今年度の若葉カップのチャレンジが終わりました。
最終日に駒を進めていた女子チームは、ベスト4をかけて栃木県代表・宇都宮中央ジュニアと対戦しました。5年生にはドロップを得意とするシングルスのエースがいて、4年生にはアタックロブを武器とする強者もおり、それ以外にも粒がそろっているチームで侮れない相手でした。必勝を期した総力戦を覚悟でコートに立ちました。
トップシングルスは6年生の「るり」を相手のエースにぶつけるつもりで出しましたが、ここに5年生エースの小山選手が出てきました。スタートは相手のミスもあってリードする場面もありましたが、途中から相手の強打とドロップの組み合わせにやられて、1打目のミスも増えてしまい、イーブンの勝負が展開出来なくなってしまいました。相手に対して攻撃的な、それでいて粘り強いプレーを続けたかったのですが、なかなかそうはさせてもらえませんでした。
続く4年シングルスの「ひめ」は、1ポイントを先取されて、プレッシャーの中でコートにたちました。得意のクロスショットを決めたり、練習で鍛錬してきた大きい展開に持ち込むということが、なかなか出来ず、相手のフォアからのクロスアタックロブに切れ味があり、わかっていても崩されて、1ゲームを落としてしまいました。しかし、今までは精神的に不安のあった「ひめ」でしたが、この大会では違っていました。もう一度、相手の得意なショットを確認し、為すべきタクティクスについて伝えると、それを自分の頭も使いながら実行して、次第に相手を追い込み始めたのです。ディープショットを多用して、相手をいやがらせる戦法は確かに有効でした。我慢を重ねた結果、2ゲーム目とファイナルは、逆に相手の方が精神的にプレッシャーを感じ始めた様子も見られ、そこをついた「ひめ」が逆転勝ちで勝利を手にしました。
その後、1ポイントずつを取り合った中で始まった「のえる・かのん」の5年のダブルスでしたが、今日の二人はいつも以上にのびのびとプレーをしてくれて、どんどん勢いに乗って行きました。「のえる」に球を集められても、しっかりとラリーを引いて、接戦の末にファーストゲームを先取してくれました。もう一度、気持ちを入れ直して勢いよくスタートしたセカンドゲームもリード、攻められている場面もあるのに、次第に相手を追い詰めて、失速することなく勝利しました。
しかし、次の6年ダブルスの「えい・みく」は相手の6年生ダブルスに大苦戦。打力はありましたが、receiveに難のある相手に、なかなか攻撃を続けることがままならず、延長戦にまでもつれた接戦を落としてしまいます。しかし、傾きかけた相手への流れをしっかりと取り戻そうとセカンドゲームも奮闘、イーブンの試合展開となりました。ここで、並行試合でスタートしていた5年生エース「あかり」がどんどんと点数を重ねて、先にゲームセット。6年ダブルスは打ち切りとなりました。これでベスト4が決まり、何とかメダルまで辿り着けました。
リーグ戦突破が第1関門、最終日進出が第2関門、メダル獲得が第3関門、…いよいよ優勝まで残り二つの関門となりました。
準決勝の相手は、福岡の名門で男子では幾度となく対戦していた岡垣ジュニアを破ってベスト4入りしてきた愛知県代表・師勝ジュニアでした。
トップシングルスは「るり」が相手のエース古館選手に臆することなく立ち向かいましたが、打力のある相手にぐいぐいと押し込まれる形で、ラリー合戦に持ち込むことがなかなか出来ませんでした。恐らく全国でも通用するレベルの相手に、善戦むなしく敗戦となりました。平行試合で行われていた4年生シングルスの「ひめ」は前の試合でも自信を付けたのか、堂々とした試合ぶりで6年シングルスの選手の妹に快勝、この段階でイーブンとなりました。5年ダブルスと6年ダブルスはこれも平行試合で行われましたが、後者の「みく・えい」が「何とかせねば…」の気負いもあったのか、1ゲームを先取したものの、セカンドゲームに堅さが出てしまって大苦戦。