木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《善き人》

2013-03-24 23:57:36 | 日記


『善き人』(2008年イギリス/ドイツ)

優しき男が、ふとしたきっかけでズルズルとナチスにはまり…

安楽死をテーマに執筆した小説が、ヒトラーに気に入られてしまい。
気が付いたら、ナチに入党しているジョン。
断ったら、大変な目に合うのは明白。
気弱になる事、しばしば。
ユダヤ人である親友のモーリスは猛反発、絶好か?
ジョンは美しく若い愛人と再婚、順調に出世するなか。
ついにナチスの手がモーリスへと…

良識があり、優しく穏やかな男が。
恐怖の前に、良識は影が薄くなり。
優しさは、ただの優柔不断となり。
穏やかさは気弱さと成り果てる。
美しい妻や出世を手に入れる度に、大切な何かも失っていく。

普通の人が、あれよあれよとナチに深入りする様が恐ろしい…
迷ったあげくの行動が、報われない姿が痛々しいが。
最後の藁を躊躇される身は、もっと辛い。

勇気が有れば…
奸智にたけていれば…

受け身な男は辛いよ、な状況。
現実逃避したくなるよなぁ。

もろ手を挙げて賛成した訳でも、
進んで参加した訳でもないが。
自らが所属し、反対はしなかった事実が、
実態として、結果として目の前に現れ、
重く、ひたすら重~くのしかかる。


引き返せない。
償えない。


難しい題材を、文句なしに映像化。
って、原作戯曲読んでないので違いは不明。
ヴィゴ・モーテンセンが、またしても上手い。
なんかよく分からんが、ヴィンテージものの演技(褒めてます)。


ハンソロが固まっちゃった時のチューイの嘆き。
この映画鑑賞後の第一感想、チューイのあの鳴き(泣き)声。。。


『善き人』(2008年イギリス/ドイツ)
監督:ヴィセンテ・アモリン、原作戯曲:C・P・テイラー、脚本:ジョン・ラサール、撮影:アンドリュー・ダン
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ジェイソン・アイザックス、ジョディ・ウィッテカー、
スティーヴン・マッキントッシュ、マーク・ストロング