目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「地虫鳴く」 木内昇

2006年05月11日 | 読書
久しぶりに読んだ新選組モノ。
「地虫鳴く」 木内昇 (河出書房新社)

先日DVDで「新選組!! 土方歳三最期の一日」を観直したら、
どうにも体内新選組度が上昇して仕方なくなったのです。
ネットで物色していると、前作「新選組 幕末の青嵐」
非常に面白かった木内さんの本を見つけたので購入。

これ、まるで大河ドラマそのまんまな感じの、
等身大の青春小説だったんです。
あまりに好きな小説で、ほぼ日刊イトイ新聞の
新選組を知るならこの一冊特集に感想文を載せてもらったくらいです。
こちらで「新選組 幕末の青嵐」と「風光る」を紹介させてもらいました)

前作では、多摩から京へのぼり、時代の流れの中で
何かを成し遂げようとする若者集団を描いていました。
本作では、その最盛期から徐々に足並みが乱れ出し、
局内粛清が頻繁に行われるようになった時代以降を
細かに描いています。

面白いのは、スポットが当たっている人物、
語り手となる人物がマイナーなこと。
(ははは いかにも私好み!)

新選組内を見守るのは 監察に選ばれた尾形(とコンビの山崎)、
御陵衛士となって新選組を離脱する伊東甲子太郎一派を篠原が、
そして、無名隊士である阿部十郎の視点から 
この激動の時代が語られるのです。

昨日の友は今日の敵。
勤王、尊王って何が違うの??佐幕って??と
いまだによくわからなくなってくる私ですが、
この渦中にいた人たちも、実はよくわかってなかったんじゃないか??
もちろん、大きな志を持った薩長や土佐の人間、
近藤や伊東は別として、彼らについていく若者たちは
ただ その長となる人物を信じて”これが正しい道”と
自分に言い聞かせるしかなかったんじゃないのかなぁ・・・。

でも、自分が守るべきもの、自分を守ってくれるものが
何も見えないとしたら、どれほど不安で身の置き場がないことだろう。
阿部はそんな人間の1人だったんです。

この小説の登場人物たちは 思いきり人間臭く、
交わす言葉も生々しく、まるでこの耳で聞いたよう。
多くの人々が新しい時代の胎動の中で 
若い命を散らしていったんですね。

そんな彼らが夢見た新しい国、
130年後の日本を見たら、どんな風に思うのかな。
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 予想外の美味しさ! 神戸シ... | トップ | 待ち遠しい 猫村さん!! »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
新撰組が主題なのは (iruka)
2006-05-13 01:42:44
「燃えよ剣」しか読んでないです。

幕末ものを読むと必ず新撰組が登場しますけどね。

これはkinoさん好み^^の青春ものなんですね。

面白そうですね。

むか~し、漫画のりぼんで、新撰組の漫画あったんだよなー。

あー、思い出せないっ!

作者は男の人で、ここまで出掛かっているんですが

だめだ。寝るとします(笑)

返信する
読みやすい (kino)
2006-05-13 19:55:20
>irukaさん

これは大河ドラマとよく似た感じの、

親しみやすい新選組です。

作者が女性らしいので、だから読みやすいのかな。

うーむ その漫画知らないです。

読んでみたいな。
返信する
水戸っぽとしては。。 (mさと)
2006-05-16 12:38:13
わたしは芹沢さんしか読んでいなかったですね。しかも文庫本で一冊だけ。。

読量が少なくなったなぁ。。本読まなくちゃ、みんなについていけない。(T.T)



ちなみに、うちのカミさんのご先祖様は天狗党だったらしい。(^^ゞ
返信する
天狗党! (kino)
2006-05-16 23:33:35
>さとさん

やっぱり 思いいれのある人物がいますよね。

私は山南さんです!



おおー 天狗党の末裔!

なんかかっこいい・・・。150年ほど前、自分のご先祖は

何してたんだろう?と思いますね。
返信する
はじめまして (Aki_1031)
2007-01-31 19:35:00
こんにちは。はじめまして!
1年前のの記事にコメントしてしまいすみません。
私も最近この本を読んで、阿部の
>自分が守るべきもの、自分を守ってくれるものが
何も見えないとしたら、どれほど不安で身の置き場がないことだろう。
に激しく同意しました!
淡々とした文章で話も暗いですが、とっても魅力的なんですよね。
TBさせて下さい。
返信する
ありがとうございます (☆kino)
2007-02-03 01:04:21
>Aki_1031さん
はじめまして!コメントありがとうございます。
ほんと、暗いお話でしたが、登場人物たちを
すごく身近に感じられる物語でした。
脇役が主役、というのが私好み!!
また木内さんの本、出ないかなー。
返信する

コメントを投稿