もちろん相手もなかなかの手強いダブルスだったので、簡単には行かなかったと思いますが、セカンドゲームを落としてしまいます。しかし今大会に入って調子を上げてきた5年の「かのん・のえる」はまたまたきっちりと勝ってくれました。相手もプレッシャーを受けたのか、受け身に回ってくれて、小平が次々に得点を重ねていきました。6年ダブルスとは平行試合だったのですが、その6年が1ゲーム目を取って、セカンドゲームを落として、ファイナルに入ってしばらくの頃、これまた並行試合で行われていた5年シングルスの「あかり」が先に快勝。試合を決めてくれたので、6年ダブルスは再びノーゲームとなり、結果的にはマッチカウント3対1の勝利となったのです。この戦いはチームとして勝利を収めただけでなく、ノーゲームになったとはいえ、6年生の奮起の伝わってくる試合で、決勝へ向けて気合いの入る内容でもあったのです。
最後の第5関門は大阪で優勝を狙う「瓜破西SSC」でした。昨年も若葉を含め各種の大会等で顔を合わせてきた選手もいるチームでした。それらの試合における今までの経緯を総合的に考えても、間違いなく強敵でした。それだけに相手にとって不足はありません。6年シングルスでもU13で全国優勝を狙うような宮崎選手と6年生の全国レベルのダブルスを擁する強豪です。
ただ、今回、相手を見てその都度、様々なオーダーで闘ってきた監督も、最後の最後はスタッフや保護者からの情報も得て、腹がくくれました。じっくり見たわけではありませんでしたが、4年生シングルスを「えま」が充分に勝利できると踏んで、最後の大一番で4年エースの「ひめ」を5年ダブルスに起用しました。実は、このチームは、予選突破もこうして戦ってきた。6年の単複もこの大会に入って死力を尽くしている。下級生が勝ちきれなかった試合を救ってもくれた。もう一つ、ここまで来られたのは5年生3人の頑張りでもありました。敢闘賞の「のえる」には応援団長に回ってもらって、総力戦で優勝を狙いに行きました。5年ダブルスで何としても一本を取りたい………。
まずは前の準決勝でシングルスで結果が出なかったとはいえ、頑張りを見せた「るり」を宮崎選手にぶつけ、「あかり」を最終シングルスとして控えさせました。「るり」は今日、厳しい戦いの3戦目。体力的にも厳しい状況の中、何とか相手に立ち向かおうとはしていました。しかし相手も強者、簡単には点数も取らせてくれません。一打一打、しっかりと打ってくる生きた球に押されて、善戦及ばず、1ゲーム目を落としてしまいました。気を取り直した2ゲーム目も何とかラリーを引こうともがき苦しみましたが、なかなか得点を重ねることは出来ません。流石にU13でも活躍している選手。グイグイと追い込まれると、最後まであきらめずにシャトルを追い続けた「るり」も、最後は無念の敗戦となりました。しかし、辛く苦しい勝負によく向き合ってくれたと思います。
三面展開の決勝は、隣で行われていた4年シングルスの「えま」が緊張から苦戦するかと思いきや、すぐにのびのびしたプレーを重ね始めて快勝。1学年上の選手でしたが、堂々の立派なプレーでした。監督はそのベンチに入っていたのですが、その向こうのコートでは、監督自身勝負と踏んでいた5年生ダブルスが大接戦。最後は1ゲームを落としてしまいます。「るり」の後に始まった6年のダブルスも大苦戦を強いられ、大きくリードを許していたので、このまま二つのダブルスを落としてしまえば、「あかり」まで回ることなく敗戦が決まってしまいます。しかし、「えま」が快勝したお陰で、「あかり」の試合も始まり、梶川選手との勝負が早めにスタートしたのです。その隣で行われていた「えい・みく」は、最後の最後に勢いに乗り切ろうとあがいていました。そんな中でも打力に差に苦しみ、1ゲームを落としてしまいます。セカンドゲームで立て直してきた「えい・みく」は、踏ん張って競り合いに持ち込みます。そして、何とか必死の抵抗を試み続けましたが、最後はそのままセカンドゲームも押し切られそうになっていました。そんなときに、勢いを取り戻した5年ダブルスはセカンドゲームとファイナルゲームを奪取して逆転勝ち。勝負は6年ダブルスの行方と最終シングルスに委ねられることになりました。
