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チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)
海堂 尊
宝島社

 映画になったら見てもいいけど、文章では絶対に読みたくない作家というのがいる。例えば、山田○介。目を覆いたくなるほど文章が下手。
 逆に本で十分、映画にはしてくれるな!という作品もあって『ハンニバル』なんかが(絶対視覚化してほしくないシーンがある)その代表例だろう。
 では、この作品はどうか? と問われれば、うまく作れば映画化もあり(それもシリーズ化)という骨太な小説である。

 現役医師の著者だけあって、心臓のバチスタ手術に関する描写は読ませるし、鋭い筆先は現代日本の医療問題にまで切り込む。プロットは十分に練られ、単純に犯人探しをすればよいミステリーとは一線を画し、簡潔な描写でぐいぐい風景を切り取ってくる筆力は駆け出しの作家とは思えない。しかし、この作家の真骨頂は人物造形にある。
 ややカリカチュアライズされた登場人物が、紙面狭しと暴れまわって痛快この上ない。完全リアル志向ではここまでの軽妙さは出せなかっただろう。特に主人公・田口医師とロジカルモンスターの異名を持つ厚労省の白鳥捜査官コンビは最高!
 ともに小太り体型で、中年に一歩踏み込んでいるこの二人は等身大のヒーローだ。個性的だがちょっとさえない田口医師には感情移入してしまうし、世間の「カッコイイ姓=白鳥」というステロタイプなイメージを見事に壊し、お役所・大病院のヒエラルキー何するものぞという白鳥捜査官の活躍には拍手喝采間違いなしである。「第4回このミス大賞」は伊達ではないのだ。

 で、映画である。
 何ですか、阿部寛の白鳥捜査官に竹内結子の田口医師って・・・(TT) このコンビを生かすためには田口医師は男でなければならないし、白鳥捜査官は銀縁メガネの白豚でなければいけないのである(^^;
 そもそも最近の映画は安易に阿部寛を使いすぎ。『アジアンタムブルー』の阿部寛もちょっと辛かったゾ。キャスティングも腕の見せ所だと思うのだが・・・。
(個人的に「トリック」の上田は大好き(^^))

 現在、続編として『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』まで刊行されている。映画しか見ていない方、お口直しに3作まとめてどうぞ。

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