目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「キネマの神様」 原田マハ

2012年01月16日 | 読書
最近は読書メーターでお茶を濁してて
ちゃんと感想書いてない本が多かったけど、
これは、私のブログを覗いてくださる
映画好きの方に是非読んで欲しい小説だったので紹介します!

「キネマの神様」(原田マハ 文藝春秋 文庫もあり)

3年ほど前に出た本ですが、当時タイトルが気になってて、
”読みたいリスト”に入れていたんだけど、
今頃になってやっと読みました。
どうしてもっと早く読まなかったのか!!

大企業の課長だった主人公・歩は社内のゴタゴタのために
39歳にして退職。
彼女の父親は79歳のギャンブル狂で大の映画好き。
大病を患い、多額の借金を抱えながらもギャンブルをやめられない父を
なんとか立ち直らせたい。

一方、歩は老舗映画雑誌「映友」のライターとして職を得る。
実は、「映友」が興味を持ったのは彼女の父親が書いた文章だった。
長年映画鑑賞メモを書き綴ってきた父親を、「映友」HPの
映画評ブログで執筆させようというのだが・・・。

この物語、ありえない奇跡が起こる素敵な、
まさに”映画みたいな”話です。
でも、ここに書かれた映画ファンの熱い想い、
映画への愛、映画を観て誰かと語り合う喜びには
涙せずにいられません。

この世に映画がある限り、人々は映画館へ出かけていくだろう。
家族と、友人と、恋人と・・・
ひとり涙を流したいときには、ひとりぼっちで。

(本文より)

家で一人で、観たいときに観たいように観るDVDもいいけれど
映画館という非日常の中で映画という別世界に浸る
素晴らしさにはかないません。

”どこの映画館で何時から何を観ようかなー”と
ぴあ(今は無き)なんかでチェックするときから 
映画を観るワクワクが始まっています。
客席の照明が消えた時のいよいよ始まる!という緊張感!
そして、長いエンドロールを見つめながら余韻に浸るときの
幸福な気持ち。

私も暇さえあれば映画を観ることばかり考えていた映画好き。
毎週のように新作ロードショーに足を運び、
話題作が上映されるミニシアターに並び、
名画座で大好きな名作の2本立て・・・
なんてことが当たり前に出来ていたことの幸せは、
ここ数年映画館に行けなくなって初めて、身にしみてわかりました。
(子供が生まれたので・・・)

子供を寝かせた深夜、一人でDVDを観ても、やっぱり違うのです。
映画は相変わらず好きで、面白いけれど、
やっぱり映画館じゃなくちゃ!

そんな映画館で映画を観る楽しみと同時に描かれる、
お父さんの映画評。
まるで素人の感想文だけど、あたたかく心に訴える
独特の語り口が評判になります。
そこに突如カキコミを始めた”ローズ・バッド”(!市民ケーン!)なる
人物とお父さんはネット上でやりあうことになります。

そのきっかけとなる「フィールド・オブ・ドリームス」は
私の人生ベスト5に入るであろう大好きな1本。

映画を観ては掲示板やブログで感情的な中学生レベルの
感想文を書いてきた私が、この映画のことを書くとしたら
お父さんと似たような内容になると思います。
難しいことはわからないけど、とにかく親子愛!
叶えられなかった夢の実現!みたいな(笑)

そこに反論する”ローズ・バッド”は、この映画の背景にある
アメリカの社会や歴史、アメリカ人のコモンセンスを並べて
論理的に厳しく批評します。

・・・それが”映画評”というものなんですよね。
いくら映画が好きで、感情を書き連ねても
奥にはたどり着けない。
他の人に、その映画を観たいと思わせる説得力はない。

お父さんとローズ・バッドのやりとりは本当に面白い。
全部のやりとりを読みたい(笑)

そこから以降、まぁ、ベタな展開にはなりますが、
私は涙が止まらなかったのです。
夜読み始めて、最後まで一息に読んでしまって
涙でぐちゃぐちゃに。
(翌朝は目が腫れました)

これを読んだら、自分の大好きな映画を映画館で観たくなるはず。
そして、映画が好きでよかった。もっともっと映画を観よう、と
心から思うでしょう。

映画評と同じで、上手く書けませんでしたが、
映画好きの方、ぜひとも読んでみてください。
そうでない方も・・・映画「ニュー・シネマ・パラダイス」と
併せて是非。

ところで、原田マハさんって名前は知ってましたが、
読んだのは初めて。
あの原田宗典さんの妹なんですね!!
原田さんのエッセイ、大好きでよく読んでました・・・。
マハさんの本、他も読んでみよ。
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2 コメント

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キネマの神様 (ibiza)
2012-01-23 18:21:10
ご紹介ありがとうございました。すごーく良かったです。心温まりました。ヴァイオリンの調べ、心に染み渡るピアノの音色、シチリアの海の風景・・・・映画の題名を告げない締めくくりもにくいですね。残念ながら解りません!もしやブログのやり取りの中にあったかな?と思いペラペラめくってみましたが探せません。kinoさん教えてください。私もごうさんみたいなもんでこうして見知らぬ方のブログに入っての交流は初めてです。オペラ座の怪人がこのような世界を私に体験させてくれとても感謝です。これからご紹介頂いている本や映画どこまでこなせるやら、気が遠くなりそうですが子育ても終わり健康で自由な時間があります。少しのお仕事と旅行(昨年は北欧、中欧、シンガポール、東北、等)の合間にチャレンジしていきます。又フェースブックやホームページにもトライしたいと思っています。ところでアマゾンUKのDVD我が家ではPCでしか見られませんでした。kinoさんのは大丈夫でしたか?
返信する
ありがとうございます! (kino)
2012-01-23 23:18:12
>ibizaさん
早速読んでくださったんですね。ありがとうございます。
出てくる映画を知っていたら倍楽しめる、という感じでした。
ラストの”一番好きな映画”は、「ニュー・シネマ・パラダイス」です。
はじめのほうで、主人公が一人でテアトル銀幕に観に行ったとき、
同様の「シチリアの・・・」という描写がありましたし、
この映画以外ありえない!という一本です。
素晴らしい映画です。私も大好き。

子育ても終わられたのですね!うらやましいです・・・
まぁ、私は先にいろいろ楽しんでしまったので
あと10年は我慢しないといけませんね・・・。

まずはブログやtwitterから始められてみてはいかがですか?
知るほどに、世の中にはいろいろな方がいらして
それぞれに面白い世界を持っていらっしゃって
興味は尽きません。

そうそう、AmazonUKで買われた「オペラ座の怪人」の
DVDは、日本のものと再生方式が違うので、PCか、
リージョンフリーのプレイヤーでないと観られません。

日本のリージョンは2で、UKも同じ2ですが、なにやら
違うらしいのです。
同様にアメリカ版のDVDも観ることができません。
ウチは、海外版のDVDを観るためにリージョンフリーの
プレイヤーがありますので、それで観てます。

PCでご覧になる場合、リージョンの変更が3回までしか
できない、と聞いたことがあります。
もしご存知でなかったら、ご注意ください。

ブルーレイディスクは、海外のものでも日本のプレイヤーで
観られるようですよ。
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