最終シングルスの「あかり」は既に今大会何度目かのチームの勝敗を左右する重要なポイントとなるコートに立ち、素晴らしいプレーを展開し、1ゲームを先取していました。先日、練習試合で対戦したときには、大苦戦でゲームを取り合って打ち切りになったような相手だったのですが、そんなことが想像できないくらい、今日の「あかり」は崩れませんでした。
2ゲームの後半から6年ダブルスと5年シングルス両チームのベンチに全員が集まってきました。そして更にそれに勢いを得たようにラリーを圧倒した「あかり」が6年ダブルスの勝負が決する前にウイニングポイントを見事に手にしたのです。昨年、後一歩のところで手の届かなかった小平ジュニア女子の2度目の全国制覇を達成することが出来ました。
記録上は3対1ですが、内容的には紙一重の死力を尽くした戦いとなりました。後一歩、及ばなかった去年のリベンジを2年越しで果たしました。
何とか入賞を目指した男子がベスト16で敗退した悔しさもあり、その分まで女子が頑張ってくれたのです。正直なところ、アベック出場を果たしたとはいえ、プレー面でも精神面でも、まだまだの選手が多く、男女ともに優勝するのは容易な事ではない…もっと言えば、男女ともに予選リーグで敗退してもおかしくない…と思っていた大会で、子供達は躍動してくれました。そしてこの大会で、悲願の金メダル獲得が達成できたことは最高の出来事です。金メダルの獲得は本当に立派でした。選手たちは精一杯のチャレンジで良い色を選んでくれました。
そして、今大会残念ながら出場機会に恵まれなかった「まお」も「みづき」も、チームの一員として精一杯最後まで声をからしてベンチで応援してくれました。
監督としても彼女ら全員に改めて金メダルをかけてあげたい気持ちです。
また、それと同時に、観客席から応援してくれた男子メンバー、東京で応援してくれた小平のメンバー全員に敬意を表したいと思います。目頭を熱くしていた現地サポーターもたくさんいらっしゃいました。保護者にも特別な思いのあったことを改めて強く知らされる場面でもありました。ありがとうございました。「ますだ先生」も合宿から全てわざわざ足を運んでくださって、力になって頂き、本当にありがとうございました。先日、会場に足を運び声援を送ってくださった「藤田先生」には感謝の言葉もありません。本当に多くの方々にご支援いただきました。
昨年、一昨年と同様、決勝前に「どっちの色がいいか、メダルの色はおまえ達が決めなさい。」と言いましたが、彼女たちは何ものに縛られることもなく、「金」を選んでくれました。それが本当に実現した。…彼女たちを心からたたえたいと思います。
サポーターの皆様、物心両面に渡る最高のサポートを本当に有り難うございました。特に今大会、コーチ席で体調不良の監督以上に選手を盛り上げてくれた「ちから先生」と「かみお先生」「みずたに先生」、そして、日頃の練習はもとより、合宿で子供達に力を授けてくださった「米倉コーチ」、そして、陰で選手を支えてくださった帯同頂いた保護者の皆様に心から御礼申し上げます
しかし、選手のみんな、われわれにいつまでも余韻に浸っているほどの時間はありません。精一杯闘った結果の素晴らしい優勝に胸を張って東京に帰り、さらなる飛躍を期して、今度は各自が個人戦にターゲットを移して前を向いて進もう そして、もう一つの団体戦、クラブ対抗戦にも立ち向かっていこう
簡単には言葉にできない女子の優勝の喜び…入賞を逃した男子の悔しさ…。それでも、正直、監督は、今回のチームは本当に自分たちの力、否、それ以上の力を出し、よく頑張ってくれたと思います。改めて女子の金メダル獲得、本当におめでとう