村上龍といえば『半島を出よ』を読んでから気になっていた。「こんなことを考え出す作家はふだん何を考えているのだろう」と。
装丁に凝ったこの本の表紙に
「『13歳のハローワーク』から『半島を出よ』脱稿まで、孤独な小説家の2年間の奇跡とメッセージ。」
とあり、「孤独な小説家」の文句が目を惹いた。
というのも「小説家は孤独だ、孤独でなければ魂の底まで覗き見ることはできない」という思い込みが自分の何処かにあり、あえてそのことを表紙でうたう村上龍の孤独さがどれくらいのものかという興味と重なったのだと思う。
その孤独の深さだが、相当なものを持っていると感じた。執筆のために箱根に籠もるのだが、自分で食料品を買い込んでから行くのだ、この人は。
また、独自の視点から眺める時事問題もエスプリがきいててよい。やはり物事を見るためのぶれない座標軸をもっているのだな、と思った。
なお、アフィリエイトを張ってレコメンドしない理由はつまらないからではない。読むべき人はおのずと出会う本だと思うからだ。
| Trackback ( 0 )
|