胃カメラは特に苦しかったので別枠で書くことにした。
朝、カカさんに「昨夜何か食べたか」と聞かれた時に、胃の検査があるんだなと思った。
だが、胃カメラなのかバリウムなのかまでは考えが及ばなかった。
眼底写真を撮った後、次の検査場所を教えてもらった。
それが内視鏡だった。
この時になって、バリウムじゃなくって胃カメラなのだと分かった。
胃カメラの検査は4回目か5回目である。
その多くは胃が痛んで受けた検査であるが、
ここ数年胃が痛くなるどころか口内炎さえ出来たことがない。
有り難いことではあるが、口内炎が出来る程度に悩みがあった方が
ボケにくいのではないかと思ったりする。
前回、胃カメラの飲んだのは確か4年前。
それも人間ドックだったが此処とは違う病院だった。
先生が美人だったことは憶えているが、苦しかったかどうかは記憶にない。
従って、苦しいという先入観は全くなかった。
30分ほど待ってから暗い部屋に通された。
看護婦さんが注射器の形をしたスポイドで麻酔ゼリーを口に流し込む。
指示通り一分間口に含んでから飲み込んだ。
そしてベッドに横向きに寝ていると、先生がやって来た。
暗いしメガネを外されているので顔は見えないが、声の感じからすると20代の女先生。
たぶん戸田恵梨香似であろうと勝手に想像する。
マウスピースを口に挟むと先端が光輝く黒いケーブルが近づいてきた。
マウスピースの中を通って口に中に入ってくる。
喉奥まで届くと反射的に「オエッー」が出た。
唾を飲み込むようにしてください、と先生は仰るが
口を開けた状態で唾を飲み込むというような芸当はできず、
顎と肩に力が入るばかりである。
ケーブルが喉奥を押しつけるたびに「オエッー」が出る。
鼻から息を吸って口から吐けと仰るが、言う通りにしてもなかなか喉奥を通過しない。
何度もトライしてやっと喉奥を通り越した時には目に涙が滲んでいた。
カメラは食道を徐々に下がっていった。
やっと胃に到達したかと思えば、十二指腸まで行きますね、と先生。
細い十二指腸に太いケーブルが分け入っていく。
しこたま酒を飲んだ翌日に、水分の少ない太いのが
尻から外の世界へ出ていきそうで出られない時のような圧迫感がある。
これが一番苦しいですからね、という先生の言葉を信じて耐えた。
胃カメラはしばらく十二指腸を観察した後、胃に戻ってきた。
最難関を通り越したという安堵はあったが、そうではなかった。
カメラの先端が胃の中をあっちこっち向きと変えて動きまわる。
どうやら胃を広げて観察するために空気を送り込んでいるようで
ゲップが次から次へと出てくる。
ゲップを我慢できますか、と仰るが
ゲップを我慢すると回数が減った代わりに、大きなゲップがまとめて出てしまう。
ゲップと同時に、腹をすかした牛のように涎が止めどなく垂れ落ちる。
傍から見るとかなり無様な姿態をさらしていると思うが自分自身を制御する術はない。
看護婦さんがスポイドを枕元に置いたのが見えた。
先生がそれを取って、管から胃に注入しているようだ。
胃を膨らますためのものらしいが、4本か5本か注入したと思われる。
空気もどんどんと送り込まれる。
ゲップを耐えれば早く終わると分かっていても
下痢を我慢するのと同じでどうにもこうにもならないのである。
カシャと写真を撮るような音が聞こえたように思うが定かではない。
ケーブルが徐々に胃から引き抜かれていく時は、
解放感やら安堵感やら達成感でいっぱいだった。
先生から
横隔膜の間から胃がせり上がっていて、ゲップが出やすい体の作りだと説明があったが
内心では「コイツ、こらえ性のないヤツだ」と思われていたかもしれない。
涎と涙を拭いて眼鏡を掛けたときには、先生は既にいなかった。
次の患者のところへ行ったのだろう。
多忙な先生に随分と手間を取らせてしまったようだ。
検査室を出ると、ベンチに座り待っている人たちの視線が集まった。
開けっ放しのドアから「オエッー、オエッー」が聞こえていたのかもしれない。
病院からの帰り道、歩を進めるたびに放屁がプスプスと出た。
胃を膨らますために送り込んだ空気は、腸のほうに流れ込んでいたようだ。
喉の違和感は、1日半経った今も消えていない。
なんくるないさ
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一度も 体験してません~
お医者さんによって、かなり苦しみが、違うみたいですよ。留守の夫が、よく申しておりました。
お大事に なさって下さいませ♪
女性は痛みに強いと言いますから
話のネタに一度は体験してください。
鼻から入れるタイプは楽らしいです。