庭木師は見た!~ガーディナー&フォトグラファー~

庭木師が剪定中に見たあれこれ。

ーいざ、富山footbath(足湯)県へー⑦ます寿司店(その3)

2021-03-12 10:34:40 | グルメ

▽富山のます寿司店巡り第3弾は、「元祖せきの屋」「元祖関野屋」です。

 両店はその歴史をみても特に関係がないのだそうです。ひらがなと漢字の違いなので、聞いただけではどっちのお店なのか、混乱してしまいます。

 筆者のある親戚は、富山のます寿司の中では「セキノヤさんのが一番好き」と言っていましたが、果たしてどちらのお店のことでしょうか。

 筆者が心配することではないのかもしれませんが、両店は、使用する鱒(ます)が天然ものと養殖ものとで違うこともあり、できれば何か工夫できるといいかもしれませんね。

 …といっても、両店ともそれぞれ長い歴史を誇ります。変化をあまり好まない県民性もあり、多少の誤解が仮にあっても構わないのかもしれません。

                      ◇

 ではまず、ひらがなの「元祖せきの屋」から紹介します。

 明治11年創業で、店主の前川雅美さんは5代目とのこと。

 ご本人はなかなかの趣味人で、同店のホームページを開くと、どこか中国風の懐かしさを感じるメロディーが流れてきました。『七軒町のうた』とか『舟橋常夜燈』などの題が付いた歌の作詞・作曲は前川雅美さんご本人です。

 七軒町とは、同店がある場所の地名です。舟橋常夜燈は、かつて近くを流れていた神通川にかかる橋「舟橋」のたもとに建つ灯籠(下の写真)のことです。

 ます寿司は、神通川で採れた鱒を使って押し寿司を作ったことに始まります。

 神通川は洪水対策として流路が大きく変更され、現在、この常夜燈がある側を松川という川が流れています。かつての神通川の名残りです。

 「神通川」「松川」「常夜燈」「舟橋」は、富山のます寿司の歴史を語る上でキーワードです。どのます寿司店でも全くと言っていいほど同じ説明を受けます。

 

           

          (かつて神通川が流れていた近くに建つ常夜燈)

 

                

             (お店の入り口に置いてある恵比寿様の像)

 「せきの屋」の玄関左手に置かれている恵比寿様の像。右手にはほぼ同じ大きさの大黒様の像。

 店内の椅子の上には、眠るシャムネコの置物がありました。長野県の小布施で買ったそうです。ネコなのに、意識してかお魚に関心を示さないようなところにユーモアがあり、お客さんの目を楽します。

                 

                  (せきの屋のます寿司。なかなか綺麗です)

                             ◇◇

▽次は、漢字で書く「元祖 関野屋」です。

 お店の玄関を入ってすぐ横に、3畳ほどの調理場が設けられていて、そこでご主人が、同店のます寿司に使う天然のさくら鱒(ます)をさばいていました。

            

                (天然のサクラマスをさばくご主人)

 天然さくら鱒(ます)は、北海道から仕入れているそうです。写真のように包丁を入れてみると、鱒の肉質にもそれぞれ違いがあり、特に良い鱒は「特選鱒寿し」に使っているとのことでした。

 天然の国産サクラマスは、先に紹介した高田屋でも使っています。ます寿司の業界は、多くが個人経営という事情もあり、他にどこが天然の鱒を使っているかは不明ですが、関係者によると「関野屋と高田屋だけかもしれない」とのことです。

            

          (絵の右側に記されている関野庄右衛門とは同店の創業者)

 同店の現在の経営者は6代目だそうです。

               

                      (関野屋の包装)

 

 素材にこだわる分、値段は1,750円(一重)と、他のます寿司(多くが1,600円)に比べやや高めです。

 

            

                    (関野屋のます寿司)

 さて、その味ですが、さっぱりしていて脂分が少なく、養殖の鱒を使ったます寿司とは確かに違う感じでした。

 同店のホームページを開くと、「数年前にお客から、関野屋の鱒寿司は『くるみ味』がすると言われたので、その意味を調べたら、コクがある旨味、最高級の美味に対する賛辞」とありました。

 筆者も、くるみ味の意味を知らなかったので、広辞苑を含めいくつかの辞書を開いてみたのですが、載っておらず、ネットによると「三陸地方でおいしさを意味することば」とありました。

