親を亡くしたり
恋人を失ったり
親に虐待を受けたり
被害者になったり
加害者になったり
そういうことを軽んじるわけじゃない。
決して、軽んじるわけじゃない。
でも、つらい思いをしてきているくせに
結局自分のことしか考えられない人間はいる。
自分がしあわせになったら
悩むのは
自分が自分の過去を思い出すときだけ。
誰かの“現在進行形”には
親身にならない。
なれない。
なるだけの、痛みを忘れてしまっているのだ。
うぬぼれるな。
自分は他人より不幸だったと
今この瞬間
人の痛みを思いやれない人間に
誰かのために必死になれない人間に
自分の不幸を嘆くだけの
理由があるのか？
うんざりする。
自分の過去にばかり価値をつけて
自分はこんな酷い目にあってきたのだから
人の痛みがわかるだの
軽々しく口にするんじゃない。
人の痛みをわかるってことは
そんなに簡単なことじゃないんだ。
血を吐くくらい
大変な重荷を、誰かと同じように感じて
同じように苦しむことだ。
だから、容易に誰もできない。
できる人が少ない。
だから、わたしだってできやしないんだ。
それを、自分はできていると
うぬぼれているやつは浅はかだ。
人の気持ちをわかることなんて
誰にもできやしないんだ。
簡単にできることじゃないんだ。
口先だけの励ましを並べあげれば
自分は満足だろうが
何の役にも立ちはしない。
うぬぼれるな。
痛みを感じてきたことと
痛みを感じ続けることは
同じことなんかじゃない。
うぬぼれるな。
うぬぼれるな。
うぬぼれるな。
自分の痛みしか知らない人間が
うぬぼれたことを言うな。