庭木師は見た!~ガーディナー&フォトグラファー~

庭木師が剪定中に見たあれこれ。

リタイア人生in北陸(〽コレが日本だ、私の国だ)~柿と徳田秋声~

2022-11-24 19:30:34 | 日記

 以前、筆者が住んでいる北陸地方のあちらこちらで、たくさんの実を付けた柿の木を見かけ、その多くがそのまま放置されていることを紹介しました。

 平地でもそろそろ小雪が舞ってもおかしくないこのごろですが、状況は変わっていませんので、シルバーの庭木剪定で出かけた先で見かけた柿の木のある風景を紹介したいと思います。

        

 上の写真。高さが6~7㍍ある大きな柿の木です。木の上の柿はとても採れません。下の方もほとんど残っています。所有者は採らないのでしょうか。

        

 こちらは、柿の低木です。たわわに実り、柿の重みで枝が地面すれすれまで垂れ下がっています。

       

 柿の木の周りに白いテープが巡らされていました。畑の持ち主になんの目的で?と尋ねたら、カラス対策とのことでした。

 もっともカラスは、柿が熟して柔らかくならなければつつかないそうで、それまでは自分たちで食べるのだとか。

 カラスでふと思い出したのが、北陸・金沢出身の作家、徳田秋声(明治4年~昭和18年)のことです。彼は22歳の時、作家を目指して上京しました。先輩作家の尾崎紅葉を訪ねたものの、玄関先で不在と告げられたため、後で原稿を送ったところ、紅葉から次の返事が返ってきたそうです。

      「柿も青いうちは鴉(からす)も突つき不申候(もうさずそうろう)」

 原稿が作品と呼べる水準に到達していなかったということですね。

 徳田秋声といっても、今の若い人たちの間ではWHO?なのではないかと思います。筆者世代は、その代表作『あらくれ』で、名前だけはよく知られた作家でした。しかし、近年はわれわれ世代でもあまり話題にならないようです。

 なお、金沢市には2005年に開館した「徳田秋声記念館」があります。        <続く>

 

 

 

 


リタイア人生in北陸(〽これが日本だ、私の国だ)~ゴーヤの顔~

2022-11-16 20:31:48 | 日記

             

              (人の顔を思わせるゴーヤ)

 庭木の剪定では、先にも記しましたように、いろんな家庭を訪ねます。

 ここに添えた写真は、ある農家の畑のビニールハウスにぶら下がっていたゴーヤ(ニガウリ)です。沖縄の植物として有名ですが、北陸地方ではビニールハウスで栽培されることが多いようです。

 収穫の時期を既に終えた11月初旬、ハウスのパイプにぶらさがっていた、売り物にならないゴーヤをいくつかもらい、自宅に持って帰って撮影しました。

 人の顔をしている上の写真は、畑での状態をそのまま撮ったもので、手は全く加えていません。

 写真の口部分は赤い色をしていますが、タネを包んでいるゼリーです。

    

        (別のゴーヤを割ってみました)

 不思議なことに、なぜかわかりませんが、剪定で先の木の幹や塀などで、「人の顔」模様をよく見かけるのです。

 こらからもその事例を紹介していきたいと思っています。          (続く)

 

 

 


リタイア人生in北陸(〽これが日本だ、私の国だ)~三波春夫になれなかった人~

2022-11-15 17:04:52 | 日記

            

             (人の顔を思わせるヒイラギの枝)

 庭木剪定を一緒にやっている同僚(70代の男性Kさん)が、町の芸能祭りで詩吟を披露するというので、見に行ってきました。

 筆者が住んでいるこの町は、詩吟、箏曲、能楽などを楽しむ人が多いのです。なぜ、こうした芸能が盛んなのかは分かりませんが、K氏が所属している詩吟の会では、大手レコード会社からデビューした人も複数いるそうです。

 実はKさんの父親は若いころ、浪曲師として身を立てるつもりだったとのことで、あの三波春夫とともに活動していたとのこと。戦前、戦後と浪曲界ではそこそこ知られるようになっていたのですが、結婚のあたって相手方の母親から「浪曲師なんて…。そんな人との結婚は絶対認められない」と猛反対され、浪曲からは脚を洗い、地元の会社に勤務,以降は平凡なサラリーマン兼農業の人生を歩き、60代前半で亡くなったのだそうです。

 もし浪曲師を続けていればと…、というのは人生、誰にでもあることかと思います。

                     ◇

 それはさておき、見に行った芸能祭で、ギターを弾き語りする70代の男性コンビが、『遠い世界に』(作詞・作曲は西岡たかし)を披露しました。1969年リリースされた懐かしいフィークソングです。

 このブログのタイトルに「〽これが日本だ、私の国だ」と記していますが、このフレーズは『遠い世界に』から借りたものです。

 余談ですが、筆者が1970年代に大阪で勤務していた時、同僚が住んでいたマンションの部屋は、この歌を作詞・作曲した西岡たかしが住んでいたそうです。             <続く>

 

 

 

 

 

 


リタイア人生in北陸(〽これが日本だ、私の国だ)~人生の収支は同じか~

2022-11-10 18:37:03 | 日記

(シルバー庭師は“社会の底辺”ゾーン?)

