太田焼きそば

日テレで放送中の「秘密のケンミンSHOW」を毎週楽しみに見ている。この番組の中でも、「県民熱愛グルメ」のコーナーは、地元民にとっては当たり前だが他県民は決して気づかない、日常的なB級グルメを紹介していて必見である。

「へ～ぇ」という目からウロコ的な食べ物が、意外に美味しいという事実は私の興味をそそり、関東圏なら食べに行きたいという欲求に変わる。

ツーリングの楽しみは走ることにあり、何も目的がなくともFZXに跨って道路を走るだけで楽しい。しかし、それにおいしい料理とか、素晴らしい景色とかプラスアルファが加わると、尚の事ツーリングが楽しくなる。

先日は、群馬県太田市の「太田焼きそば」なるものを紹介していた。太田市といえば、毎年１１月に行われる「航空ページェント」の会場であり、もう何度も訪れたことがある。

にもかかわらず、今まで太田市の焼きそばが有名だとは知らなかった。記憶をたどってみると、そういえば、会場の露店の一つに焼きそばというのがあったかな？という程度である。

その時紹介していた焼きそばというのは、何と具にキャベツしか入れない真っ黒な焼きそばで、もちもちしていて美味しいらしい。これは、食べに行くしかないと天気のいい日を待って出かけてみた。

航空ページェントには、高速道を使って行ったことがあるが、焼きそば１杯食べるのに高速道はふさわしくない、というわけで下道を選んだ。

R16号で野田まで行くが、平日だったせいか渋滞しており、それも大型トラックばかりで、すり抜けもままならない。こういう平日に走るバイカーは、すり抜けなどせず上品に走っている。そんな中、私だけが品なくすり抜けを繰り返して先頭に出る。

野田を過ぎ、庄和でR4号バイパスに乗って古河まで行く。海老名からの圏央道が古河まで伸びており、古河～つくば間が開通すれば、成田と海老名が結ばれることになる。

我が家から伊豆や甲府方面にツーリングに行く際に通らなくてはならない、首都高の慢性渋滞にはウンザリするが、ここ４～５年はやや緩和されてきたような気がする。C2や圏央道などの環状線を通る車が増えたためなのだろうか。

今年の４月からは、到着地が同じなら、経路が違っても同一料金という原則が適用され、迂回による料金的なデメリットはなくなった。これは、環状線の利用促進にはなるだろう。

圏央道の五霞ICを過ぎ、利根川を渡ると、R354号に左折する。少し走ると右手に広大な湿地帯が広がっている。渡良瀬遊水地である。

水を湛えた渡良瀬遊水地（谷中湖）はハート形をしており、私的には地図を見るたびに楽しくなる場所なのだが、もちろんそばに行ってもハートに見えるわけではない。

しかも、渡良瀬遊水地というのは、足尾銅山の鉱毒を薄めるために作られたらしいので、ハート形をしているから人間に優しいというわけでもない。しかし、広がる湖水と緑は心を穏やかにしてくれる。

太田焼きそばの店はたくさんあるらしいが、お目当ての真っ黒焼きそばは「岩崎屋」が有名だとのこと。Yahooナビを使って「岩崎屋」と検索し、太田市と表示されたので目的地に設定したら、最初とんでもないところ、何もないただの住宅地に案内された。

さんざん周囲を走った末に、ここは違う、と思い、岩崎屋でググってみたらホームページが見つかった。石橋十字路を目当てに、と書かれていたので、石橋十字路を目的地にセットしなおすと、４ｋｍほど先だった。

石橋十字路に行ってみると、少し伊勢崎に向かったところにある看板が目に入った。

入口横に屋台が置かれていて、岩崎屋の原点を復元したとの立て札があった。

店内は明るく小奇麗で、焼きそば屋によくある油ギトギト感はなかった。

メニューを見ると、焼きそばと焼きまんじゅうがメインで、駄菓子屋のようだ。しかも焼きそばときたら、２２０円の小から１０倍の２２００円の「特に名はないの上」まで１０種類もある。

「ん？」と首をかしげたくなるのは、１人前の中が３３０円、２人前のジャンボが６６０円なのに、トリプルが９９０円ではなく１３２０円、その上は５倍、１０倍の値段になっていることだ。

いったいどれくらいの量が出てくるのだろうと、興味をそそられたが、一人なのでおとなしく大を注文した。

運ばれてきた「焼きそば大」の見た目はそれほど大きくなかったが、これでも普通の店で言うところの大盛りである。食べてみると色の割には甘い味付けで、確かに美味しい！これなら特大でも良かったと思った。

お土産に焼きまんじゅうを頼んだが、店に来ている人の注文を聞いていると、お持ち帰りが多いようで、「焼きそば１０個」とか「焼きまんじゅう１０個」とか、すごい数を注文している人も少なからずいた。

お腹がいっぱいになったところで、岩崎屋を後にした。

帰りは、R17号を走るのもいいなぁとも思ったが、R17号はかなり迂回しなくてはならないので、県道３９号からR122号（太田バイパス）を通り、来た時と同じR354号を通って帰宅の途についた。

ＦＺＸな日々