 富山市のます寿司店をいくつか巡って感じたのは、それぞれの店が伝統を大事にしながら、しっかりとこだわりを持っているということです。それが各店のます寿司の微妙な味の違いにつながっているようです。                              (以上)

                                 

 

 

 

 


ーいざ、富山footbath(足湯)県へー⑤ます寿し店(その2)

2021-02-25 20:23:50 | グルメ

 ◇富山のます寿し店紹介の第2弾です。

 筆者が東京にいた時、JR有楽町駅前の富山県のアンテナショップ「いきいき富山館」で、よくます寿しを買いました。日替わりでいろんな銘柄が販売されていました。 日本橋にもアンテナショップ「日本橋とやま館」があります。いずれも富山県ます寿し協同組合に加盟しているます寿し店が出しています。

 その中から今回は「高芳ます寿し店」と「高田屋」について紹介しましょう。

[高芳ます寿し店]

 富山駅から路面電車に乗って5分ほどで「桜橋」という停留所に着きます。大正14年に創業した高芳は、その目の前にあります。

           

            (路面電車の停留所「桜橋」前にある「高芳」。瓦屋根の家)

 同店に入るや、国産の天然サクラマスを使っているとの表示が目に入りました。養殖や、外国から輸入した鱒(ます)を使っているます寿し店が多い中、あえて国産の天然物にこだわって差別化しているのです。鱒は、北海道日高地方から仕入れているとのこと。養殖鱒は一般的に、脂がのってとろっとしていますが、天然鱒はあっさりした食感だそうです。

 筆者も早速買って食べてみましたが、確かに脂っぽさがなく、鱒の色もこれまで食べたます寿司に比べやや白身を帯びて、肌の色に近い感じを受けました。

              

                (手のひらの色に近います寿し)

 訪ねた日に、店頭で応対してくれたおかみさんは、「ます寿しは、買った日の夜から明日になると味が締まって食べ頃になります。あさってになると、やや固くなります」と。

 その言葉が頭に残っていたこともあったからでしょうか、1個買って帰宅したその日の夜、仕事をしていて、日付が変わった頃に小腹がすいたので、夕食時に半分食べて翌日用に残しておいたそれを、ほんの一口だけと思ってつまんだのですが、うーむ、2口、3口と手が出てしまい、結局すべてを食べてしまいました。

 おかみさんと話していて、感心したことがありました。筆者が富山のます寿し店を巡っていると話すと、

富山ます寿し協同組合のパンフレットを棚から出して示しながら、「昨年(2020年)、一番大きいお店の『源』さんが組合に入ったので組合員は現在13店になり、一緒に富山を盛り上げようとしているんです。横のつながりを大事にし、イベントなども仲良く取り組んでいて…」「富山のます寿し店の数?そうですねえ…、全部で50店以上あるんじゃないかしら。富山市以外でも高岡市、魚津市などにもありますからね。ホテルや料理屋が自分のところで作って販売しているケースもあるんです。また、富山県外でも、われわれと同じ製法で作っているところもありますし…」。

 自分の店のことについては語れても、業界全体について整理して話してくれる人は、私が何店かまわった限りではいませんでした。50件以上もあるとは初めて知りました。以前、テレビで20数件と聞いた記憶があったものですから…。

 広い高い視点で業界を見ておられる感じのおかみさんでした。マスクの上にのぞくしゃきっとした目元、要を得て簡潔な話し方に利発さを感じました。

 次は高田屋さんです。

[高田屋]

 同店のホームページによると、創業は明治5年だそうです。

 訪ねた日は午後3時近くでしたが、お店にはます寿司が2個残っていました。1個1,500円と、他店より100円安かったです。

 80代前半に見えるお店の男性(多分、店主さん)に、「このあたりには鱒(ます)寿司屋が多いのですね?」と聞いたら、「かつてすぐ側を神通川が流れていて、鱒などの魚がたくさん採れたので、この地区からます寿司作りが始まった。この当たりには昔は6軒あったが、今は4軒だ」と。

          

  (松川に架かる「舟橋」。かつては神通川が流れていた。正面の赤い看板が「高田屋」。その右手に「せきの屋」。左手奥が「川上ます寿し」=橋を渡る緑の服の人の奥) 

 

 高田屋のます寿しは、酢飯、鱒ともやや柔らかめで、しっとりした感じ。店でもらった食べ方案内書きには、室温(15~20度程度)がおいしく、冷めたい所に置いておくと固くなる、とありました。

