雲ノ平界隈 3日目(3)

2011年08月28日 | 登山

 稜線伝いに黒部五郎小舎に向かうルートを確認した。人影は見当たらなかった。みな日本一美しいと言われるカールの中を歩きたいのだろう。ザックをデポした五郎の肩まで戻り、尾根伝いに雲ノ平の方向に進んだ。ガイドに率いられたツアーグループと行き交う。小屋に荷物を預け、軽身での往復だそうだ。五郎の北壁を眺めながらカールに向かって下った。山頂から見れば美しかったのに、カールの中に入ると感動は薄かった。お天気や光の具合もあるのだろう。朝日が当たる時間にくればもっと感動できただろうと思った。

 カールの中から鷲羽やワニモが見えていた。さらに下ると水晶岳が見え出す。少し霞んではいるがまた見入ってしまう。カールを後にして樹林帯の道へ入った。小学生の親子に追い越され、お年寄り夫婦にも追い越された。背中が軋むのがわかる。汗の種類が変わり、皮膚の深い部分が滲み出た、濁って匂いのきつい汗が出ているように思えた。

 樹林帯の中を1時間ほど歩き、16時、やっと黒部五郎小舎に辿り着いた。山荘前のベンチではくつろいでいる人たちがたくさんいる。受付でテント場代を払い、200mほど南に見えるテント場へ向かった。20張りほど張れる上段のテント場はほぼ埋まっていて下段へ下りた。そこには今朝北ノ俣岳手前で追い越された女性たちがいた。何時に着いたかと聞くと、1時間半前かな、と涼しそうに言う。山頂で写真を撮りあった母娘はテントを張り終えたところだった。テント場の奥の方に整地されたフラットな地面であった。岩の突起があって寝れば背中が痛そうなので、何とかどかそうとしたが石に根が生えていた。テントはインナーシート、フライシートともに濡れていて、インナーだけ設営してフライは大岩の上に干した。

 テント場には水場がなく、小屋へ水汲みに戻った。ホースから流れ出る飲み水は飲み物を冷やす水としても使われていて、水槽の中でビールが泳いでいた。水以外の飲食物は全て自前で済ますつもりだった。いったんは我慢してテント場へ戻りかけたが、今日は頑張ったのだからと引き返し、1本だけ手に取り小屋の受付でお金を払った。一度タガが外れると明日からは脆いだろうなと思った。その後またまた洗濯した。テント場に帰っていると30代の単独にいちゃんとすれ違う。お疲れのようだったので、今日はどちらからと聞いた。新穂高からテントを背負ってやって来たそうである。考えただけで大変である。

 到着時、ザックからテントを引っ張り出した時にリベットが転がっているのを見つけていた。何処のリベットが外れたのかと確認すると、ザックの中央を支えるアルミスティを止めている金具だった。ザックのバランスが悪かった理由が解った。その後、どうやって直そうかと考えていたが、細長い小石と予備用に持っていた靴紐で応急処置をした。

 岩の上で晩御飯を食べていると、先ほどのにいちゃんがやってきた。明日は薬師峠にテントを張って薬師岳往復するそうである。体力のあることが羨ましい。そして明後日は雲ノ平に入るそうである。こちらは明日が雲ノ平。もう会うことはないだろう。日没直前にテント場の周辺を歩いた。雲の合間から最終日に登る予定の笠ヶ岳の頭が見えた。


  黒部五郎から槍ヶ岳


  五郎山頂から


  カールから山頂を見上げる


  カールの中で


  水晶岳 ~ 鷲羽岳


  水晶岳アップ


  テント場  笠ヶ岳が薄っすらと






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