大旦那日記

大旦那の日常と、宿の情報などなど。

第二条

2006-07-28 00:06:21 | 法律とか
動物の愛護及び管理に関する法律


(基本原則)

第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。


第一条より文面も短く、用いられている言葉も簡単ですが、
内容はあまり簡単とは言えない条文です。

まず条文の前半ですが、
一見すると動物の虐待を禁じているだけのようにも読めます。
しかし、『みだりに』という言葉が入っていますから、
『みだり』でなければ、この法律には違反しないことになります。

食肉のために家畜を殺す場合や、
保健所で野良犬や野良猫を処分する際は
なるべく苦しまずに殺す方法が取られているはずですので
もとよりこの法律による規制は受けません。

この条文で影響を受けることと言えば、
動物実験がその代表でしょうか。
かつてはいろんな動物を使って、
何でもかんでも動物実験していたようですが、
これからは実験用マウスによる実験も、
縮小を余儀なくされるのでしょう。

しかし、条文は『のみでなく』という言葉で
前半と後半をつないでいます。
つまり、前半だけでは不十分だということですね。
では後半には何が書いてあるかというと、

◎人と動物がともに(幸福に)暮らせるようにする

そのためには、

◎動物の習性を理解し、(人間のルールばかりを押し付けない)
 正しい飼育管理に努めなければならない

といった内容です。
なかなか難しいですね。

この条文を読んで、私が最初に思いついたのは、オウムです。
オウムは、賢い、物まねができる等の理由で人気のペットですが、
意外と鳴き声については知られていません。

オウムや大型のインコの仲間は、朝夕にニワトリの如く雄叫びをあげます。
しかしその声の大きさはニワトリの比ではありません。
犬や猫の比でもありません。
分かりやすい例えをするなら、
車のクラクションが家の中で鳴り響いているようなレベルです。

それを知らないで買った人は、その声の大きさに驚き、
なんとかやめさせようとします。
しかしオウムの雄叫びは生まれ持った習性なので、
やめさせる事などできようはずもありません。

オウムに非は全く無いのです。
そんなことすら調べずに飼おうとした飼い主が
全面的に悪いのです。

けれど飼い主は躍起になって雄叫びを止めようとします。
部屋を一日中真っ暗にしたり、食事を与えなかったり
鳴き声を上げるたびに暴力を振るったり……

悲惨な話ですが、それほど珍しい話ではないようです。
また、オウムのような比較的少数派のペットだけでなく、
犬や猫でも同じ次元のバカ飼い主による問題は
数多く起きている筈です。

要するに、この条文の前後をつなぎ合わせた内容は、

「動物を虐待するのはいけないが、何も考えずただ単に飼っているだけというのも、ペットにとっては虐待に等しい扱いかもしれない。ペットと共に暮らすためには、まず知ることから始めるべきである」

といったところではないでしょうか。