Ali'i Drive Breeze

The Big Island
ハワイ島で体験した思い出を写真とともに綴る旅日記

いきなりポロル渓谷<Pololu Valley>を下るって?!

2008年08月28日 | 北コハラ地区

2004年10月29日午前9時30分。
コナ国際空港に到着。

入国審査にかなりの時間が取られました。
審査待ちの列は、
テーマパークの人気アトラクションで並んでいるかのように遅々として進みません。
そのわけは、
管理官の後ろの壁に貼られたポスターを見れば、一目瞭然。
真っ黒い煙と炎を吹き上げる上げるW.T.C.とペンタゴン、
そして、『We will never forget』の文字・・・。


やっとのことで入国審査を終え、スーツケースを受け取って外へ出ると、
ボランティアのお年寄りたちがウクレレの演奏で迎えてくれました
ハワイ島の空気に触れたところで気分を変えて、
まずはダラー・レンタカーのオフィスへ。
借りた車は、ダッジの真っ赤なネオン。

そして、
いつもならコナの町に向かうのですが、
今回はハワイ島の北端コハラ(Kohala)へ向かうことに。
この旅の最初の目的地、ポロル渓谷(Pololu Valley)を目指します。
(どうしても行きたいと、妻がH.P.などで熱心に調べていました。)

まずは、19号線(Queen Ka'ahumanu Hwy.)を北上し、
ワイコロア地区にあるキングス・ショップに立ち寄って小休憩。
バナナを一本買って、エネルギー補給。

ふたたび19号線を北上し、突き当りを270号線(Akoni Pule Hwy.)へ左折。
すぐ左手に、(後日訪れる予定の)
スペンサー・ビーチ・パークを確認し通り過ぎる。

          

ドライブはとっても快適。
景色もいいし、
ほとんど車が走っていないので、運転していて実に気持ちがいいです。



ハヴィ(Hawi)に到着したところで、
バンブー・レストラン(2008/2/22のブログ参照)で昼食を摂ることに。

食事を済ませた後は、270号線を先に進み、
カパアウ(Kapa'au)という町で、カメハメハ大王像に挨拶。

トイレ休憩を済ませ、いよいよ目的地へ。

途中、かなり厳しいカーブを走り抜け、カパアウから約15分。
ようやく270号線のデッド・エンドに到着。
ポロル渓谷展望台(Pololu Valley Look Out)です。

車を降りたとたん、目に飛び込んできたのは渓谷の素晴らしい眺め。

      
           (画像クリックで拡大できます。
      

鋭く切り立った断崖。深い緑に覆われた大地。
とても雄大な景色です。
この息を飲むような絶景を僕がビデオ・カメラに収めていると、
妻は一人旅のアメリカ人に頼まれたらしく、
ポロル渓谷を背景に記念写真を撮ってあげていました。

なんでも、彼はN.Y.の日系企業で15年働いているが、日本語は話せないとのこと。
ハワイまで、「日本からどれくらい時間がかかるのか?」と聞かれたので、
「7時間ぐらい。」と答えると、
彼はひどく驚いて、「近いね。」と羨ましがっていた。
どうやら、N.Y.から飛行機の乗り継ぎで15時間かかったようだ。
彼にしてみれば、
国内旅行の自分より日本からのほうが近いなんて・・・と、思ったことだろう。
(偶然にも、このアメリカ人とは翌日アカカ滝で再会することに。)

さて、
僕がポロル渓谷の絶景に満足し、そろそろ車に引き返そうかと思っていると
妻は舗装路を外れ、その先の小道へと歩いていきます。

「ちょっと、どこに行くの?」
そう問いかける僕に、妻は事も無げに答えます。
「下りるよ。」
「へっ?!・・・下りるって、・・・まさか、この渓谷を? 」
僕は冗談かと思ったのですが、
妻は足場の悪いトレイルを、スタスタと下りて行きます。
「ちょ、ちょっと!本気で下まで行く気なの?」
「そうよ。」

僕のほうを振り向きもせず、妻が答えます。

「あのぅ~、渓谷を下りるとは聞いてなかったんですけど?」
「だって、簡単に下まで行けたって、ホームページに書いてあったもん。」
と、答えになっていない答えを返す妻。
「簡単て言ったって、僕ら何にも用意して来てないんだよ。
 ほんとに、大丈夫なの?
 どれぐらい時間がかかるの?」
「20分ぐらいだってさ。」

まるで何ほどのことも無いと言った態度です。

そんな僕らを、真昼の太陽が容赦なく照りつけます。
気温が30℃を越えているのは確実。
早くも、額ににじみ始めた汗を手の甲で拭いながら、
ある疑念が僕の心に。
『下りで20分はいいとしても、
 上りはどれくらい時間がかかるのか、妻は分かっているのだろうか?』

しかし、ビデオカメラを片手に急な坂道を下っている身としては、
たとえ疑念を抱いてもすぐに振り払い、足元に神経を集中しなければなりません。

引き返す気など更々ない妻の後を追って降りていくと、
下から登ってくるアメリカ人の一団と遭遇。
「Ha~i!」
「ハァ~イ!」
狭い道なので、互いに声を掛けて譲り合わないとすれ違えません。
この時、僕はあることに気づきました。
息を切らしながら坂道を登ってきた彼らが皆、
杖、もしくはスキーのストックを杖代わりに使っていることに。
『もしかして、このトレイルを歩くには杖が必需品なんじゃないの?』
すれ違った後、新たな疑念を抱いた僕は妻に問いかけてみました。
「ねぇ、今の人たちみんな・・・杖を持ってたよねぇ?」
「え?そうだった?」
「!?・・・うそ?気づかなかったの?」
「うん。」
「・・・・・・・」

なおも妻は下り続けます。

(拡大できます。) 

途中、渓谷を望むいいビュー・ポイントがいくつかあり、
写真を撮りながら下りますが、
どう考えてもマズイ状況になってきました。
額といわず首筋、胸、背中と汗がどんどん噴き出してきます。
なのに、私たちは汗を拭うことすらできないのです。
なぜなら、タオルどころかハンカチさえも車に置いてきてしまっていたのです。
加えて、補給する水分すら持たずに!

 (拡大できます。)
 
喉も渇ききった僕はついに、妻を引き止めることにしました。
「あのさぁ、いくらH.P.に書いてあったからって、
 その人たち、ハワイ島に着いたその足でポロル渓谷下りたの?
 しかも、何にも持たずにだよ。
 そうじゃないでしょ?
 いくらなんでも、無謀過ぎるって!
 このままだと、脱水症状になっちゃうよ。
 それに、この後ワイメアに行くのに、車を運転するの僕しかいないんだよ。
 これ以上は絶対無理だって!!」

さすがに妻も危険を察知したのか、
「じゃ、帰ろうか。」と、引き返すことにあっさりと同意。


拡大できます。)

「きっと、夕飯が美味しいよ。」と、
わけの分からない能天気な言葉で自らを鼓舞し、
坂道を登っていきます。
その妻の顔にも、滝のように流れ落ちる汗が!

次回はちゃんと準備してこようと、固く固く心に誓ったのでした。

残念ながら、砂浜まで下りることは出来ませんでしたが、
それでも大満足のポイントでした。

人によってはワイピオ渓谷よりポロル渓谷のほうが素晴らしいと思うようです。

無事、車まで戻った私たちは、
ポロル渓谷を後にして、初日の宿泊地ワイメアへと向かったのでした。

Aloha nui loa.



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