 筆者は買った日(2月上旬)に、自宅のキッチンにおいたまま特に温めることなく食べたのですが、さほど固くはならず、歯ごたえは柔らかでした。高齢者には食べやすい感じがしました。

                

                 (高田屋の店内に置いてある石) 

 お店の中に置いてあったいくつかの黒っぽい石に目が行きました。1個が5㌔前後(もっとかな)ありそうでした。

 これは何に使ったのですか?と聞けば、ます寿しを作る時、押すための石とのこと。「かつて店の横を流れていた神通川で探したもの」だそうです。どの石も角が取れて丸みを帯びていました。

 しばし見つめていて、ます寿しは一つ一つが手作りであることを改めて感じた次第です。

                                             (以上)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ーいざ、富山footbath(足湯)県へー④ます寿司店(その1)

2021-02-21 09:12:42 | グルメ

 かまぼこシリーズはまだまだ続きますが、しばし小休止して、ます寿司に移りたいと思います。

 富山を代表する食べ物であるます寿司は、その多くが家内工業的なお店で、店主が数人の従業員を雇って朝早くから、自宅の作業場で作ります。

 富山県にはどのくらいのます寿し店があるのか?とよく聞かれます。しっかりした統計があるのかないのか知りませんが、筆者がいろいろ聞いて回ったところでは、製造・販売の形態で違いはいろいろあるようですが、大体50軒程度のようです。

 比較的名前が知られているお店に行けば、玄関にその日販売する鱒寿司を積み重ねて、店主が直接販売していますので、足を運び、いろんな話を直接聞いたりするのも楽しいです。

                        ◇

 下の写真は、ます寿司の“組み立てキット”一式です。どのお店もほぼ同じです。竹や輪ゴムの太さなどが微妙に違うだけで、本物の笹と竹、わっぱなどで構成され、手作業で作り、組み立てていきます。

           

               (ます寿司を構成するパーツ類)

 どのお店同士を比べながら説明したらいいのか難しいですが、最初は、川上鱒寿し店と、吉田屋鱒寿し本舗から行きたいと思います。いずれも富山市の中心部にお店があり、三代目店長がしっかり、元気に経営しています。

[川上鱒寿し店と、吉田屋鱒寿し本舗]

 川上鱒寿し店の経営者は40代前半。鱒寿司についての知識がほとんどない筆者が、なぜ、富山城および松川近辺にはます寿司店が多いの?とか、お店の歴史は? こちらのます寿司の特徴は?-などと質問したのですが、こういう問いはいろんな客から過去何度も受けているはずなのに、面倒くさそうな顔ひとつせず、丁寧に説明してくれました。

 お店の雰囲気も大事ですが、店長(経営者)の人となりは、そこのます寿しの評価にもつながるので大事です。

 同店の鱒は、血色良く、ピンクががった自然な赤色をしていて、酢めしと鱒がうまく調和し、口当たりは滑らか。しっかりした食感でした。シャリはやや固めの印象でした。(寒い1月だったこともあるかもしれません)

           

     (川上のます寿司。笹にます寿司がくるまれています。竹を2箇所、上下にセットして、

      太い輪ゴムで止めます)

 寒い日だったからでしょう、「いつ食べますか?早めに食べればおいしくいただけます。寒いところに置いておくと酢飯(シャリ)が固くなるので注意してください」と言われました。冬は、冷蔵庫に絶対に入れないようにとも。常温、つまり15~20度程度だと最もおいしくいただけるとのことです。

 玄関正面の壁には何枚もの色紙が並んでいました。人気店であることがうかがえます。

 その中に、有名バイオリニストH氏と店長のツーショット写真がありました。H氏の演奏会が富山市のホールで開かれた際、ランチ用に川上のます寿司が指名され、楽屋に届けたそうです。どなたかが推薦したようで、このお店の評価が高いことがうかがえます。

 バイオリニストH氏の名を聞き、筆者は彼の奥さんの実家に思いが飛びました。女優でタレントの高田万由子さんです。彼女の実家は1990年代終わりごろまで、東京都港区のホテルオークラの隣りにありました。ゼネコンのK社による再開発で取り壊されたのですが、高田家含め、周辺には思わず足を止めて見上げる美邸が多く、筆者が勤務していた会社がすぐ近くだったことからよく散策しました。敷地が広いこともあって、不動産屋やゼネコンに狙われたのです。

