変わり続ける女性たち。そして、変われないままの男性たち
だが、そんな「選択」の前で揺れている女性たちの物語は
、視点を変えることで、また別の文脈が浮かび上がってくる。
それが、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて独占配信の
『tourist ツーリスト』天久真バージョンだ。
3人のヒロインと、それぞれの地で出会い、共に過ごす
謎の男性・天久真(三浦春馬)。
本編だけを見ると、天久真は女性に救済を与える
"都合のいい存在"に映るかもしれない。
けれど、天久真バージョンを見ると、もしかして一番
救済を欲していたのは、天久真自身なのかもしれないと思った。
母子家庭で育ち、母親のためにいい子を演じ続けてきた真。
いい大学に入り、いい会社に就職し、いい子のレールを踏み外す
ことなく突き進んできたはずが、突然会社を解雇されたことによって、
人生観そのものが大否定されてしまう。
自分の軸となるべきものを失い、今までの人生の答え合わせをするために、
天久真もまた敢えていい子の殻を破り、旅を始めたわけだけれど、
結局真が自分の存在意義を認識できるのは、誰かのため、だけなのだ。
それは、第3話「ホーチミン篇」のモノローグでも
はっきりと語られている。
ナイトクラブで泥酔状態のカオルに声をかける真。
どう考えても面倒臭そうな相手だ。
それでも真が放っておけなかったのは「どこか寂しそうだった」から。
バンコクでさつきから「あなたに会えて良かった」と言われることで
救済を覚えた真は、旅先で出会う女性たちと関わることで、
自分の中にぽっかりとあいた空洞を埋めようとする。
それは、母親のためにいい子を演じていた自分と何ら変わらない。
けれど、結局、泣きじゃくるカオルを
「俺はただ彼女を抱きしめてあげることしかできなかった」と真は語る。
女性たちは、ひとりで勝手に立ち直り、ひとりで勝手にたくましくなっていく。
むしろ第2話「台北篇」では間違って赤い封筒を拾い、逃げ続ける真に対し、
ホノカが自分から頭を下げに行き、決着をつける。
弱くてズルいのは、真の方だ。
たった一日で鮮やかに変わっていく女性たちとは裏腹に、
真は何も自分を変えられないまま。
それは真に限ったことではない。変化に柔軟な女性とは対照的に、
男性は何だかんだと保守的で頑固だ。
どの視点で見るかで、きっと見え方も感じ方も違うだろう。
3局横断、メガホンも3話それぞれ別の監督がとるという
実験的な試みがなされた『tourist ツーリスト』は、
切り取り方によってまったく味わいが異なる
ドラマの楽しみ方を提示してくれている。
その4に続く
だが、そんな「選択」の前で揺れている女性たちの物語は
、視点を変えることで、また別の文脈が浮かび上がってくる。
それが、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて独占配信の
『tourist ツーリスト』天久真バージョンだ。
3人のヒロインと、それぞれの地で出会い、共に過ごす
謎の男性・天久真(三浦春馬)。
本編だけを見ると、天久真は女性に救済を与える
"都合のいい存在"に映るかもしれない。
けれど、天久真バージョンを見ると、もしかして一番
救済を欲していたのは、天久真自身なのかもしれないと思った。
母子家庭で育ち、母親のためにいい子を演じ続けてきた真。
いい大学に入り、いい会社に就職し、いい子のレールを踏み外す
ことなく突き進んできたはずが、突然会社を解雇されたことによって、
人生観そのものが大否定されてしまう。
自分の軸となるべきものを失い、今までの人生の答え合わせをするために、
天久真もまた敢えていい子の殻を破り、旅を始めたわけだけれど、
結局真が自分の存在意義を認識できるのは、誰かのため、だけなのだ。
それは、第3話「ホーチミン篇」のモノローグでも
はっきりと語られている。
ナイトクラブで泥酔状態のカオルに声をかける真。
どう考えても面倒臭そうな相手だ。
それでも真が放っておけなかったのは「どこか寂しそうだった」から。
バンコクでさつきから「あなたに会えて良かった」と言われることで
救済を覚えた真は、旅先で出会う女性たちと関わることで、
自分の中にぽっかりとあいた空洞を埋めようとする。
それは、母親のためにいい子を演じていた自分と何ら変わらない。
けれど、結局、泣きじゃくるカオルを
「俺はただ彼女を抱きしめてあげることしかできなかった」と真は語る。
女性たちは、ひとりで勝手に立ち直り、ひとりで勝手にたくましくなっていく。
むしろ第2話「台北篇」では間違って赤い封筒を拾い、逃げ続ける真に対し、
ホノカが自分から頭を下げに行き、決着をつける。
弱くてズルいのは、真の方だ。
たった一日で鮮やかに変わっていく女性たちとは裏腹に、
真は何も自分を変えられないまま。
それは真に限ったことではない。変化に柔軟な女性とは対照的に、
男性は何だかんだと保守的で頑固だ。
どの視点で見るかで、きっと見え方も感じ方も違うだろう。
3局横断、メガホンも3話それぞれ別の監督がとるという
実験的な試みがなされた『tourist ツーリスト』は、
切り取り方によってまったく味わいが異なる
ドラマの楽しみ方を提示してくれている。
その4に続く