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消費者行動  by海藤

2009-09-14 18:50:20 | 日記
 消費者行動とは、個人、集団、組織が自身のニーズと欲求を満足させるために、製品、サービス、アイディア、経験をどのように選択し、購買し、使用し、廃棄するのかについての研究のことである。
 消費者行動のプロセスは、下の図のように、大きく分けて購買前行動・購買行動・購買後行動の3段階に分けられる。
 
図. 購買プロセスと購買に伴う消費者の心理的プロセス
         (ブログには載せられませんでした)


 第1段階の購買前行動とは、消費者が購買意思決定を行うのに必要な状況設定を行うための準備のプロセスである。通常、消費者は、製品またはサービスに対するニーズによって購買行動を遂行する。このニーズが生じるプロセスにおいては、企業側が行うプロモーション活動である広告等のマーケティング刺激が消費者に与えられ、消費者はこれに反応して、ニーズが生じる。この段階が問題認識のプロセスである。問題認識のプロセスは、消費者がニーズあるいは欲求を知覚し、より望ましい状況を創出するために現状の不満を解消することを通じて生起する。このように、問題認識のプロセスは消費者の内的かつ心理的プロセスとして把握される。消費者のニーズあるいは欲求は、外部刺激によって生起するが、これらの知覚は人間の内的反応の結果として生じる。例えば、美味しそうなケーキを視覚あるいは臭覚によってとらえ食欲を感じたとするならば外部刺激に対して反応したことになるが、欲求を生ずるのは人間の内的作用なのである。
 このような問題認識プロセスを経過すると、消費者は、問題解決に必要な情報探索行動をとる。情報探索は、購入対象となる製品・サービスあるいは、購入予定の店舗に関する情報の獲得に努力することであるが、日常生活上、意識的かつ無意識的に情報に接することも含まれている。言い換えれば、特定の製品・サービスの購入を目的とする情報探索のみならず、無目的での情報取得の行為も情報探索行動として理解されるのである。具体的にスポーツドリンクを例に挙げながら考えてみる。前者の例としては、スポーツ時に最高のパフォーマンスを行うことを目的とし、数社のスポーツドリンクを実際にスポーツ時に飲み、また、製品の成分や吸水性等のデータなどから比較して、最も目的に適した製品がどれなのかを考えることが、情報探索行動だと言える。また後者の例として、何気なくテレビのコマーシャルや新聞・雑誌の広告を見たり、目的のないショッピングでラベルやPOPに書いてある商品情報に接することによって、結果的に情報探索行動を遂行することになる。
 以上の情報探索が終了すると、次に情報内容の評価段階となる。情報の評価とは、消費者が入手した情報の中から一定の評価基準に基づいて意思決定に有用な情報を峻別することである。製品とは価格、色彩、嗜好、感覚、友人のアドバイスなどの物的要素と人的要素とに情報を包摂したきっかけ刺激の配列であるとされている。消費者は、代替製品選択の評価項目としてこれらのきっかけ刺激を受容し、きっかけ刺激がもたらされると消費者は情報に関して選択行動をとる。しかし、消費者の置かれる状況によって評価の程度は大きく相違する。例えば、ニーズの緊急度が高いほど評価のウェイトは小さく、製品購買が重要であれば評価が高くなり、代替案が複数で複雑になれば評価度が高くなる。消費者は自己の欲求・ニーズと代替製品の有用性とを比較・検討し、いくつかの可能な評価結果を創出する。
 
 第2段階の購買意思決定プロセスは、特定の製品・サービスを選択、購入する行動プロセスである。消費者は、情報探索活動と評価プロセスによって獲得した意思決定情報をもとに、代替案の中で最小犠牲によって最大成果の実現が期待されうる特定の対象を選択する。このように購買意思決定プロセスは、消費者行動において収束的なプロセスであり、一定の成果を生み出す起点でもある。購買意思決定プロセスは、①情報の組織化・統合化②意思決定基準の設定 ③意思決定 の3つの段階を経て複数の代替製品から1つの製品を選択するプロセスである。
 情報探索活動と評価プロセスとによって取得した情報を問題解決のために分析可能な内容に変換し、有効な意思決定データとして整えることが情報の組織化あるいは統合化の段階である。次に、意思決定に必要な代替製品の評価基準が設定され、これに基づいて製品属性や使用価値の比較を行う。基準とは判断の根拠となる価値あるいは評価の水準である。そして、消費者はそれぞれ異なった環境条件の下で各々の基準を作り出す。具体的には、意思決定基準の設定に影響する外在的要素としては、マーケティング情報、個人的関係におけるコミュニケーションがあげられる。そして内在要素としては、個人の知覚、ニーズ、動機、態度があげられる。
 ポカリスエットの代替製品としてまずあげられるのがアクエリアスであるが、両者を比較した際、価格や機能性の面においては大きな違いはない。よって、購入を促すために必要な要素としては、企業のマーケティング活動による製品イメージがあげられる。アクエリアスが飲料メーカーであるコカ・コーラ社の製品であるのに対し、ポカリスエットは製薬会社である大塚製薬の製品である。「製薬会社の商品=機能が高い」というイメージを抱く消費者は多いと考えられる。このイメージを活用してプロモーションを行うことができれば、消費者がアクエリアスよりポカリスエットを選好する重要な要素になると考えることができる。
 
 第3段階は購買後行動のプロセスである。消費者は、製品・サービスを購入し利用し、事故の購買意思決定が妥当であるか否か購買成果を評価する。この手順としてまず記憶セットを拡大し製品選択を行う。代替製品評価の際に当該製品に対し期待を持ち、購買後に製品を使用した結果としての製品パフォーマンスを獲得する。さらに製品への期待水準と製品パフォーマンスとの比較によって評価する。獲得されたパフォーマンスが期待水準を上回っていれば、消費者は満足するが、逆に、パフォーマンスが著しく期待水準を下回ると不満の状態になる。
 消費者満足は動機あるいは期待報酬が実際の購買成果と一致または上回る場合に生じる心理状態である。消費者満足は、継続的な購買意思決定の要因となる。消費者は満足することにより同一ブランド購買を継続し、ブランド・ロイヤリティーを形成する。ポカリスエットなどの飲料は最寄品に分類される。最寄品は、消費者によって頻繁に購入され、さらに同じブランドの商品を反復購入する特徴を持つ。つまり、飲料であるポカリスエットは、消費者を満足させることができれば、反復購入を期待することができるということになる。




参考文献
 「現代消費者行動論」 著者:松江 宏   創成社
 「コトラー&ケラーのマーケティングマネジメント 基本編」