秋篠寺沿革略記
『奈良時代末期宝亀七年(七七六)、光仁天皇の勅願により地を平城宮大極殿西北の高台に占め、薬師如来を本尊と拝し僧正善珠大徳の開基になる当寺造営は、次代桓武天皇の勅旨に引き継がれ平安遷都とほぼ時を同じくしてその完成を見、爾来,殊に承和初年常暁律師により大元帥御修法の伝来されて以後、大元帥明王影現の霊地たる由緒を以って歴朝の尊願を重ね
真言密教道場として隆盛を極めるも、保延元年(一 一三五) 一山兵火に罹り僅かに講堂他数棟を残すのみにて金堂東西両塔等主要伽藍の大部分を焼失し、そのおもかげは現今もなお林中に点在する数多の礎石及び境内各処より出土する古瓦等に偲ぶ外なく、更に鎌倉時代以降、現本堂の改修をはじめ諸尊像の修補、南大門の再興等室町桃山各時代に亘る復興造営の甲斐も空しく、明治初年廃仏棄釈の嵐は十指に余る諸院諸坊とともに寺域の大半を奪い、自然のままに繁る樹林の中に千古の歴史を秘めて佇む現在の姿を呈するに至っている。
当寺草創に関しては一面、宝亀以前当時秋篠朝臣の所領であったと思われる当地に既に秋篠氏の氏寺として営まれていた一寺院があり、後に光仁天皇が善珠僧正を招じて勅願寺に変えられたと見る説もあり、詳しくは今後の研究を待つ外ないが、当寺の名称の起りを解明する一見解として留意すべきである。
なお宗派は当初の法相宗より平安時代以後真言宗に転じ、明治初年浄土宗に属するも,、昭和二十四年以降単立宗教法人として既成の如何なる宗派宗旨にも偏することなく仏教二千五百年の伝統に立脚して新時代に在るべき人間の姿を築かんとするものである。』
上の文章は秋篠寺へ入る時に頂いた、小さなパンフレットに書かれたもの。これを読んですっと理解できる人は、かなり日本歴史に詳しい人か、その道の研究者だろうと思う。難しい漢字もそのまま。文章は延々と続き、読点がなかなか出てこない。正直とても読みにくい難しい文章で、一定の予備知識がないと読んでられない。
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と言う訳で、奈良の秋篠寺へ行った。京都の寺院はそこそこ名前も知っているものが多かったが、奈良、となると超有名な東大寺や興福寺、法隆寺、薬師寺といった本当にメジャーなものしか知らなかった。
このところ奈良方面の寺院神社を尋ねるようになって、改めて奈良のすごさというものを感じ始めている。とりあえずは京都府との境に近い、行きやすいところを目指している。高速を使っても、家からは50分ぐらいかかる。これが法隆寺とかになると、行き帰りだけで相当な時間もかかるし、決心してかからなければならない。
秋篠寺の概略は上の文章の通りだが、要は奈良時代の終わり頃に、光仁天皇の命によって建立された。当時この辺りが秋篠と呼ばれていたということで、この名前になっている。後年、戦によって消失したりするものの、鎌倉時代には再建されている。
なお以前に紹介した西大寺との間では、寺の領域を巡って、たびたび争いがあったとのこと。一時はそれだけこのお寺の勢力が強まっていたことを物語っている。
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本堂は国宝。そして多数の仏像が重要文化財に指定されており、ずらりと並ぶその景観は迫力十分。まさしく必見といえる。
なかでも伎芸天立像が非常に有名らしく、他の仏像などと違って、容姿全体が優雅な姿をしていて、極めて珍しいということのようだ。もちろん堂内は撮影禁止なので、購入したパンフレット の写真を転用させてもらって、ここに載せている。
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市内中心部から少し離れていて、人は少なかった。やはり皆さん、どうしても東大寺や興福寺といった、交通便利で中心部にある方へ行ってしまうんだろう。
八所御霊神社は、奈良末期の創建で、秋篠寺の鎮守。「御霊」についてはネット上に様々な解説があるけれども、自分自身が全く勉強不足、理解不十分ということで、今回は割愛する。
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