 高田邸ですが、歴史ある洋風建築で、都心にこんな建物が残っていること自体が不思議な感じでした。写真家の篠山紀信氏が、高田万由子さんをモデルにここで撮影しています。下の写真がそれです。1994年発行の『篠山紀信ニュース1~特集T邸の怪』という写真雑誌です。

              

           (実家の屋根の上の高田万由子。裏手がホテルオークラ)

 さて、次は同じ三代目経営者の吉田屋鱒寿し本舗です。

[吉田屋鱒寿し本舗]

 経営者は40代前半。店頭で、こちらの鱒寿司の特徴はなんですか?との定番質問をしたら、「バランスの良さです」と即答。「酸味、食感などいろんな要素がありますよね。シャリは甘みを感じる酸味が特色です。ところでいつ食べますか? 賞味期限は3日間ですが、日によって味わいが多少違います」と、その説明は丁寧。仕事への熱意が滲んでいました。

 情熱ある店主に接すれば、こちらも気分が上がりますね。なんでもそうでしょう。飲食店でよく感じることですが、例えば外資系喫茶のスターバックスは、コーヒの味、品質はもちろん、従業員の教育(それは仕事を通じて自分を高める、という考え)にかなり力を入れていることが接客の良さになり、お店の評価につながっているように思います。

 筆者の評価基準は大体、商品4割、人6割です。

 ここで思い出したのは、日本資本主義の父と称されるあの渋沢栄一が明治42年、自らが会長として関わっていた化学メーカーの株主総会での挨拶だ。曰く、「凡て事業は事よりも人、金よりも人によって盛衰を生ずるもので…」と。

 流石、よく分かっておられるね。

                         

                  (吉田屋のます寿司)

 吉田屋のます寿司の味ですが、確かにバランスがいいと感じます。口にすっと受け入れられます。川上のより、やや柔らかい感じだったのは、吉田屋のを食べた日が2月初めにしてはやや暖かく、川上のを食べた日より気温が7~8度高めだったことも影響しているのかもしれません。

 しっとりした甘みに、デザート的な味わいがありました。

 冬場は冷蔵庫には絶対に入れないようにとのことでした。冷えるとご飯が固くなりますから。吉田屋のホームページによると、冷えないように新聞紙で一個ずつくるんで売ることもあるそうです。なんともきめ細かい配慮です。

 これまでの定番品とは異なる新商品として、2014年から昆布鱒寿司なども発売しています。ます寿しは歴史が長く、それ自体改良の余地があまりないともいえるので、新商品への挑戦ということでしょう。

 ■<一口コメント>

 ます寿司の賞味期限は、作った日を含めて3日間のところがほとんどです。前の日に作ったものを売ることはないそうです。従って、その日何個作るかはお店の経営にとって大事です。夕方までに売り切ってしまわないといけません。午後3時ごろ行くと「本日は売り切れです。ごめんなさい」などの案内が出ているお店をしばしば目にします。

                                            (以上)

 

 

 

 

 

 

 


ーいざ、富山footbath(足湯)県へー②かまぼこ店(その1)

2021-02-16 14:28:13 | グルメ

かまぼこについて

 富山の「食」の筆頭は恐らく、「ます寿司」ではないかと思います。このコーナーではます寿司についても触れますが、その前に、「かまぼこ」で行きたいと思います。かまぼこも富山を代表する「食」です。

 富山市への出張者・観光客が必ずといっていいほど訪れるのが、北陸新幹線富山駅の高架下にある「とやマルシェ」という富山の物産と食のコーナーです。ここに、かまぼこ専門店が3店出店しています。

 以下、富山で有名なかまぼこメーカーの商品を比較しながら、紹介していきたいと思います。

 

名門女傳と、小矢部市の鍋島蒲鉾(ヤマサ)>

 

 [女傳蒲鉾]同店は、創業が嘉永3(1850)年といいますから、黒船来航の3年前です。富山県で一番歴史があるかまぼこ店です。

 東京・有楽町にある富山県のアンテナショップでも同店のかまぼこは販売されています。女傳は、贈答品用に力を入れています。代表ブランドが「献上巻」(下の写真)で、かつて富山城主の前田利友公に献上したことからこの名前が付けられました。

 その歴史などからみて、他のかまぼこ店より“格上“という意識が感じられます。           


       女傳の献上巻

              (女傳を代表するかまぼこ「献上巻」)

