工房便り

工房赤松からの出来事をお知らせします。

トライアスロンin上五島

2010-06-09 09:01:39 | サイクリング・レース・エクササイズ
この競技を始めて今年は20年目のシーズンとなる。
ここ2年間は表彰台から遠ざかっていたが、この記念すべきシーズンを飾るためにぜひとも入賞をしたいと思って練習を積んできた。
5月の連休にかけての練習もしっかりこなすことができ、その後の調整も順調・・・のはずが、疲れが抜けないのか少し体が重い。

そして週末にレース本番を控えた月曜日・・・喉に違和感を感じた。
日を追うにつれて喉はイガイガし、鼻の調子も悪くなってきた。
こうなってくると何をしても、一旦最悪の状態を経ないと良くならない。
そして金曜日から状態は最悪になりつつあった。





鼻水は出るわ喉は痛いわ・・・顔も火照って少しボーっとする。
これで咳が出たら最悪・・・と思っていたらやっぱり出た。
20年の競技歴の中でこんな最悪の状態はもちろん初めてである。
前日の夜も鼻の調子が悪く、なかなか眠れなかった。

翌朝、目覚めは意外とすっきりしていた。
鼻の調子は少しだけまし・・・ただ喉はガラガラで咳が出やすい状態になっていた。
走り出して咳が出たらもう止まらなくなりそうな気配・・・いつ爆発するかもわからない爆弾を抱えたまま本番を迎えることになってしまった。

宿からスイム会場の高井旅海水浴場までバイクで移動する。
いつもはアップもかねて一度思い切り心拍を上げるのだが今回は若干控えめにした。
代わりに準備を一通り終えてから、バイクでコースの序盤にある上りを少しづつ心拍を上げながら走る。
喉は少し痛いが咳は出ない。
なんとか普通に走ることはできそうだった。
しかし入賞を目標としていただけになんともやりきれない気持ちのままスタートを迎える。

この日の海は10時には干潮を迎えるようで、かなり潮が引いた状態になっていた。
なので陸に上がって折り返す地点もかなり沖側に変更となり、走る距離が若干長めとなった。
それに加えて遠浅なので泳ぎだすポイントをつかめずにスタートで少し出遅れた感じになった。
しかしそれは今に始まったことでもなく、徐々にペースをつかんで泳ぎだす。

3周するうちの1周目を終えて浜に上がって折り返すと、目の前には確実に年代別表彰を争うことになるであろうH君がいた。
昨年の宇久大会のようにバイクでついてこられると、今の状態では正直つらい。
おまけに前日会った時に調子を聞くと迷わず「絶好調です!」との返事が返ってきた。
口蹄疫問題で次週に予定されていた五島でのアイアンマンが中止になったためにこの大会には思い切って臨めるとか・・・
できるだけスイムで引き離しておきたかったが現在ほぼ同じ位置・・・とりあえず後から肩を叩いて声をかけた。

2周目に入る時にも泳ぎだすポイントをつかめず、H君には若干引き離されたが一つ目のブイを曲がるまでになんとか追いつく。
そして程なく追い抜いてからは心なしかペースが上がってきた。
2周目を終えて後を確認するがH君の姿はまだ見えない。
少し引き離すことはできたようだった。

3周目、少し咳が出たがペースダウンするほどのものではなく、同じようなペースで泳ぎきることができた。
結局40分ちょっと・・・まずまずのペースである。
バイクシューズを履き終えてバイクスタートする頃に、H君が浜から上がるアナウンスが聞こえてきたので差も確認できた。
予測・・・1~2分差?背中を見せないようにするには十分な差だったが、見せたら最後、競り合う力はない。
まずは「爆弾」が爆発しないようにすることを考えてバイクを走り出した。

高井旅海水浴場から少し急な坂を越えて、大きな道路に出てから緩やかに上る。
アップで一度走っているせいか、気持ちと心拍に余裕があるように感じる。
頂上を越えて下り始めてしばらくすると、足の故障によりアクアスロンに変更エントリーしたF君がトップを走っていた。
足の状態は大丈夫そうだった。
一声かけてパスする。
これなら彼は無事表彰式で、某女性演歌歌手のPRができることだろう・・・が、それより今は自分の心配をしなければいけない。

途中から大きな道路を外れて、細かなアップダウンのある区間を走る。
先行する選手をパスするうちに意識せずともペースは上がってくる。
海岸線の少し路面の悪い区間を経て、いよいよ米山へと続く上り区間が見えてきた。
「爆弾」もおとなしくしてくれている・・・だが無理は禁物・・・まだ前半である。

ここに来るまでに追い抜ける選手はほぼ追い抜いたようで、米山の上りはほぼ一人旅になった。
競って走る相手がいない分、ある意味マイペースで落ち着いて徐々に負荷を上げていく。。
さすがに昨年のように全開で・・・とはいかなかったがコースが頭に入っている分、上手くペース配分できているような気がした。

ここでふとスイムで一応は引き離したはずのH君を思い出す。
知らないあいだに迫ってきている・・・ということも考えられたので時折後も見たがその気配は感じられない。
少しほっとしながら1周目を終えて2周目の周回に入った。

2周目に入るとすぐに知った背中が見えてきた。
最高齢参加者のNさんだ。
今年のスイムは余裕でクリアできたようで、ちょうどスイム制限時間の時刻を指していたその時にはバイクで最初の上りの中盤に差し掛かっていた。
「間にあいましたね!」
一声かけてパスする。



2周目の米山に差し掛かる頃には女子のトップに追いつき、だいたいバイクで抜く選手はすべて抜いたようだった。
その後の米山もまた一人旅・・・今度は後を振り返ることなくバイクフィニッシュを目差した。
おそらく差はつけることができたはず・・・そう信じて・・・

バイクフィニッシュしてラックにかかっているバイクの数を見る。
1,2,3・・・4??
今5位?いや、落ち着いてみると1台はリレーのラックにかかっていた。
ということは今4位・・・4位?

