短歌つれづれ

日常詠、時事詠などを掲載しています。

皐月

2012-05-05 12:24:09 | Weblog
さくらさくら大騒ぎしたる列島がぐらり傾き今日皐月晴れ
待つことの長さに耐えて漸くにさくら色なり列島はいま
この年の花見に酔いしを披瀝して本論に入る老いの集いは
竹の子の皮剥ぐ如も衣を脱げる夫を見ており春は来にけり
それぞれの思惑ありて原発の賛否歯痒し夢と現実
活性化の口実も持ちリホームの成りて明るし老いのキッチン
痛ましき災害難問山積に地球はいまや危機と言わむや
芍薬の硬き蕾が背競べ少女から乙女に時の間を待つ
見下しし日も憶いおり永く生き受身となれり歳月の嵩

春よ来い

2012-04-06 08:05:11 | Weblog
「春彼岸寒さが残る」「秋彼岸暑さが残る」とぞ聞きしを憶う
満開の土手の水仙愛でつつも何ゆえ寂しや白なる色は
昭和史を「なま」で見し眼に「ユーキャン」社DⅤDを更に奨める
ハヤブサが七年の旅成し遂げて衛星イトカワ奇跡の帰還
科学者が宇宙の謎を解き明かす今宵見上ぐる満天の星
日常を電気に拠れる吾ら今原発リスクに深く悩める
科学者の叡智に成れる原発の歯止めの効かぬ放射性セシウム
したたかに顔打ちつけて「お岩さん」旬日籠る時の間長し
「何事も無き平穏を喜べ」と思い深める修道者となり 

如月

2012-03-08 10:28:43 | Weblog

雨音に春の温みが伝い来る如月の果つ真夜の歓び
籠もりたる幾日を過ぎてスーパーのロビーの花々湧き立つ如し
如月の枯野に倦みて旅ゆけば渥美は温し菜の花盛り
海峡を一跨ぎして鳥羽みなと出船入船水脈のかがやく
鳥羽みなと行き交う船を高きより見放くることも非日常にして
民族の要とも言うや伊勢内宮参拝の列絶ゆることなし
この先は太平洋と大王崎ゆ志摩周遊に学びの多し
斎王の史跡巡れば悲話も聞く御輿見しのちの高速渋滞
雛まつり終えて間なしの大震災芥となれる雛想う夜

大寒

2012-02-07 09:21:37 | Weblog
身を縮め寝に入るまでのひとときを夏の「大の字」懐かしきかな
一枚の着衣をも疎みし夏の日を恋しと思う暖房談義
四季あるを悦びとし楽しみし若き日ありしをリセットならず
未曾有の豪雪報ず映像に馳せたき心湧きて悔しむ
北の地に雪にあぐねる孫思う吾の背に温し日面の当地
三十度の気温差巡るこの列島地震津波洪水なお美しと言うや
如月の野は涸れ枯れのモノクローム逃げ帰るなり寒風のなか
傍らの夫が呟く放射線教師あがりの口調馴じめず
貧しさは争い増すやこの国の為政に苦渋の国会を見す

迎春

2012-01-07 14:05:33 | Weblog
迎春に家うちの事さまざまを仕切りいるなり五十路の娘に
四世代思いさまざま集いおり吾が生き来しを宛らにみる
山頂の「祠」のきざはし年々の体力測定この年も可か
山頂ゆ三河湾望む年初め夫も私も「老い」深めたり
にちにちに一芸二芸を増す幼な「マイナス」に向く吾が老いを知る
目標が「終活」となるこの年の碧空仰ぎ日輪まぶし
「忙殺」の年末年始にあらなくに「水甕締め切り」とんと忘れいし
月始め歌を纏める幾年についぞ無かりし「惚け」にたじろぐ
不況言い不穏をも訴うメデイァにも日本民族信じていよう

師走

2011-12-05 21:36:04 | Weblog
つわぶきの黄の静けさ隣家の老いの葬りは秋晴れの愁
老いふたり町の市場を楽しげに巡る姿が絵となる瞼
地下道を土竜の所業か作付けし芋に歯型が憎くのこれる
亡き舅が土竜に仕掛けし小道具をふと思い出ず半世紀経て
訪ねいしサイトの主の逝きしとぞ遺稿となりしをマウスは撫ずる
魅せられて富士を巡れる晩年を偲べば哀し写真集はも
華やかな菊の苑生も盛り過ぎ枯葉ながれる夕暮れの道
この星のメディアはおおかた困りごと吾ら晩年安住ならず
前向きに生きよと吾を戒めて歩幅小さく何処へ行くのか


霜月

2011-11-05 09:00:50 | Weblog
居り場所を探すがに寄る中高年ジムに励むを幸と言うべし
筋トレに励んでそして何を為すインストラクターの若さまぶしむ
悲喜四苦の七十億載せるこの大地この一角は秋の晴天
天気図はお日さまマークに染められて旅心のみが空回りする
淵の水日々冷えゆかん漣の光に身の裡凍ててゆくらし
クロッカスの白が陽に映え秋もなか夢心地なる吾が住む鄙は
落ち葉焼く紫煙の彼方柿の実の灯す夕暮れ吾のゆうぐれ
家伝なる米甕いまはメダカ甕睡蓮も浮き甕無言なり
わだかまりほどけし如き鰯雲地上の紅葉にうっとりといむ

神無月

2011-10-06 10:41:39 | Weblog
 
炒る如き暑に耐えたれば満月の光さやかに身にしみわたる
名月に虫の音を聞く感傷に久し振りなるしめやかな幸
秋空に向きて放てる深呼吸何処の祭か煙火轟く
いつしらに愛され始む彼岸花土手朱に染め舞う如くいる
曼珠沙華萌える畑道めくるめく遠い日のことふいに想えり
曼珠沙華の原一面に染める朱その激しさに途惑いいたり
エアコンが貝となりたる神無月街に穏やかな風の流るる
逃げ惑う原発難民置き去りに推進を言う反逆もあり
天災に怯ゆる国の哀しさよ海辺の津波また土石流はも  

秋風

2011-09-06 10:12:39 | Weblog
渡りくる稲田の風を身に受けて臓腑に届く秋の気配を
茜さす夕雲静かに渡りゆく逝きたる人らの面影載せて
辛うじて猛暑を越えて振り向けり八十年の夏の遍歴
大曲の花火大会映しおり花火師たちは悩み深めいむ
隅田川の花火の妙を観ていむか砲火に喘ぐリビアの維新
紅白の夾竹桃が盛る土手彼方より来るかぜ秋匂いくる
台風の目玉の行方ままならず時速十キロのお通りに哭く
吾が生れし瑞穂の国を思いおり自然災害なみなみならず
打たれるを覚悟になおも宰相のポストに縋る男等の性

盛夏

2011-08-06 14:19:42 | Weblog
今を生きる者たちの咎と諭すありここ一番の「脱原発」か
膨大なリスク負い泣く原発も時移ろえば何処に向くや
一億を震撼させし大震災 収束遅遅とし文月の果つ
列島を次々襲う天災に沈没しそうな瑞穂の国は
原発のコンセンサスに根回しと今宵また聞く不信たかまる
「夏が好き」言い放つ子等をいぶかしむ熱中症に身構える吾
自生する花々増えて夏盛る黄花耀う小向日葵の群れ
鄙のまち茶房に集う老い達が畑の草とのいくさ嘯く
頑なに除草剤嫌いし老い夫が新兵器とし散布を始む