たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★10月23日式典レポートその5 晋山上堂・檀信徒小参

2011年11月13日 | 行事報告
●午後1時30分 晋山上堂・檀信徒小参

  晋山上堂は、祝国開堂とも称します。
  新命住職が須弥壇にのぼって焼香礼拝と共に思いの丈を陳べます。
  続いて有縁のお寺さまから法問をかけられ、見識が商量されます。







須弥壇上の供花・供物等が取り払われ、ご本尊さま前の幕が閉じられました。

福井県にあります大本山永平寺のように伽藍が整った道場であれば
本尊であるお釈迦様を祀る仏殿と、住職が説法をする法堂は別々にありますが、
多くのお寺にとって、そのように仏殿と法堂を設けることは難しいです。
そのため、普段は仏殿としてご本尊さまを祀っている須弥壇を整え、
須弥壇に住職がのぼって、法堂として行事をすすめということがよくあります。







 下語 大擂上殿にて新命住職が須弥壇前に至って一句述べます

  吾肚裏座 放大光明

  諸人若不信 直向脚頭行







 新命登座 いよいよ須弥壇に上ります







 拈香(祝祷香・報恩香・檀越香・嗣承香) 主旨を述べてお香を焚きます







 問訊(五侍者・西序・東序) 多くのご寺院様が問答を依頼します







 白鎚 問答の開始を告げる西堂老師







 垂語 問いかけの呼び水となる言葉を述べます

  生を明らめ死を明むるは仏家一大事の因縁なり

  這箇ノ一大事 若シ識得スル底ノ漢有ラバ 出デ來ッテ商量セヨ










 問答 事前の打ち合わせ無し。その場のアドリブで答えを返さなくてはなりません







 提綱・自序・謝語・拈則・結座 問答後にいろいろと述べます


 提綱《問答の所感》

  古仏云 諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教

   山僧今日瑞風ニ吹カレテ起雲山裏ニ投錫シテ行履ヲ卜シ

   日夜上来ノ数語ヲ眼睛トナサント欲ス

   然リト雖モ畢竟何ンガ恰好シ去ルヲ得ン

   長ク両脚ヲ伸バシテ睡ル喜ビ無ク又憂イ無シ



  自序《謙遜》

   道業未ダ成ラズ 修行ニ力無ク 罪愆深ク重ク 業障未ダ尽キズ

   鈍鳥芦ニ住ミ 困魚箔ニ止マル 乃チ吾ガ分ノ宜キトコロ也

   今茲ニ聊カ祖道ヲ恢弘シ 這裏ニ至ル 漸惶漸惶





  謝語

   恭シク惟レバ西堂長泰寺現董 大谷哲夫老大和尚

   特ニ来テ 金鎚一撃 海口潮音 獅子吼証明ス

   何ゾ感激ノ至リニ勝エン 大恩何ノ日ニカ報イ得ン

   次惟レバ 法類門葉諸山ノ宿尊ヲ屈シテ弊筵ニ莅ミ道愛茲レ荷ナウ

   又惟レバ 山門ノ両序 方來ノ龍象 法ノ為ニ躬ヲ忘レ本日ノ嘉例ヲ円成ス

   謝辞何ヲ以テカ尽クシ得ン





  拈則・結座

   記得ス

   唐の白居易は、仏光如満禅師の俗弟子なり。江西大寂禅師の孫子なり。

   杭州の刺史にてありしとき、鳥窠の道林禅師に参じき。

   ちなみに居易とふ、如何なるか是れ仏法の大意。

   道林いはく、諸悪莫作衆善奉行。

   居易いはく、もし恁麼にてあらんは、三歳の孩児も道得ならん。

   道林いはく、三歳孩児縦ひ道得なりとも、八十老翁は行不得なり。

   恁麼いふに、居易すなはち拝謝してさる。

   這箇ノ一段ノ因縁 仰イデ深ク参ズベシ

   諸禪 活身心ノ祖意 暖皮肉ノ祖語 畢竟如何ガ参得セン

   伏シテ惟レバ各々道体起居萬福 衆慈久立珍重







●引き続き 檀信徒小参

 上堂の問答は出家のご寺院さま対象でしたので、
 続いて檀信徒を対象とする「小参」を行いました。
 この小参は須弥壇から下りて問者と同じ目線でのやりとりになります。





 小参垂語《問答を誘う言葉》

  本師正興泰信大和尚は、長年にわたり檀信徒参加型の行持を営んで来られました。

  生前戒名の授与にも努められ、現在、多くの檀信徒が

  「私たちのお寺」という意識をもたれています。

  このお寺を受け継ぐ私もまた、同様に勤めたく思いますが、

  その第一歩として、檀信徒の方から、普段心に抱いている疑問等を受けたいと思います。

  どなたでも構いません、どうぞお尋ねにおいで下さい。


 











 当日は檀信徒3名の方が質問に名乗りを上げられました。





  提綱・結座

   私は、駒澤大学において西堂大谷哲夫老師の元に参じ、
   道元禅師の教えをまとめた『永平広録』という書物に出会いました。
   本日は、その書物の一節を紹介します。

   道元禅師さまがかつて弟子たちにこう説かれました
    『さて、この小參は、仏道修行をする師匠から弟子へと、
    脈々と伝えられてきた大切な家訓である。ところがこの日本国では、
    これまで小参の名前を聞いたこともなければ、行われたこともなかった。
    永平寺において小参を行うようになって、もう、二十年にもなる。』と。

   西堂老師から頂戴した懇切丁寧なご指導に少しでも報いられればと、
   本日の上堂に併せこの「檀信徒小参」に臨みました。しかし今思うことは、
   志を同じくする多くのご寺院様方、檀信徒の皆さまと共に仏の道を歩むには、
   まだまだ、学ぶべきこと、養うべきことばかりであると痛感しています。
   この小参に本堂いっぱいに集まられた皆さまには、
   長い間ご参列・ご荷担いただき、有り難うございました。







 祝拝 一連の儀式が滞りなく勤められたこと、住職就任のお祝いをいただきました






《差定》

晋山上堂

 巡      版

 空 座 問 訊

 大 擂 上 殿

 下      語

 新 命 登 座

 拈      香 祝祷香・報恩香・檀越香・嗣承香

 問      訊 五侍者・両序

 代 衆 請 法

 白      槌

 垂      語

 問      答

 提綱・自序・謝語・拈則・結座

 白      槌

 下      座 小参鼓一通・南面立定



檀信徒小参

 垂      語

 問      答

 提      綱

 結      座

 祝      拝

 散      堂

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