今年も抽選による参加申込をクリアして乗鞍に来ることができた。
実は昨年、家の事情で出場をキャンセルしなければならなかったため、2年ぶりの参加となる。
例年は赤松さんをはじめとする「チーム・アカマツ」と合同で参加していたのだが、今年は赤松さん一行が不参加ということで大泉愛輪会だけでの参加となった。
7時に大阪を出発し、乗鞍へ向かう。
高速道路1,000円の制度が廃止となったせいかはわからないが、夏休み最後の週末なのに渋滞もなくスムースにたどり着くことができた。(ちょっとだけ道を間違えたが・・・)
天候は曇りで、山頂は雲で隠れていて見えなかった。
受付の時に少し雨が降ってきたが、当日の天気は何とかもちそうな感じ・・・
定宿「アルパイン・ミズシロ」恒例の天気予報解説でも「競技中は何とか大丈夫で、終わってから降るかも?」とのことだった。
少し安心したのと夕食時のビールが効いたのとで、早くも21時半ごろには眠りに着いた。
翌朝4時半・・・いつものレースよりもかなり早い時間帯にもかかわらずスッキリと目が覚めた。
夜中に降っていたであろう雨はもう上がっていた。
去年は天気が良い分暑かったというが、今年はやはり涼しくて気持ち良い。
6時には宿を出て集合地点に向かう。
集合時間は6時であるが、前列の良い位置取りをするために多くの選手がすでに集まってきている。
もう会場の半分くらいに列が出来上がっていた。
幸い出来始めの列に入ることができたので比較的前のほうに自転車を置くことができた。
さて・・・ここからである。
現在6時10分くらいでスタートは8時2分で、まだ2時間近くある。
その間アップもできないでスタートを待っていたために、一昨年の参加時にはスタート後すぐ飛び出せたもののすぐに失速してかなり辛い思いをした。
なので今回は下山時の荷物と一緒にランニングシューズを持ってきた。
6時半から7時までの間に荷物を預ければよいとのことだったので十分にアップすることができる。
アップに出かける前にお手洗いでも・・・とトイレの前の列に並んだときだった。
「下山時の荷物の受付をまもなく終了します。」
???
時計を見ると6時15分である。
トイレの順番が回ってきて、用を済ませて出てくるともう6時20分である。
少ししか走ることができない。
申し訳程度に走ってから急いで荷物をバスに預けた。
なぜか妙に焦ってしまったために、もう少しで予備チューブや補給食を取り出さずに預けるところだったがすぐに気づいて事なきを得る。
パンフレットには6時半から7時って書いてあったのに・・・7時にチャンピオンクラスのスタートだったのでおかしいなとは思っていたが・・・
列に戻って待っているとしばらくしてからアナウンスがある。
「荷物を預けることができなかった選手のために7時15分までの受付でバスを用意しましたので・・・」
?????
もう預けたって・・・
事前と違うことしていたので抗議が入ったのだろうか?
いずれにしてもまだ1時間近く待たなければならなかった。
いきなり作戦失敗・・・来年は無くなってもいいようなシューズを持ってこよう・・・
7時のチャンピオンクラスから始まり、8時2分にようやく僕らのクラスがスタートだ。
集合場所からスタート地点に誘導されるときに少しだけ前に詰める。
スタートラインについたころには前から5列目ぐらいになっていた。
一昨年に続いて好位置でのスタートである。
だがアップも十分でない上に、実はシーズン前半の疲れが出たのか8月は絶不調である。
なので飛び出すつもりはさらさらなかったが、スタート直後に道路工事のため道幅が狭くなっているところがあって、そこでの混雑は避けたかった。
ゆっくりめの滑り出しだったがしばらくしてすぐに少しギアを上げる。
問題の箇所はスムースにクリアしてまたペースを落ち着かせた。
前述のとおり8月は久しぶりに経験する体の重さが続いていた。
土曜日の大泉練習会の前に参加する十三峠のタイムトライアルも20分を少し切るくらいからなかなかタイムが伸びなかった。
その上メインの練習では早々に脱落・・・当然スイムやランも調子が上がらず、距離だけをこなしているだけという感じだった。
もちろん日常生活で歩くのもしんどく、たまに足が上がっていなくて何もないところでつまづく。
後から選手がどんどん追い抜いていっても気にせず自分のペースを守る。
いつもより1~2km/hぐらい遅い感じか?
