
これはアシナガバチ(9月撮影)
「ハチはなぜ大量死したのか」には驚くような話が紹介されています。
ハチが仕事を分業化していることは良く知られていますね。卵を産む女王蜂、幼蜂を育てる育児蜂、花蜜を集める採餌蜂と仕事を分業化することにより、効率良く花蜜を集め、巣の中で花蜜を濃縮して蜂蜜にして冬に備えて食料を備蓄し、蜂蜜と花粉を混ぜてロイヤルゼリーを作って幼蜂を育てて子孫を繁栄させる。素晴らしい花畑を見つけると腰振りダンスで仲間に方角と距離を教えて花蜜集めに仲間を誘う。砂糖水のように薄い花蜜を濃縮するには、巣の中で羽を震わせて温度を上げているのだとか。こうしたハチの生態についても詳しく説明され、感心するようなことばかりです。
こうして作られた蜂蜜を人間は横取りしてきたわけです。それだけに終わることなく、ハチの習性を利用して、米国陸軍は地雷探索までさせているという話には驚きました。まず、ミツバチに地雷の匂いを付けた砂糖水を与えます。ミツバチは地雷の匂いのある草むらで花を探します。ハチは騙されたことに気づくそうですが、その前にレーダーでハチの居場所を追跡して地雷の場所を突き止めてしまうのだとか・・・。地雷探索には、ミツバチは犬より覚えが早いし、広範囲をカバーできる。犬では地雷の暴発による危険があるが、ミツバチでは暴発による被害もないということです。同じようなやり方で、某環境学者は、ある川で検出された環境汚染物質の匂いを覚えさせたミツバチを使って、汚染物質を川に流した上流にある会社を突き止めたとか・・・。
こんな話は例外としても、ミツバチは単に蜂蜜を得るための有益な昆虫という訳ではなく、大規模農場にあっては花粉媒介のための労働者なのです。前のブログで書いたように、ミツバチはトラック(飛行機のことも)で移動して、授粉作業を担っているのです。
中国の四川省のナシ園では農薬を使いすぎて花粉を運ぶべきミツバチがいなくなってしまい、仕方なく人間が手で授粉作業をしているそうです。(日本のリンゴ園では品質の良いリンゴを作るために、手で授粉作業をすることもあるそうですが)。ネパールのリンゴ園では、実が全くならなくなったため、理由は解らないままにリンゴの木を切り倒してしまったそうですが、ある農夫は昆虫がさっぱりいなくなったことに気付いていたとか・・。
あまりにも自然に逆らった話が多くて、恐ろしくなりました。
この本を読んで、ミツバチ情報にも敏感になってきました。