的場昭弘著、光文社新書「マルクスだったらこう考える」を、よ~く読んでみました。
マルクスの書いた本や、マルクス主義について書かれた本を何冊か読んだ事はあっても、内容はきれいさっぱり忘れてしまっている「フツーの社会人」のKobantoですが、マルクスという哲学者の事は何となく気になっていました。何かとてもいいものがその中にあるような気がして、一度はマジメに読んでみなくちゃと思っていましたが、分厚い学術書のような本は荷が重すぎます。その点、これはお手軽風な新書ですので、読んでみる気になりました。(それでも、買ったのは6月なのに、読んだのはつい最近、10月になってからです。)
お手軽とはいえ、何十年もマルクスを研究している著者がマジメに書いた本ですから、フツーの社会人のKobantoには充分読み応えがありましたし、それなりにアタマを整理することができました。当然、理解できないところも多々ありましたが・・・。
やはり、資本主義社会の分析が、バッチリでした。
先日私がこのブログに書いた「先進国が後進国に『フン!やっとここまで来たのね。ハイこれ、やって!』というように議会制民主主義を与えるようなのは、納得できないな~」という意味の記事、あれに対する答えが分かりました。
議会制民主主義が資本主義とセットで来るのが、「イヤ~な感じ」だったんです。
先進資本主義国は、独裁政権下の貧しくて無教養な国民よりも、民主主義国家の、貧し過ぎず、頑な過ぎず、ちょうどいい消費者が欲しいんですね。
また、「先進国と後進国」という構造で考えると、マルクス主義も先進国(=西欧)から出てきた思想ですので、一国内の労働運動が「取り分を増やす」ことだけを目標にしていたら、サイードさんが批判したように、「内(先進国内)に向かっては解放者でありながら、外(後進国、東洋)に向かっては侵略者になる」という状態になるのは当然だと思います。
こんな事を考えながら本を読み終わって、「現状の分析」のようなものはだいぶ分かったな~という気分(気分です、気分!)になりましたが、さて、じゃあどうするのか、ということになると・・・・・、なにも分かりませんでした。著者の信じている「共同体」を、私が理解できないからだと思います。
最後にひとつ、「納得できなかった」センテンスを・・・。
(「資本主義後」の経済の仕組みに関しての箇所です。)
たとえば故障した車があるとして、経済効率からするとそれは処分して新たにつくったほうが安く済む。価値の観点からすれば支出の倹約です。しかし、エコロジーの観点からすれば、それは浪費である。こうした点を考慮すれば、価値法則の利点のみを強調することはあきらかに誤りです。
(ウ~ン、故障しなくても、新しいクルマや違うデザインのクルマが欲しくなるのがニンゲンというものだからな~・・・・。
それに、資本主義はどう見ても欲望を喚起することで需要を作り出しているから、最初から「浪費」するつもりでいる人に「それは浪費です」と言ってみても始まらなんじゃないかな~。)
でも、なにはともあれ、おすすめ本です。「まるくすしゅぎ」なんて自分の人生とエンのないもののように感じていらっしゃる、奥様お嬢様、ダンナサマにも、必ずやお楽しみいただけることと思います。