツケースと中型のキャリングケースに荷物を振り分けて詰めて来たので、
すんなりクリア。恥ずかしい思いはせずに済んだ。
ただ、キャリングケースは、ほかの人との見分けがつきにくいものだったので、
カウンターで手渡されたタグに自筆のサインをして着けてもらった。
フロアの隅では、前回の我々同様、スーツケースを床に広げて思案しているカップルがいた。
心の中で、(Good Luck!)と、そっとつぶやき搭乗券に記されたゲート番号へむかった。
保安検査場: いよいよリュックを背負い、保安検査場へ。
もう、後戻りはできない。
まずは、パスポートと搭乗券を確認され、案内に従って手荷物検査を。
機内に持ち込みするモノは、すべてトレーに入れてローラーコンベアに載せてチェックされる。
ここまでは、以前と変わらないのだが、
自分たちより先に並んでいた人たちがやっている手順を観察すると、
金属探知機を通り抜けたところで、以前とは違う動作をしているのが見えた。
「なんだ?」
係官に指示され、ホールドアップのポーズをとり、ゆっくり時計回りに一回転するようだ。
どうやら身体検査を全身スキャナーでやっているようだ。
初めて見る光景に、少し緊張する。
自分たちの番になり、妻が先に進んだ。
妻は、上げた手の位置を指摘され、やや手間取るもOK。
ぼくはといえば、「ポケットには何もないですか?」とスキャンの前に問われ、
「はい!」としっかり答えるも、
タオルハンカチがジーンズの左ポケットに入っていることをすっかり失念していた。
なんと!それがスキャナーに反応してしまい、モニター上の人型の左ポケットあたりが点滅していた。
「こちらへ。」と誘導され、
「よろしいですか?」と、女性の係官から軽くボディチェックをされてしまった。
ちょっと気恥ずかしい思いをしながら、それでも保安検査はクリアできた。
出国審査:手荷物を回収し、
続いて出国審査に向かおうとしたら、「日本人の方は、こちらへ。」と促され、
かつて見たことがない機器の前に並ばされた。
「ああ、これが自動化ゲートかぁ!?」
たしか、成田空港ほか、羽田空港などに導入されたというニュースを見た記憶がよみがえった。
とはいえ、昭和生まれの人間にとっては、もはや完全にSF映画の世界。
緊張感が増す中、案内に従いパスポートをパネルにのせ読み取らせ、続いて指紋認証。
「次は撮影です。」と、顔はマジックミラー越しにカメラで自動撮影。
パスポート写真との照合及び認証は一瞬で終了。驚くほどあっさりと通過できた。
しかも、希望がなければ、パスポートに認証スタンプも押さなくて良いらしい。
「えっ?こんな感じでOKなの?」
拍子抜けするほど出国審査はスムーズだった。
「平成さえも終わり、いまや令和だもんなぁ。」
つくづく、時の流れというか時代の変化を実感した。
出国手続きまで、ほぼ順調に済んだところで、第2ターミナル内の店舗で食事でもと思っていたが、
どこも混んでいて、満席状態。
落ちついて食事の出来るお店を見つけられず、
「どうせ機内食を食べるから。」と、食事は我慢することに。
したがって、リフレッシュルームの予約時間まで時間が余ってしまった。
そこで、第2ターミナル連絡通路2F中央付近にある『FaSoLa Cafe』で、
アイスコーヒーを飲んで過ごすことに。
周囲には、充電用のコンセントが付いたカウンター席や、マッサージチェアがあり、
人種・国籍に関わりなく、みんなくつろぎ、みんな充電していた。
ぼくたちは、カフェテーブルだったので、残念ながら充電はできなかった。
リフレッシュルーム(ツイン):午後7時30分が予約の時間だったが、
10分前にチェックインし部屋に入れたので、時間に余裕ができた!
ぼくが先にシャワーを浴びた後、妻が浴びている間に30分だけベッドの上で軽く横になった。
ほんのちょっとウトウトし、眠りに落ちかかったところでタイムアップ。
眠気は残っていたけれど、汗を流せたことでカラダはすっきりとした。
着替えをして、部屋を出ることに。
受付に鍵を返す際、サービスでペットボトルのミネラルウォーターをもらった。
搭乗ゲート:
リフレッシュルームは、82番ゲート近くの部屋だったので、
搭乗の75番ゲートまでは距離があった。
丁度、 コの字を描くように第2ターミナル連絡通路を歩いて戻り移動。
予定では午後9時より搭乗案内が始まるので、その前にゲートに到着。
待合席は、すでに半分以上が埋まっていた。
空いているソファに座ると、ここにもコンセントがあることに気づき、
スマホを充電しながら案内を待つことに。
周囲の人も同じく充電をしている様子を見て、
自分も含め、今やみんなが充電の強迫観念にとらわれているような気になってきた。
「やっとだね。」
午後9時5分より案内がはじまった。
エコノミー席の私たちは、当然待機。
すぐには案内されず、「座席番号50番以降の方」と、エコノミー席でも後方の乗客が先に案内されていた。
印象としては、すべての乗客がスムーズに搭乗。
JAL770便:私たちも席に着き、シートベルトを締める。
妻は早くも、ヘッドホンをつけ、目の前のモニターの操作をし始めた。
フライト中に映画を観る気満々だ。
その横で、私は少しでも睡眠をとろうと目を閉じていたら、
「どういたしましたか?」との問いかけが。
目を開け、声のした方を見ると、すぐそばでこちらを見ているCAと目が合った。
「えっ?何か?」軽く驚き、逆に問いかえすと、「コールボタンを押されたようなので。」と、
頭上のランプを示す。
状況が呑み込めないぼくの横で、妻は自分がやらかしたことを悟ったようだ。
つまり、映画の音のボリュームを下げるボタンが分からず、誤ってCAを呼ぶボタンを押したようだ。
事情がわかったCAは、あっさりと去っていった。
心の中で頭を抱えているぼくの隣で妻が、
「だって、ボタンがどれか、ちっちゃくて見えないんだもん。」
わたしのせいじゃないと言わんばかりの口ぶり。
「メガネかければいいじゃない?持ってきてるんでしょ?」
すでに老眼がはじまっている妻に言うと、
「やだ。リュックから出すのめんどくさい。」
そう、リュックは既に頭上のラゲッジの中。
ぼくはアンガーマネジメントで心を静め、深呼吸して再び目を閉じた。
なんと妻は、帰りの飛行機でもやらかすのだが、この時のぼくは、それを知る由もなかった。
そんな二人を乗せたJAL770便は、定刻通り動き始めた。
しかし・・・、
滑走路を移動する機体の揺れに身を任せ、いつの間にか眠りに落ちていたぼくが、
目を覚ましてもなお、機体は滑走路上にあった。
隣で妻が、「ずっとこんな感じ。」と一言。
腕時計を見ると、およそ1時間になろうとしていた。
が、ようやく一旦停止した後、エンジンが回転数を上げ始めた。
旅の始まりの高揚感もないままに、
それでも、
いよいよ!ようやく!やっとのことで!!
Clear for Take Off!!
ハワイ島に向けてぼくたちは飛び立った!
(ながながと最後まで読んでいただき、ありがとうございます。感謝です。)
Mahalo,Mahalo,Mahalo!