雪譜7 - ギャラリー貴祥庵 ―《貴志 理の 日々の思いついたままのイメージ絵画、心に残る言葉、歳時の記録を綴る》―


雪譜7

   ゆきがふる ゆきがふる。
   しろい雪がふる。
   あをい雪がふる。
   ひづめの音がする、
   樹をたたく啄木鳥(きつつき)のやうなおとがする。
   天馬のやうにひらりとおりたつたのは
   茶と金(きん)との縞馬である。
   若草のやうにこころよく その鼻と耳とはそよいでゐる。
   封じられた五音(いん)の丘にのぼり、
   こゑもなく 空(くう)をかめば、
   未知の曼陀羅はくづれ落ちようとする。
   おそろしい縞馬め!
   わたしの舌から、わたしの胸から鬼火(あをび)がもえる。
   ゆきがふる ゆきがふる、
   赤と紫とまだらの雪がふる。
                   大手拓次「曼陀羅を食ふ縞馬」
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コメント
 
 
 
Unknown (とよチャンネル)
2008-12-26 14:16:03
雪譜という言葉いいですね。
貴祥庵さんは言葉のセンスもおありなんですね。


与えるも奪うも愛の雪月花    友行
 
 
 
Unknown (orangeboy)
2008-12-26 22:59:34
趣のある、内容ですね!
 
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