東京都現代美術館へ。




ディオール展はものすごい人気と聞いてはいたけど、ネット販売の前売りは完売だそうで、当日券はもしかして開館と同時に販売終了なのかも。



私はTCAA2021-2023受賞記念展へ。
東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館トーキョーアーツアンドスペースは、2018年に中堅アーティストの更なる飛躍を促すことを目的に「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)
」を創設した。
各回の受賞者は2組で、複数年に渡る支援の最終年に東京都現代美術館で受賞記念展を開催する。
第3回受賞者は、志賀理江子と竹内公太。
「さばかれえぬ私へ/Waiting for the Wind」。
会期は3月18日~6月18日。

竹内公太。
展示室になんだかわからない大きなのが横たわる。

このわけのわからないものは、第二次世界大戦末期の日本で作られた「風船爆弾」を模したもの。
「風船爆弾」は、直径10mほどの紙製の風船に水素を充填して焼夷弾をぶる下げてアメリカ本土への攻撃に使われた。約9300発が発射され、実際に数百発が北米大陸に着地したという。それによる被害はなかったようだけど。
竹内は、「風船爆弾」をリサーチし、過去の出来事-アーティスト-鑑賞者の「憑依の連鎖」を考察した。
TCAAを利用してアメリカへ渡り、風船爆弾が落下した地点を特定し、公文書を漁り、日本では風船爆弾を飛ばした地点のひとつの福島県いわき市で地元の人たちと歩いた。





竹内の風船爆弾は膨らんだり縮んだりを繰り返す。






こんな荒唐無稽なものを真剣に作っていたのかと思う。そういえば竹槍というのもあったらしい。
完全に狂っていたのだ。
でも戦争ってのはなくならないものなんだと突き付けられるのである。

志賀理江子。

愛知県生まれの志賀は2008年に宮城県に移住し、人間社会と自然との関りや、死の想像力から生を思考すること、何世代にもさかのぼる記憶などを題材に活動してきた。
そして東日本大震災。




高速道路が描かれる。





映像作品は撮影禁止。
タイトルは「風の吹くとき」。
私たちは今、海と陸の境に建てられた、長い道の上を歩いています
そしてこの体には、強い風が吹いてます
から始まる。
リポーター風といえば安っぽくなってしまうけど、女性が語りながら、強いヤマセに吹かれながら真っ暗な道を歩いて行く。
震災からの復興は、利害が渦巻くことでありそれに付随する様々な思惑がぶつかり合うことでもある。
自殺した人。その地域で一人だけ遺体がみつかってない人。
「俺ら、結局はバカにされたっちゃね」。
それでも志賀は結んだ。
それでもここは、とても見晴らしが良くて
海も、陸も、遠くの山も、地平線までも、よく見渡せます
波もよく見える
波を見ていると、今が、過去と未来にどう繋がっているのかよくわかる
それを繰り返し、ずっと見ていれば、私がどのように命を燃やしているのかよくわかる
さっき見えなかったものが、今、見えるような気がする
と。