なので体の重さもあまり感じずに走ることができた。
第1チェックポイントを過ぎて3本滝のあたりでは少し平坦になるところでギアを上げる余裕も出てきた。
10km過ぎの中間点でタイムを見る。
39分ちょっと・・・一昨年のタイムは覚えていなかったが明らかに遅い。
3分以上遅いかも?
もう少し行くと勾配がきつくなる箇所があって、そこから毎年辛いのでここで補給を取ることにした。
ここのところ毎回お世話になっている梅丹のサイクルチャージだ。
ポケットから取り出して・・・と思った瞬間だった。
袋の角が引っかかったのか手から滑り落ちてしまう。
「あ~~~~!!」
後半の集中力を保つために頼りにしていただけにショックは大きかった。
後続の選手も上ってくるし、マイペースとはいえ止まる時間は惜しい。
とりあえず予備にサイクルチャージのラムネが一粒入っていたのでそれを口に含んだ。
またまた作戦失敗・・・
気を取り直してそこからしばらく走るとつづら折れの勾配が急にきつくなる部分に出てきた。
以前はコンクリートに無数の「○」が刻まれていて上りにくいところだったが、数年前からきれいに舗装されている。
といっても勾配のきつさは変わらない。
毎年このあたりから失速するので少し意識しながらマイペースで上る。
決して軽くはなかったが少しは集中力が保てているような気がする。
カーブできつくなるところは少しがんばって、ゆるくなったところで休む。
それを繰り返すうちにリズムがつかめてきたようだ。
また、距離表示の代わりにカーブごとに番号が掲示されている。
この番号は序盤のNo45ぐらいから気づき、段々数字が小さくなっていく。
カウントダウンのようで少し気がまぎれた。
残り3kmの表示が出るころには森林限界を超えて、周りには潅木などの背の低い植物しか見えなくなってきていた。
これから上って行く道や大雪渓、ゴール付近が見えてくる。
例年ここからが辛くとても長く感じていたのだが、今年は少し余裕がある。
タイムを見ると残念ながら1時間20分を切ることはできなさそうだったが、このまま行くと一昨年と同じくらいかもしれなかった。
残り1kmになってようやく最後に追い込もうという気になってきた。
ここからは下山する選手たちとすれ違うので右側に出過ぎないようにスピードを上げる。
残り500m・・・300m・・・200m・・・100m・・・十三峠の最後の勾配を思い出しながらゴール!
1時間22分57秒と一昨年の記録を30秒あまり更新することができた。
今回、自分の現在の調子と前半の遅いペースからすると1時間30分も切れないのではないかと思ったが、思いのほか後半の落ち込みが少なかったようだ。
山頂はやはり少し冷え込んできていたので、さっさと荷物を引き取って下山することにする。
下山時の事故には毎年主催者も神経をとがらせていて、今回は下山する人数を細かく分けた上に途中で3回ほど休憩が入った。
実は下山時に途中で落としたサイクルチャージを回収してやろうと目論んでいた。
落としたのはスタートから10km地点過ぎ・・・メーターをチェックしながら下っていく。
そろそろこのあたり・・・というところで探していると、本当に落ちていた!
