2008年12月26日のブログ記事一覧-ギャラリー貴祥庵 ―《貴志 理の 日々の思いついたままのイメージ絵画、心に残る言葉、歳時の記録を綴る》―


雪譜7

   ゆきがふる ゆきがふる。
   しろい雪がふる。
   あをい雪がふる。
   ひづめの音がする、
   樹をたたく啄木鳥(きつつき)のやうなおとがする。
   天馬のやうにひらりとおりたつたのは
   茶と金(きん)との縞馬である。
   若草のやうにこころよく その鼻と耳とはそよいでゐる。
   封じられた五音(いん)の丘にのぼり、
   こゑもなく 空(くう)をかめば、
   未知の曼陀羅はくづれ落ちようとする。
   おそろしい縞馬め!
   わたしの舌から、わたしの胸から鬼火(あをび)がもえる。
   ゆきがふる ゆきがふる、
   赤と紫とまだらの雪がふる。
                   大手拓次「曼陀羅を食ふ縞馬」
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