目の中のリンゴ

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「心にナイフをしのばせて」 奥野修司

2006年09月25日 | 読書
最近、書評をよく見かける本です。
昭和44年に起こった、高校1年生の男子が、
同級生の少年に殺害された事件の
被害者家族を取材したルポタージュ。
やりきれない気持ちになりました・・・。

「心にナイフをしのばせて」 (奥野修司 文藝春秋)

この本は、記者である著者が、神戸連続児童殺傷事件
(”酒鬼薔薇”事件)に関連して、
約30年前に起こった同様の、少年による殺人事件を
調べ始めたことにはじまります。
それだけの歳月が経ったにもかかわらず、
この事件は、被害者の家族(両親・妹)に
未だに大きな、消し去ることの出来ない影をおとし、
苦しめています。

ちょっとした”いじめ”がもとだった、というような
関係者の証言がありますが、今となっては
加害者・少年Aの法廷での証言以外、
2人の間の出来事を語るものはありません。

突然の思いもよらない不幸に見舞われた家族が
どれほどの苦痛を味わうのか、
インタビューに応じて語る形式の文章は
まるで小説でも読んでいるように、心に迫ってきます。
こういう事件が起きたとき、しばらくは
マスコミは色々騒ぎ立て、容赦なく被害者家族を
追い回しても、未成年である加害者の人権は擁護されます。

なんとかあの事件には触れないように、
死んでいるように生きていく家族。
30年以上たっても、まだ事件は深い傷を残しています。
被害者の救済というものが一切なされていないことに
憤りを感じます。

また、一方の加害者。
彼は、医療少年院を出た後、父親の愛人の養子となり
(つまり、苗字を変えた) 有名大学に進学し
弁護士として生活しているそうです。
彼の過去はきれいに消え去り、今や地元の名士。
しかし、被害者家族へは、ひと言の謝罪も、
金銭による償いもなされていないといいます。
それでも彼は”更生”したと言えるのでしょうか・・・。

こういう問題は 論理的思考のできない私には
うまく語れそうにないのですが、
もう、”少年だから”保護しなければいけないという
考えは通用しないのではないか・・・と思います。

ああ やっぱりうまく書けなかった・・・。
ぜひ読んでみてください。
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