
枝雀さんの落語のマクラで、漫才作家の香川登志緒さんが、絶賛前売り中という言葉使いは変だろうと言ったという話が紹介されたことがあります(「いらちの愛宕詣り」枝雀落語大全第35集)。芸を絶賛されることはあっても、前売りに絶賛はないだろうという話だと思います。
自宅の近くに、一軒の家が取り壊されて更地になっているところがあります。当然一区画なのですが、そこには不動産屋のノボリが何本か建てられています。ノボリには「好評分譲中」と書かれているのですが、もう半年近くノボリは建てられたままです。通るたびに首をかしげてしまうのですが、一区画しかないのだから好評で分譲されたのなら、ノボリはすぐ片づけられるはずです。このノボリが何カ月も立てられていることが、買い手がつかない証拠ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
もちろん、これが大規模な宅地開発なら小分けにして分譲されるでしょうし、たくさんの区画が売れているわけですから、何ヶ月ノボリが立っていても疑問を持ちません。
不動産屋さんが、安直に「好評分譲中」というノボリを使うことに問題があるのですが、では、売り出していることを知らせるにはどんなノボリを使えばいいのかとなると難しい。「分譲中」、「売出中」、「売っています」、「買い手募集」、「誰か買いませんか」。文字面に関わりなく、一区画しかない土地を売りだすのに、長い間ノボリが上がっていること自体がウィークポイントだと思われます。
となると、結局のところ、「好評分譲中」でも同じではないかということになってしまいます。
この国の人口が減少しているわけですから、歯が抜けるようにあちらこちらに、空き家や更地ができてくることでしょう。「好評分譲中」のノボリが長い間立つことが増えてくるのでしょうね。
好評分譲中のノボリ、おそらくありもの…既製品かその不動産屋さんの名前が入ったオリジナルだとしても結局、何種類も作らないから、好評のところに使おうと不評のところに使おうと1000枚発注する際に「好評分譲中」で発注しちゃうんでしょうね。
枚数がまとまった方が経費も安いし。
まさに安直です。
そんな私も仕事でメルマガの文面や販促物をつくるときなど、製品、商品に関係なく「大人気」「イチオシ」「オススメ」なんて文言を平気でつけて、あげくに「イチオシ」が3つあったり(笑)
映画の宣伝でもアメリカって何個あった?っていうぐらい「全米No.1」が出てきます。
こうなるとだいたい受け手側もハナから信用してない(^^;)
安直なのはすぐに見抜かれるし、中身がしっかりして本当にいいものなら、ただ「分譲中」ってだけで申込みが殺到するんですよね。反省。
世間では大型連休。そちらは大忙しでしょうか、お疲れ様です。
賢い受け手にならなきゃとも思いますし、そんなに隅々まで神経を行き渡らせていたら睡眠も取れないとも思います。
そもそも売りたいのに、なかなか買い手がつかない物件はどう宣伝したらよいのでしょうね。他人事ながらいいアイディアが浮かばないのです。