長年の憧れの地カトマンドゥにようやく辿り着きました。
ネパールやカトマンドゥがなぜそんなに評判が良い場所なのかというと、物価が安く、食事が美味しく(特に日本食は世界屈指のレベルらしい)、ヒンドゥーと仏教の融合した豊かな文化があり、ヒマラヤを擁していて風光明媚でもあり、そのうえ人がマイルドで、そして何といってもインドと中国という非常にパンチの効いているアジア両大国に挟まれている立地が大きくモノを言っています。
パキスタンの入国ビザ取得などの時間がかかる用事があったものの、9日間があっという間に過ぎました。毎日昼と夜の2回に分けて3時間ずつの停電があったり、思ったよりも寒かったり、寒い上に停電のせいでホットシャワーが出なかったり、ネパール人は意外にボッてくるので気が抜けなかったり、色々と予想外の不快な攻撃はあったものの、それらを上回る素晴らしさがありました。
まずは、一番楽しみにしていた食事について。
カトマンドゥといえば何といっても日本食。インドではバラナシで日本食を食べたもののコルカタ以降バングラデシュやインド東北部までは日本食は食べれませんでした。なので、カトマンドゥに着いてまずすぐに食べたカツ丼は、連夜の夜行バスの疲れを忘れさせる美味さでした。
カツ丼。日本の新聞が読めるのも嬉しいです。
他にも、カトマンドゥで再会した旅友達4人で食べた鍋とビールや、前回の記事にも書いた納豆、親子丼、カツカレー、などは期待通りの美味しさでした。カトマンドゥには低予算旅行者がよく行く日本食屋が5~6件あるのですが、毎日それらを昼食と夕食で食べ続けていると、さすがに飽きてきました。金銭的な問題もあります。日本食はだいたい一食250円~450円なのですが、地元ネパール料理や半地元のチベット料理で食べると50円~180円くらいで食べれるのです。9日も滞在するとなるとその差は大きいです。なので4日目くらいからは積極的に地元料理を食べるようにしたのですが、これが予想以上にイケるのです。ネパール料理の基本はダルバートという料理で、ご飯とスープ(カレー)と野菜を混ぜて食べる料理で、インドのターリー(カレー定食)の兄弟のようなものです。しかし、インドと違うのは味が安定して美味しいということです。インドでは美味しい時もあれば、ほとんど食べれないほど辛い時もあり、頼む時は毎回度胸や覚悟が要される(その上、下痢の心配もある)のですが、ネパールのダルバートは何度食べても辛さはマイルドだし、米の炊き方もインドより美味しいし、なんというかインドよりもイケているのです。ネパールで腹を壊したという話もあんまり聞かないですしね。
ネパール料理の定番ダルバート
上の写真のダルバートを食べた時、ついに生まれて初めて手でカレーライスを食べるということに挑戦しました。アフリカやインドにいた時も地元民達は手でライスを食べているのに、頑なにフォークとスプーンで食べ続けてきた僕ですが、インドに入った辺りから手でカレーを食べる日本人旅行者を度々見かけ、ちょっと興味が沸いてきたのです。この時、一緒にいた日本人旅行者が手でカレーライスを食べれる人達だったので、「今がその時だ」と思い、思い切って手で食べてみました。食べている最中は無我夢中だったので、美味しく食べれたかどうかはあまり覚えていないですが、食べ終わった後に右手がものすごくベチャベチャに汚れて、右手では何も持てないという状態になったことを良く覚えています。もちろん食堂には洗面台があってすぐに手を洗えるのですが。その後、手でダルバート(カレーライス)は食べていません。おそらく今後も食べることはないでしょう。
ダルバートを手で食べるネパール人たち
あとチベット料理もかなり美味しかったです。トゥクパやタントゥクというラーメンのような食べ物や、モモという日本の(中国の)水餃子そっくりな食べ物があり、値段も安いので良く利用しました。ネパール料理にもモモはあって、こっちはショウロンポウに似ていました。どれもたいそう美味しいです。
ネパール版のモモ。10個で40円。
ネパールはヒンドゥー国家らしいのですが、そのヒンドゥー文化は仏教や土着の信仰とミックスされているみたいで、インドのような大きい経済格差や、生へのギラギラした執着はあまり無さそうです。隣り合う国で同じヒンドゥー教なのに不思議です。公園での子供の遊びもインドやバングラはクリケット一色だったのが、ネパールではサッカーや蹴鞠などの足を使う遊びに変わっていました。
ネパール人の顔もインドとは結構違います。日本人のような顔をした人が結構いるのです。インド人顔、東洋人顔、西洋人顔、それらの混血、という感じで多様な顔の人達がいました。日本人っぽい顔の人は服装も日本人っぽい(そこもインド人とは違う。インド人は服装に気を使っていないように見える)ので、見分けるのが難しいです。それなのに、ハシシの売人やツアーの客引き達は、僕のことを一瞬で日本人だとちゃんと見分けるのです。なぜなんだろう?
