短歌つれづれ

日常詠、時事詠などを掲載しています。

平成27年〜つれづれ。

2021-03-31 09:07:47 | Weblog

あかときを  覚めて 思えば  地にかえる  花しずかなり  面影にして  「  師の歌」

ひとり生れ  ひとり逝くなり   今日の訃も  喜怒哀楽を  過ぎこしならん

衛星に   気象もろもろ   読まれいて  テルテル坊主 は   死語となりたり

太陽を  愛しく思う  季の来て   行き交う 人らの  言の葉やさし

大股に  気負いあゆめる  若き等を  羨しみており    我が身悲しむ

知多の海   凪の港に  竿下ろす  若き親子の   穏しき風景

中東の   騒乱 聞けば   民衆の  哀れ思えり  吾ら若き日

節分の  声に誘われ   好天に  暇持て余し  タントピア 訪う

埋め立ての  地は美しく  整備され  遠足の子らの  歓声響く


晩秋

2013-12-04 19:37:21 | Weblog
この季を企ていくつ並べいてはかどらぬまま光陰の矢は
映像の紅葉などはと侮れるタイムスリップ叶わぬ八十路
秋の野を軽々行くを羨しみてテレビに座すを悔しみており
力作の並ぶ趣味展続きいて鄙住み吾の体力負ける
草繁る季を過ぐれば地の冷えて種の数多も冬眠に入る
耳しいの夫と暮らせば発声も大きくなると友等の宣す(宣す=のらす)
数に成る宰相なれば原発も戦争もあるやと不安もよぎる
不確かな地球に在りて人類の敵対心は絶えることなし
紅葉のトンネル行けば歓喜する心幾ばく吾に残れり

哀愁

2013-11-06 15:20:04 | Weblog
前隣うしろ隣の老が逝き葬儀のかたち個性きわだつ
家族葬伝統葬ありひそひそと昔堅気がささやく談議
遺影にも今様流行あるという終活老いのニーズ高まる
備えよと南海トラフシュミレーション未来の闇は忘れて寝よう
霊長と自尊の人も災害に生きものなべて惨敗なるべし
コスモスの頃はよろしと朋友等訪い交わしおり青空のもと
廃業の売地にようやく民家建ち子等の歓声輝く団地
伝統は否定されるや個性持ち今世の人の生きざまを見る
野も山ももの憂げに在り紅葉のしばしの華やぎ楽しまんとす

初秋

2013-10-05 16:23:24 | Weblog
両側の曼珠沙華咲く街道を心も朱色に旬日の幸
日に幾度シャワーを浴びる暑き日を耐えて今宵の満月に会う
力瘤瘤が砕けて振袖と揺らし淋しむ吾が両の腕
山が崩れ河の氾濫この国の住み処の狭し列島の夏
台風の目玉が何処を向くのかと鬱となるなり列島の民
二ヶ月の猛暑の日々を詫びる如北緯の国に爽やかな風
ほんとうに昼夜二分を感じつつ暮れ早き道愁思と共に
西方も天国も穏やかならん季めぐり逝きし友等の面影を追う
花首を無残に落とす白槿桜吹雪の格調高き散りざま

南吉展

2013-09-05 10:31:52 | Weblog
在りし日の青年教師南吉のニヒルな面輪記憶の彼方に
戦時下の粗末な医療に逝きし師を生誕百年顕彰盛る
絶筆が中央廊下に貼られしに涙したるは吾十六の春
人命の軽るさの中の戦時中哀れ南吉露と消えたり
春を待ち涼を恋たる幾としつき八十四年にほとほと倦みし
太陽に炒られて死すを聞く日々に蓮の台は極楽ならん
エンディングノート仕舞たる場所忘れたりいよよ迫れる吾がエンディング
クラス会見交わす友は吾が姿そんな夕べは落ち込むばかり
国威かけイプシロン打ち上げ見守れり延期と聞けば等しく萎える

猛暑

2013-08-05 10:20:03 | Weblog
子等の輪にいつしか時代の錯誤あり渋々ながら黙すのみなり
終焉の近きを知るも諸々を悩みいるなり寝つかれぬ夜は
向日葵も下向きており猛暑なる落日ののち人心地くる
太陽を怖れ猛暑を籠り居て野を渡り来る夕風に佇つ
盛夏なる選挙戦果て候補諸氏有為転変は身に沁みていむ
TPP関わりなくも世代交代ひと世に育ちし果樹の伐採
日に炒られひと日の暮れて風呂上り夜空の星に過去を見渡す
「憩い家」に交わす話題の貧しくもひと世の終の華やぎのあり(終=つい)
家うちに原発賛否真っ二つ野党となりて声を震わす

空梅雨

2013-07-19 20:34:09 | Weblog
ダム湖水渇水なりと映像に雨乞い神事厳かにして
大型の機械に拠りてわが村の農地護りおり二人の勇者
物言いは未だ健在わが年齢気力体力限界と知る
歳月が吾ら二人を老いさせて終着駅は定まらぬまま
軽々と急坂を行くトレッキング映像まぶしみ吾を口惜しむ
地球上隈なく探訪なされいて画面なれども見する歓び
民主化を迫り騒げる外国のデモの哀しさ吾らの世紀は
土地勘のよろしき夫に身をまかせ後部座席に居眠りし彼の日
助手席の夫の指図を片耳に米寿迫れる鄙の街道


梅雨

2013-06-05 11:17:03 | Weblog
カラカラに乾ける大地に雨は浸み木の芽草の実歓喜の声す
思慮深き米寿の姉がこの頃に人格変わるを訝るばかり
夫貶し娘をしたたかに叱りいる姉の所業をつぶさに見ており
感情のコントロールが無効とや人なるものの哀れ身に沁む
認知症の兆候なるや家守り父を看取りし彼の日を憶う
乾く風二十四度は心地よし梅雨晴れ間の至福ひと日は
地震予知ハザードマップの接続区「知らぬが仏」は許さぬ世紀か
南海トラフ地の神の意か科学者か小市民なる我ら揺れおり
挨拶も両の手タッチの幼子の弾ける笑顔にひとときの幸

新緑

2013-05-10 11:14:38 | Weblog
幾つかの繰言残し逝きし友その後姿も日々薄れゆく(後姿=うしろで)
続きいるこの日常も唐突に仮の住処となるを思えり
競い咲く花の数々いま少しスローライフにと詰りていつつ(詰る=なじる)
ハッブルが衛星探査を映しおり粟粒ほどの地球を映す
植えおきし芍薬の畝に蕾群れ歓声あぐる少女のごとし
屋根越しに楠の若葉が盛り上がる大木リスク受けざる距離に
華やかなときもありしに妻も嫁も逝かせし老いの終の頑張り
夏野菜植えて安らぐ年々に皐月の風は老いず華やぐ
国益に苦渋の為政を片耳に春爛漫の平和を享受す

春爛漫

2013-04-05 14:26:52 | Weblog
八十年生き継ぎ来たる吾と曾孫お手て繋げば哀しみはくる
花畑を花で埋めて愉しみしも思い出となる桜満開
蒲公英にも心躍りし日もありし桜木下に面影を追う
農村に農家が稀になりたるもつぶさに見たる傘寿を生きて
TPP大騒動も時経れば何んとかなりて世は続くらし
自営する人等の生きる術なくて「寄らば大樹」と目指す外なしか
高齢者が二十五%の町を誉める総会祝辞しらじらと聞く
百年のタイムスリップ後進のブータンの民「幸せ」と皆にこやかと
体重計思いのままにならなくて時に吾等に蹴られていたり