さっかんの小部屋

個人的な日々のできごとです。ご笑覧あれ。

セメントと水の比率について

2006年10月19日 | 土木のこと
お気づきでしょうか,この前のタイトルと,セメントと水の位置を変えてみました(笑)

実は,コンクリートの用語には「水セメント比(W/C)」というのがありますが,その
逆数である「セメント水比(C/W)」というのもあるのです*1

現在,コンクリートの配合と強度の関係は,セメント水比論で表すのが一般的です。
セメント水比論は,以下の式で表されます。

Fc = B + A * C/W

ここに,Fc:強度  C/W:セメント水比  A,B:定数
グラフで表すと,以下のようになります。


グラフを見ていただければわかると思いますが,セメント水比論というのは,コンクリートの強度とセメント水比は,一次関数的に比例するという理論なのです。

ここでまた,以前の配合表を示します。
 体積(ℓ)重量(㎏)
セメント100316
173173
332880
砂利345914
空気 500
10002283
この配合の水セメント比は,55%でした。

水セメント比(W/C)は小さい方がコンクリートの品質は良いです。
そこで,この配合のコンクリートの品質を良くするために水セメント比(W/C)を小さくします。
このとき,水とセメントの配合だけを変化させることにします。

方法は簡単です。
水を少なくするか,セメントを多くするのです。←って,あたりまえ(笑)。

ただし,良いコンクリートとしては,セメントも水もできるだけ少ない方が望ましいの
で,水だけ減らすことにします。
当然,水が減れば作業性は悪くなりますが,ここでは十分な作業性が確保できるものとします。

先の配合で,例えば水セメント比(W/C)を40%にするには,水を47㎏減らして126㎏にすればいいのです*2
このときの水セメント比(W/C)とセメント水比(C/W)の関係は,以下のようになります。
水セメント比
(W/C)
セメント水比
(C/W)
55%1.8
40%2.5

水セメント比(W/C)が小さくなれば,その逆数であるセメント水比(C/W)は,当然のように大きくなります。
つまり,同じセメント量のコンクリートでは,品質の良い(W/Cが小さい)コンクリートの方が強度は大きい(C/Wが大きい)のです。

結論:やっぱり水セメント比(W/C)は,小さい方が良い。


*1)C/Wを「セメント水比」と呼ばずに,そのまま「シー・バイ・ダブリュー」と言う人もいます。
*2)たぶん,このままの配合では,作業性は非常に悪いと思います。







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1 コメント

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現場でのセメント水比管理 (岡村伸司)
2016-05-14 21:44:00
M組にいた頃一度だけコンサルを使って現場でのセメント水比管理をやった事があります。たまたまS建設に行った私の同期が実用化したもので、現場で徹底的にセメント水比を管理して強度発現を一定化して、通常打設におけるセメント水比の変動による安全率を見越したかなり多めのセメント量を減らして結果コストダウンしようというもの。現場途中で退社することとなりましたが、日によっては1日1000m3を超えるという建築部としては大型案件で結果は成功だったとのこと。生コン車は一切水洗いさせない、打設前に全てに生コン車でセメント水比を即座に検査判定(これがS建設のノウハウ部分)して足らない生コン車はそのまま返すというか厳しいもので、厳しい骨材管理を要求される生コン3業車のエンジニア達のプライドとチェレンジ精神に訴えて実現させました。驚くほど安定した強度発現だったようです。
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