 「献上巻」は確かに、味は上品、食感はソフトで、雑味はなく、すっと喉を通過していきます。触れてみると、むちっとした弾力性があります。「若い娘のおっぱいみたいにほどよい感触」とコメントする人もいて、うーむです。食品も五感に訴えることが大事なのですね。

                    ◇

 なお、富山県のかまぼこの定番品は、表面が赤い「赤巻き」と、昆布を巻いた「昆布巻き」の2種類で、どのメーカーもこの2種類は必ず作っています。その昆布巻きを最初に開発したのが女傳です。

 赤巻きの皮の色は、ややピンク系。表示を見ると着色料としてカロチノイドと、合成着色料の赤3を使っています。天然着色料よりはっきりした赤に思えます。

            

                 (切った昆布巻き)   

 昆布巻き(上の写真)も食べてみました。すり身の肌理が均一で、白さに漆喰のような落ち着いた輝きがあり上品です。また、昆布の堅さもほどほどで、やや厚め(1㎝程)に切ると、昆布が強く主張するかまぼこもある中、女傳のそれは奥ゆかしさがあります。昆布巻きは452円(税抜き)、赤巻きは425円(いずれも135㌘、税別)、と他メーカーの品より高いだけあり、ナルホドです。

                     ◆

 なお、女傳の赤巻きと昆布巻きには、献上巻の他に、一般家庭向きの「赤巻」「昆布」があります。下の写真がそれです。お値段はやや安めです。

           

               (女傳の一般家庭向けかまぼこ)

 「赤巻」は「献上巻」に比べやや柔らかめで、ぷりぷり感があまりありません。昆布巻きは、やや歯ごたえがあるというか、献上巻きに比べ昆布とすり身との調和に欠ける感じです。

 本店に行った際、売り場にいたおばさん店員に「どう違うの?」と聞いてみたら、「使っている魚の種類が違う」と。なるほど、簡潔で分かりやすい答えでした。

 「赤巻」は326円、「昆布」巻きは356円(いずれも税抜き、135g)でした。

 結論から言えば、女傳といえども、手土産にするなら「献上巻」がおすすめで、「赤巻」「昆布」は他メーカー品と比べ特に差別化できているとは言えないということです。

 なお、同社ホームページによると、味にまろやかさを出すため、塩は精製塩ではなく天塩(赤穂)とモンゴルの岩塩を使っているとのことです。

 

[女傳で修行した鍋島蒲鉾<ヤマサ>]

 小矢部市は、富山県の最西端の市です。石川県との県境にあり、国道8号線を西(石川県側)から走ってきた車が、富山県に入って最初に小休止する場所が道の駅「メルヘンおやべ」です。

 その売店で販売されているかまぼこを手に取ると、「ヤマサ」と書かれていました。

 レジで70代風の女性店員に、このかまぼこについて聞いたら、「ここ小矢部市の鍋島蒲鉾店の製品です。おいしいですよ。富山はかまぼこが有名で、ここ小矢部市には他にもいくつかのメーカーがあります」と、なめらかな口調で説明。

           

              (小矢部を代表する蒲鉾「ヤマサ」)

 鍋島蒲鉾店は、1955(昭和30)年に、小矢部市石動(いするぎ)にあった魚市場で蒲鉾店を始めました。ヤマサの商標で小矢部市のスーパーや、道の駅に出しています。先代が女傳で修行したとのことですので、女傳と比べることにしました。

 赤巻きも昆布巻き(上の写真)も、やや固めで歯ごたえがあります。ぎゅっと圧縮したコリコリ感といったらいいでしょうか。赤巻きは、ある魚(何かは不明)の味がしました。それがここの蒲鉾の個性なのでしょうか。(※包装紙には「袋のまま熱湯に浸せば蒸したようにおいしくいただける」とありましたが、そのまま包丁で切って食べてみました)

 鍋島蒲鉾店本店の商品ケースには、着色料について、赤い色は植物のパプリカ、黄色はクチナシから採っていると記してありました。パプリカはトウガラシ属のため、魚肉と混ぜるときトウガラシの匂いがするそうです。赤巻きは柿色に近い赤。クチナシは実から色素を採り、黄色は栗きんとんなどもよく使われているといいます。

 女傳の方が一回り大きく見えますが、同じ135㌘です。赤巻きは250円、昆布巻きは300円(いずれも135㌘、税抜き)と、比較的お手頃の値段です。

                                             以上