カトマンドゥのタメル地区
旅人にとって必要なものが全て揃っているという超ツーリスティックエリアです。安宿、ネット屋、レストラン、スーパー、商店、服屋、みやげ物屋、etc。なので、みんなここの安宿に泊まります。僕も一泊360円の快適なツインの部屋を一人で借りました。タメルにはまた、日本語の書籍を扱う古本屋が多数あり、思わず何冊か買ってしまいました。荷物が増えるのに。。。
ネパールに多数ある、お釈迦様の目が四方を見渡す仏塔:ストゥーパ。
青空の中、はためく無数のタルチョ(色とりどりの旗)が綺麗でした。
ストゥーパにはチベット仏教の僧侶が多数参拝に来ています。
下の写真は、チベット僧と女の子がマニ車を廻しているところ。
マニ車というのは、お経が書いた紙が中に入っていて、これを廻すことにより一回読経するのと同じ効果が得られるというものです。便利ですね。僕もせっかくなので廻しに廻しました。
カトマンドゥの中心地ダルバール広場には旧王宮や多数の寺院があり、京都や奈良のような古都の雰囲気です。
ヒンドゥー聖地パシュパティナートでの毎夜のお祭り騒ぎ(プージャ)
みんなで歌って踊って楽しそうでした。
ここではまた、川辺での火葬もしていたし、まるでバラナシのようでした。
カトマンドゥ旧市街
人が多いです。歩いていると頻繁に小さい寺院が現れます。いい感じです。
小高い丘でのサッカー大会。
信じられないくらいデコボコで波打ったようなグラウンドで試合をしていてびっくりしました。300人くらい観衆がいるし、トロフィーなんかも用意されているし、今後一ヶ月も続く大会らしいのに。最も驚いたのは、グラウンドの真っ只中から巨大な鉄の棒が円盤付きで突き出ていたことです。
これは”コインの木”という歯を治すという神様です。
ネパールやカトマンドゥは神の住む国らしくて、住人の数よりも神様の数の方が多いというくらいたくさんの神様がいるらしいです。それもヒンドゥーや仏教、土着の神様、などなど多種多様な神様のようです。
僕も旅に出る前から続いている歯痛があるので、このコインの木にお参りしました。不思議なことにその日から歯痛はぱったりなくなりました。でも、これを書いている今は歯痛は復活しています。。。カトマンドゥを出たからかなあ。それとも気のせいだったのか。
せっかくこういう聖なる地に来たこともあるので、カトマンドゥで瞑想修行をすることにしました。ヴィパッサナという瞑想方法で、10日間寺に泊り込んで行う割と厳しめの修行らしいですが、しかも寺は標高2000mの高地らしく非常に寒いらしいですが。南アフリカのケープタウンで出会ったSMさんにカトマンドゥでの瞑想の話を聞いて以来、ずっとやってみたかったのです。話によると、体内の気をコントロールして身体をポカポカ暖かくできたりするらしいです。ちなみに瞑想スタートは2月14日のバレンタインデーです。瞑想がどんなものかについては、また今度、瞑想開始前にでも詳しくアップしたいと思います。
カトマンドゥは旅行者にとっては非常に素晴らしい場所なのですが、問題も結構ある場所のようです。政治的な。僕が到着する2、3日前にもカトマンドゥで大きなスト&デモがあったらしいです。レストランのボーイ(韓流スターっぽい男前)が教えてくれました。
昔は毎日6時間の停電なんて無かったそうです。国の経済が苦しいみたいで、原因は政治が悪いとネパール人は思っています。ネパール人は声を大にして言えないっぽいですが、ガイドブックによると、2001年に起きた国王一家暗殺事件以降、政治はずっと混乱しているらしいです。事件後、前国王の弟が新国王になり、その後議会を廃止して独裁体制を築いたのだそうです。一家暗殺事件の犯人は、やっぱりその現国王なのではないでしょうか。何度も大規模なストやデモを行ったことにより、徐々に民主化に向かってはいるらしいですが、インフレや停電や経済不振などで暮らしは大変らしく、毎日1000人以上のネパール人が国外に仕事を求めて出国しているらしいです。行き先は、ドバイ、オマーン、シンガポール、マレーシアなどだそうです。韓流スター似の彼も早く金を貯めて海外に行きたいと言っていました。
<近況>
現在はヒマラヤの麓の町ポカラです。トレッキングをしようと思って来たのですが、なんだか寒そうなのでどうしようかと思案中です。