後続の下山する選手に追突されないようにゆっくりと停車して落ち着いて拾う。
度重なる作戦失敗からは少し救われた気がした。
スタート地点まで下山するともう11時前になっていた。
計測チップを返してサービスのスイカをほおばる。
先日の長崎大島での暑さの中で食べたスイカとはまた違った美味しさだった。
宿に戻って風呂と昼食を済ませて表彰式へ向かう。
もちろん僕のではないが・・・今年は仲間が3人表彰された。
まずは大泉のエース井原さん。
東北でのレース後に1,000km以上を自走で帰ってきた疲れも見せず、今年も見事な入賞だ。
続いて最近ますます力をつけた松本さん。
1時間20分を切るタイムで堂々の入賞だ。
そして大泉のメンバーではないが、今回同行することになった石川さんの古い友人の娘さんである合田さん。
実は松本さんとどちらが勝つか?とチーム内では話題となっていた。
結局、松本さんには及ばなかったもののこちらも堂々の入賞だ。
(松本・合田の両名には見事に負けてしまった・・・)
今回は度重なる作戦失敗もあったが、調子が良くない割には走れたほうかもしれない。
来年こそは少なくとも1時間20分は切れるようにしっかり調整して臨みたい。
そして次の週はいよいよ今年のトライアスロン最終戦、五島列島の宇久でのレースだ。
あと一週間でどこまで疲れが抜けるかはわからないが、40歳代になって年代別表彰が狙えるレースなので何とか踏ん張りたい。
・・・と思って臨むレースは今回第4回となる「宝島トライアスロンイン宇久」である。
第4回といっても昨年は口蹄疫の影響で募集前から早々に中止となったので、3回目で2年ぶりの出場である。
一昨年は五島市の樋口君とバイクでデッドヒートをすることができ、非常に充実した内容のレースだった。
そのとき樋口君は30歳代の年代別3位に入賞していた。
今年は40歳になったので彼とは年代が違う。
1位は無理でも入賞は十分に狙えるのだが・・・
前週の乗鞍と同様に調子はあまり良くない。
スイムもランもタイムトライアルでは全然タイムが伸びなかった。
いや・・・それ以上の敵が迫ってきていた・・・
それは台風12号である。
当初関東地方をかすめると思われていたこの台風は、なかなか近づいて来ない上に徐々に西よりに進路を変えてきている。
このままでは近畿地方直撃か?そして九州では影響なし?
週間天気予報では段々とその様相を呈していた。
大会自体が中止なら諦めもつくが、DNSは勘弁だ。
予定では金曜日、佐世保に入って土曜日午前中のフェリーで現地入りするつもりだった。
しかしこのままでは金曜日には職場から待機命令が出る可能性が高い。
代わってもらうこともできたが、大きな台風の直撃で被害が大きくなるかもしれないのでそうも言っていられない。
なのであらゆるケースを想定して電車の時刻表を細かく調べた。
結果、3つの手段を用意した。
①金曜日の出発をギリギリまで遅らせて最終電車で佐世保に入る。
②土曜日の午前中に出発して夕方のフェリーに乗る。
③土曜日の夕方に出発して博多から宇久に向かうフェリーに乗り、大会当日に現地に入る。
木曜日、大会事務局に当日でも受け付けてもらえるように確認を取る。
話を聞くと、現地では今のところ台風の影響はないようだった。
台風の状況を見ると・・・なかなか近づいて来ない。
とりあえず①は消えたので切符を払い戻して佐世保での宿もキャンセルした。
金曜日の朝、台風は相変わらずである。
②も消えて、③の強硬手段しかないと思いながらフェリーの運行状況を調べると・・・
佐世保から宇久に向かうフェリーも博多から宇久へ向かうフェリーも欠航になっていた。
土曜日になっても台風が過ぎない限り運行されることは考えられない。
諦めかけていると大会事務局からの電話が鳴った。
「フェリーのほうが全便欠航となっていますので中止とします。」
あっけなく今年最後のトライアスロンシーズンが終わってしまった。
とても残念だったが、正直なところ少しほっとする気持ちもあった。
DNSにならずに済んだことと、この調子のままレースを迎えずに済んだことの両方だった。
土曜日の朝、職場からの電話が鳴る。
職場での待機命令だ。
幸い風雨ともにそれほどひどくはなく、警報も解除されたので夕方には家に帰ってきた。
もしフェリーの欠航がなかったら③の強硬手段で行くことになっただろうが、そうなったらネタにはなってもレースの結果は散々になったかもしれない。
以前は前日の寝台列車に乗って当日の朝に到着、レースを走ってその日のうちに帰ってくるなどということをやっていたがさすがに今は無理だ。
シーズンもこれで一段落・・・ということで最近の不調の原因を少し考えてみる。
一番の原因は6月から7月のレース間隔が回復と調整には中途半端だったのと入梅で雨続きだったことで、回復もできない上に練習も不足しているという状態に陥ったことがある。
また、ピークを持っていくのが少し早すぎて連戦が始まるころには調子が落ち始めてきたことも原因のひとつだ。
長崎大島では無理矢理に調整して、少し盛り返した感じがあったが根本的な解決には至らなかった。
今はレース前の休養とレースが無くなったのとで珍しく休養期間が長い。
この際少し休んでリフレッシュしてからシーズン終盤に臨みたいと思う。
坂口晃一