横浜市民ギャラリーあざみ野へ。


「あざみ野フォト・アニュアル2025」開催中。
会期は1月25日~2月23日。
横浜市民ギャラリーあざみ野のシリーズ展「あざみ野フォト・アニュアル」は、写真表現の現在を切り取る企画展と横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展を毎年開催。

今回の企画展は、気鋭の写真家・川崎裕の個展。


川崎裕(1985~)は滋賀県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。
今回の展覧会は3部構成。
「光景」。


経歴からして写真とはあまり縁の無さそうな川崎が写真家としての仕事を始めたのは、家族という。
遠いところがあった家族との関係が、身体を悪くしたことをきっかけに、カメラを介して家族との距離を測るような作業が始まったという。
そしてその後、家族の背景にあるものが気になるようになり、生まれ育った地元の風景を撮るようになったけど、「風景写真」らしい写真にはしたくないと思ったという。
というけど、この展覧会は全作品撮影可能なんだけど、ここまであけすけに撮られた写真をはたして私が撮っていいものかと躊躇するくらいの家族写真。
お祖母ちゃんの遺影。
まるでイエーイだけど実際の遺影。










「未成の周囲」。
家族の次は、2作目は、他人の土地である「熊野」を被写体にしたという。
地元の風景を撮ることを経て他人の土地を撮影するさいに、風景を風景にしている、風景写真を風景写真にしている条件のようなものが気になったという。

このおびただしい風景写真は、日本一距離の長い路線バス、奈良交通八木新宮線を乗り通し、フィルムで撮ったという。



ピンボケも多数混じる。
わざとではないピンボケ。

170㎞も路線バスに乗っていたら、しかも熊野、しかも限りあるフィルム。
それが自然であろうと思うのであった。



「他人の場所」。
この作品では、撮影する場所の選択を他人に委ね、「記憶に残っている風景」を教えてもらって撮ったという。







そうして、六つのコーナーに六つの物語が置かれ、持ち帰れるようになっているのである。
物語はあとでゆっくりと読むのだ。

土門拳とか藤原新也とか優れた写真家であり文筆家であった。
令和は優れた文筆家であり写真家となるのかもしれない。
