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ニッポン泥棒
大沢 在昌
文藝春秋

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 『失業し、妻にも去られた64歳の尾津に、青年は突然告げた。あなたは未来予測ソフトウェア「ヒミコ」の開錠鍵”アダム四号”なのだ、と。ヒミコを狙う強大な勢力の手から、尾津は逃れられるのか? もう1人の開錠鍵”イブ二号の正体とは? リアルワールドとインターネットを股にかけた、かつてないサスペンスが幕を開ける!”』(文庫版より)

 現代のコンピュータネットワークでは、機密保持や電子署名などさまざまな局面に「暗号」が使われている。特に、公開鍵暗号方式という公開鍵・秘密鍵のペアを使う方法は「RSA」というアルゴリズムの独壇場だ。
 仕事のからみからソフトウェアや暗号のアルゴリズムには関心があり、大沢がどんな暗号を提示してくれるのか、というのも大きな楽しみの一つだった。未来予測ソフトウェア「ヒミコ」がどの程度の説得力をもって語られるのか。「人間」が暗号になるというのはどういうことか。

 んー、やってくれました! 最後まで大きな破たんなく読ませる作者の力量はみごと! 特に尾津がいい。64歳という年齢だけ聞くと「おぢいちゃん」というイメージだが、物語がすすむにつれ若々しい輝きを放ってくる。こういうぢぢいになりたい!と思わせてくれる。

 最後までわくわくどきどき楽しめた。コンピュータや暗号、謎解きに関心のある読者にはおススメ。ただ、大沢の「新宿鮫」ファンには、ちょっと方向性が違うかも。



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