 先日、ふと立ち寄った国道添いの大衆うどん店で、X氏の姿を見かけました。地元に本社がある大手エネルギー系のインフラ会社の元役員の方です。なぜ彼のことを知ってるかと言えば、シルバー剪定で年に2回程度、X邸を訪ねているからです。彼は筆者のことは知りません。

 80代半ばになるその男性は、筆者から言わせれば、これでよく役員まで上り詰められたものだと思われるタイプでした。会社の役員というのは、過去の仕事上の実績はともかく、人柄がかなり重視されます。肩書きは一応、会社の顔ですからね。公益性が高い会社だけにちょっと気になった次第です。

 このX氏は目下、一人暮らし。妻は7~8年前に病死。その後、息子夫婦と暮らしていたのですが、X氏と息子夫妻とは折り合いが悪く、食事も別々だったとか。そのうち、X氏が入院中(いろんな病気を抱えている)に、息子夫婦は荷物をまとめて家を出てしまったのだそうです。

 かつてX宅で家政婦をしていたおばさんが漏らした話を、あるルートを通じて知った情報です(仕事先のプライベートなことを漏らしていいのか、という問題はあります。…が、ここ田舎では多くの人は秘密情報を知っているのです)。

 このX宅を長く担当している庭師によると、休憩時間(午前10時と午後3時)に、お茶菓子や飲み物が出たことはこれまでないそうです。お茶菓子を出す出さないは剪定依頼主の判断で、出さない家は他にもあります。それはまあいいとしまして、X氏は我々が作業中、めったに顔を出さないのですが、外出する用があって玄関先に現れた時は、あたりを睥睨するような目つきで、「ご苦労!」と口にして出かけるのでした。時代劇で見る「殿」のようだ、と誰かが言っていましたっけ。

 われわれシルバー剪定メンバーが“、社会の底辺ゾーン”に属していることはあえて否定しませんが。

 その元家政婦さんによると、この元役員氏は企業年金として元のインフラ会社から毎月50万円もらっているとのこと。まあ、企業の格付けを元にした相場からいえば、そんなところでしょうね。

 

(X氏と同年生まれのシルバーY氏の昼休み)

                 🔷

 このブログのサブタイトルを「人生の収支は同じか」にしましたが、上の写真(脚をのぞかせて休憩している男性)は、このX氏と小学校時代同級生だったのです。Y氏は国民年金だけのため、生活は厳しく80歳代になってもこうして働いているのです。

 シルバー庭師の仕事は、平日の朝から晩まで働いてもせいぜい月20数万円です(日・祝日と雨の日は休み)。お金の面だけでみれば、X氏との差は比較にならないことは言うまでもありません。

 筆者は、このY氏宅をこれまでに何度か訪ねましたが、いつも感じるのはその家庭の賑やかさです。娘さんはよくできた人で、玄関のインターホンを押すと、「ハーイ」と大きな声で返事して現れ、はきはきした声、笑顔で接してくれます。Y氏の孫たちも賑やかに現れます。

 その次男夫婦は、近所に住み(Y氏所有の土地に家を建てた)、しばしば訪ねてきています。 

 庭師の仕事はいろんな家庭(受け持ちは90数軒)をj訪問しますので、その家がどんな雰囲気なのかみんなわかっています。

 こう書けば、幸福と不幸の家を図式的に示したようですね。

 ふと、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の有名な書き出し、「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」が口をついて出ました。(続く)

 

 

 


リタイア人生in“裏日本”~柿、東京に無料で運べたら~

2022-11-08 08:49:54 | 日記

           

 写真は、シルバー剪定で訪ねた民家の柿の木です。大体2~3軒に1軒の割で庭に柿の木があります。「もっと多いんじゃないかな」と同僚は言っていますが。

 柿を話題にする理由は、これらの柿の多が、胃袋に入ることなく、やがて熟して落ちてしまうということです。なんとも勿体ない。東京のスーパーでは1個100円ほど(一般的な品種の場合)で売られている柿です。

 左の写真は、塀越し道にはみ出している柿の枝。右は、何代も続いた地元ではよく知られた旧家の庭の柿。この家の子どもたちは都会に出てしまい、住む人がいなくなって売りに出されていました。放置された何本もの柿の木。黄色い実がまさにタワワという言葉通りでした。水島という品種のようです。取って食べてみましたが、なかなかいい味で、これなら売り物になります。東京や横浜に住んでいる友人に送ってあげたいと思った次第です。生活困窮世帯にも届けたいです。

 柿はビタミンCが豊富で、風邪予防や肌荒れに予防に効果があります。

 しかし、送料の問題をどうクリアするか。宅配便の運賃さえかからなければ…とは思いますが。なにかいいアイデアはないでしょうか。<続く>