たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★親子でもあり、兄弟でもあり。【動画あり】

2011年04月13日 | 行事報告
曹洞宗では、10歳以上で得度を修すると、
僧籍(宗派による僧侶としての戸籍)を得ることができます。



もう1年以上前、本人に対して

 10歳になれば、お坊さんになることはできる。

 子供だから学校に通ったり生活は今まで通りで、
 将来、本当に僧侶として生きていくとか、
 どこかのお寺の住職になるとかという話とは別だけど、
 頭を剃って、“得度”という式を勤めるか?

というような話をしました。
本人は頭を剃るということに抵抗を感じていたようですが、
これまで私が繰り返してきた「坊さんって?仏教って?」という問いかけを
包み隠さず話(告白)をしていく中で、
「得度はしたい。でも頭を剃るのがアレなので夏休みか春休みの初日にしたい」
という決心が本人から返ってきました。



そんな遣り取りを経て、
これまでお世話になってきた檀信徒さまの中から
今回の350周年の委員としてご協力いただいている方のご臨席と、
筋向かいの宝祥寺さんと、旧知の武政尼僧さんの後見をいただき、
平成23年3月26日午後3時より、住職の孫の出家得度式を勤めました。




以下、差定を中心に、式の様子を写真で伝えます。


◆1 出家得度式作法

 a)剃度作法

 ・殿鐘三会

 ・本師上殿

 ・上香普同三拝 了って着椅

 ・洒水

 ・発心の人上殿 本尊・本師に三拝


 ※既に一部分を残して、バリカンでチクチク坊主頭になっています。





 ・奉請       参列者一同「十佛名」斉唱


 ※ 一部残されているのは、おでこの上(頂寧)にある「周羅の一結」です。



 ・礼讃文

 ・剃髪       参列者一同「剃髪偈」斉唱


 ※ バリカンで刈ってあるところを、カミソリで剃髪しています。ジレットです!



 ・授直裰      法衣を授ける

 ・周羅剃髪    頂寧に残る「周羅の一結」を剃り落とす





 ・安名       僧名を授ける

 ・授坐具衣鉢   坐具・お袈裟・応量器を授ける
            参列者一同「搭袈裟偈」斉唱


 ※ 授かったばかりのお袈裟を頭上に戴き、お唱えをしています。



 ※ 初めてお袈裟を掛けています。





 b)授菩薩戒法

 ・懺悔       「懺悔文」復唱

 ・三帰戒     信仰の3本柱「三帰戒文」復唱

 ・三聚浄戒    3つのこころがけ

 ・十重禁戒    10のいましめ

 ・十六条戒

 ・血脈授与    「佛法の系譜」を授ける


 ※僧形を調え、戒律を受け、血脈を合掌に頂いています。



 ・回向

 ・処世界梵    式の円満成就を頌す

 ・普同三拝    本尊に三拝



◆2 得度報告・檀信徒参列者回向

 ・普同三拝

 ・読経       参列者一同『摩訶般若波羅蜜多心経』斉唱

 ・回向

 ・普同三拝





 堂行・維那を勤める元熙上座





 1時間半もの長い間、元熙上座の友達も、ずっと式を見守っていました






この度の得度は、本人の意志を蔑ろにしないよう気を配りつつ、
本人自身の頭を剃って得度をする気持ちを確認しながら準備をしてきました。
けれども、最終的に本当に僧侶として生きていくのか、
あるいは別の生き方を選ぶのかという点については、
実質的には本人がもう少し大人になるのを待たなくてはなりません。

お寺に生まれたという事実は曲げられませんが、
できる事ならば、住職や私以外にも多くの老僧方に出会い接する中で、
本当に心の底から僧侶として生きていくんだと志をもってくれれば、
それが何よりのことであると思っています。

このように仏縁が整い、得度式を勤められたことによって、
私たちはこれまで純粋に「親子」としての関係でありましたが、
これからは同じ僧侶を師匠とする「兄弟」ともなりました。

このことによって、私自身には目標が一つ加わりました。

それは私からの「私の弟子になれ」という意志ではなく、
彼からの「あなたの弟子になる」という意志に基づいて、
私たち「兄弟」がいつか「師弟」ともなるよう勤めることです。

まだまだ道半ば。励んで参りたいと思います。






《 参 考 》

当日の得度報告・檀信徒参列者回向文

仰ぎ、こいねがわくは眞慈伏して照鑑を垂れたまえ。【息】
上来、つつしんで香華灯燭 湯菓茶珍膳を備え、【息】
摩訶般若波羅蜜多心経を諷誦す集むる所の功は、【●低頭・息】

大恩教主本師釈迦牟尼仏、【息】
高祖承陽大師、太祖常済大師、【息】
当寺開山 大盛玄尊大和尚、歴住諸位大和尚に供養し奉る。【●低頭戻・息】

こいねごう所は、【息】
正法興隆、山門康寧、法孫連綿、辨道増進、【息】
国土安穏、万邦和楽ならんことを。更に祈る、【息】
当山檀信徒 並びに本日参詣の善男子、善女人 各々その家、【息】
家門繁栄、子孫長久、諸災消除、【息】
諸縁吉祥ならんことを。


動画でも儀式の一部を見ることが出来ます。

出家得度式 (剃髪・授直とつ)
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