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 ポイントは「あなたが常識だと思っていることは仮説かもしれない」ということ。なるほど、「世の中の常識」と思われていることが、実はそうではなかったという例がたくさん挙げてあり、教養書(雑学書?)を読むのが好きな人や学校などで授業を持っている教師のネタ本としてはいいかもしれない。自分も楽しく読めた。
 しかし・・・著者の竹内先生、サービス精神旺盛で博覧強記ぶりを発揮するのいいんだけど、適当、もとい筆が滑るのはいただけない。気のついたものから2点だけあげておく。

 ひとつはP39.ガリレオが自分の発明した望遠鏡を教授たちにのぞかせるシーン。
「・・・それまではボンヤリとした光る点にすぎなかった夜空の星々が拡大され、・・・」
天体望遠鏡を覗いたことのある方なら分かると思うが、拡大されて見えるのは月や惑星など、比較的近くの天体だけ。恒星はものすご~く遠くにあるので、望遠鏡で見ても拡大されて見えない。
 天体望遠鏡で星をのぞく意味は、(1)肉眼で見えない暗い星まで観察できる(集光力のアップ) (2)肉眼では分離できないほど接近した星が離れて見える (分解能のアップ)の2点。

 もうひとつは、「あたまがやわらかくなる仮説2」という読者への質問で、日本の海岸線の長さについての仮説を紹介し、真偽を尋ねている。主旨はフラクタル図形の考え方で、使用する「ものさし」の精度によって、海岸線の総延長は変化するということ。
 が、「日本の面積はおよそ370000平方キロメートルなので、一辺が600キロメートルの正方形に置き換えることができそうです(600×600=360000)。ということは、四つの辺の合計は600+600+600+600=2400キロメートル。つまりこれが日本の海岸線の長さです。」という導入部。アバウトすぎやしないか?
 この場合、正方形ではなく長方形で考えてみると、例えば360×1000=360000だから4辺の和は、360+1000+360+1000=2720キロメートルとなり、近似させる四角形を代えるだけで2720-2400=320キロメートルもの差が出ている。

 揚げ足取りをするような上記の記述は書いているこちらも気分良くないが、著者が「科学作家」を標榜しているので、あえて書く。読み物としては面白い本だと思うが鵜呑みは禁物。

 なお、数学教育の現状についてひとくさり述べている部分がある。同様の論が他の著者にも散見されるが、自分は違和感を感じている。これについては記事を改めて私見を述べたい。

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