この大会は総合表彰が3位までで、それ以降の順位から年代別で一人づつが表彰される。
僕らの年代は39歳以下で上位3人はだいたいこの年代なので表彰台に立つためには4位が最低条件である。
ということはこのままいけば表彰台は大丈夫・・・しかし昨年の苦い思い出がよみがえる。
昨年は引き離したと思っていた同年代の選手に序盤で抜かれ、終盤にも初出場の選手に大逆転を許しているのだ。

冷静にラックにかかっているバイクを思い出す。
1位はプロ選手であるIk君、2位は親子で参加のIt君だろう。
もう1台は・・・ゼッケンを見ると僕より若い番号・・・ということは40歳以上の年代だということがわかった。
後ろから迫ってくる可能性があるのは引き離したはずのH君で、彼に抜かれてしまうと自力での年代別表彰は消えてしまう。
(もし抜かれた場合、H君が3位に食い込むと年代別表彰が転がり込む)・・・と考えていても仕方ないのでとにかく走り出した。

今年はバイクからランへの練習を積んだせいもあって走り出しから足は前に出てくれる。
とはいえ、コースの序盤からいきなり上りに入る。
少し平坦区間を経て下った直後にはまたきつい上りが待っている。
なかなかリズムを作るのは難しいが米山入り口を越えるまで、しばらくは耐えながら走った。

昨年はここで後続選手に難なくパスされてしまったが今年は追って来る選手もいないようだ。
きつい上り区間を終えて下りに入る頃に、やはりトップのIk君とすれ違う。
それからしばらくは前にも後にも選手が見えない状態でしばらく走っていたが、It君がすれ違いざまに教えてくれた。

「前、あと1分差!いけますよ!」

前の選手のランにおける実力はわからないが、とにかく行くしかない。
「爆弾」は完全に沈黙しているようだ。
総合3位!狙えるかもしれない!

しかしそこから見通しが良い平坦区間にもかかわらず、前の選手は見えない。
ランで引き離されているのか?
折り返しが近づいているにもかかわらず折り返してくる様子もないので近いことには違いないはずである。

折り返しの手前にある緩い上り坂を越えた時にようやく前の選手が見えた。
目印を利用して差を計る。
It君の言うとおりほぼ1分差である。
そして心なしか足に来ているように見えた。

折り返してしばらく走ると前の選手を視界に捉えることができた。
その上、エイドでスピードダウンしているようにも見える。
ここはなんとか米山入り口に至るきつい上り坂までに追い抜き、引き離しておきたいところだった。
抜いた瞬間についてこられて接戦になることは避けたかった。
沈黙しているものの「爆弾」は確実に抱えているのだ。

徐々に差を詰めていく。
その間にH君ともすれ違ったが差はだいぶ離れているようだった。
それを確認して目の前だけに集中する。
そして抜くときには一気に・・・とまでいかなかったがとにかく上りの前にパスすることができた。
ついてくる様子はない??・・・気にはなったが振り返らずに走った。
コース上で声援を送ってくれる中学生が選手に声をかけるタイミングからして引き離しているようだ。
少しほっとしながら最後の難関であるきつい上り坂をなんとかクリアして、あとはフィニッシュまで一気に下っていく。

昨年終盤で抜かれたポイントも無事通過。
残り1km・・・少し余韻に浸りながら、しかし確実にフィニッシュに向かう。
総合3位でフィニッシュすることができた。

初めての総合での入賞・・・どんな感じでフィニッシュするだろう?と思いながら走っていたが結局いつもと同じような感じだった。
やはり体調が万全でなく、全力を出し切れたとはいえなかったからか?
とはいえ、絶好調なのに入賞できなかった昨年のことがあるので「入賞できる時ってこんなものなのかな?」と妙なところで納得している自分がいた。

しばらくしてH君がフィニッシュしてきたのでどうだった?と聞くと、バイクスタート時にスポークが折れていて応急処置をして走っていたとのことだった。
それがなかったらどうなっていただろう?
今度はお互い万全の状態で勝負したいなと思った。

さてこの大会のお楽しみはなんといっても完走パーティーである。
今年もまた前年以上にパワーアップした食材が並ぶ。
ただ・・・F君は楽しみにしていた「寒天」が少なくなっていたと少し残念そうだった。(ピンクの寒天が食べたかったそうな)



乾杯からしばらく経っていよいよ表彰式が始まる。
今回は今大会名物のサプライズで表彰状とトロフィーの授与は事務局から指名された選手がすることになった。
ちなみに総合の部では最高齢者のNさんに表彰状をもらった。



そのほか・・・親子で参加のItさんは息子さんからお母さんへなどなど、司会者の方の軽妙なトークとともに表彰式もまた大いに盛り上がった。
今回は僕が表彰式で着ていた大泉愛輪会のバイクジャージに話題が振られたので「自分でデザインしました!」とチームの宣伝をさせてもらった。
(一人で来ているが・・・)
アクアスロンで優勝したF君のように某女性演歌歌手の宣伝をするといったフリートークができなかったのは少し残念だったが・・・それは次回のお楽しみ・・・ということでまた来年がんばって表彰台に立てるようにがんばりたい。

     坂口


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