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 前作『TRON』(1982年)を劇場で観てから20年近く経ちました。当時、ようやくものになりつつあるCGをふんだんに使ったディズニーの野心作、その続編がようやく日の目を見たことになります。CGが売り物の映画だったけれど当時観た感想は「確かにCGは使われている。けれど、その効果ではなく使われることに意義がある」程度のもの。まだ、人に感動を与えるレベルの映像では無かったなあ。
 ちなみにスター・ウォーズ1作目が1997年、登場するCGはといえばラインで構成される(ワイヤーフレーム)シンプルな映像のみでした(むしろ何度もカメラを同じように動かせるモーションコントロールというコンピュータ制御による絵作りが話題だった)。

 しかし、印象に残っているのはコンピュータ内部と現実世界、ゲームが融合したその世界観だったり。

 天才プログラマー、ケヴィン・フリンがレーザービームで分解され、取り込まれたコンピュータの世界が舞台。そこは擬人化されたプログラムが、意思をもって働く世界。監視役の「ゲート」、YesかNoしか意思表示できない「ビット(bitですね)」、プログラムたちが装備しゲームではフリスビーのような武器となる「ディスク(由来はフロッピー+フリスビー(^^; )」、DRAMのリフレッシュに着想を得たプログラムたちが水を飲んで元気になる「リフレッシュ」などなど・・・プログラムたちはユーザの指令よりも、専制君主的な「システム」の命令に従い命がけのゲームをさせられる日々。そんな中、自分のユーザであるアランに忠実であろうとするトロン(アランにコーディングされたシステム監視プログラム)と、コンピュータ世界へ転送されたフリンは出会う。

 CGはチャチだった(笑)けど、ライト・サイクル(壁を描いて相手を閉じこめるTVゲームがあった)やディスクで相手を破壊するゲームシーンに手に汗握り、スターウォーズに出てくる悪の皇帝のごとく電脳世界に君臨する「システム」に腹を立て、自分の使命を全うしようとするプログラムたちに感動し・・・いや、前置きが長くなった(^^;
 でも、この映画は『TRON』の続編なんで前作を観ないと面白さは半減どころか、1/10減してしまいます(^^;

 さて、本作。

 前作ラストで、大ヒットゲーム「宇宙のパラノイア」の著作権を横取りされたケヴィン・フリン。彼は自らコーディングした証拠を電脳世界でみつけ、エンコム社に復職し社長となっていた。息子のサムに電脳世界での冒険譚を語り聞かせる優しい父親でもあったが、ある日突然失踪する。
 20年後、カッ飛んだ青年になっていたサムに、かつてのケヴィンの同僚アランが「ポケベルにお父さんからと思われる連絡があった」と告げる。逡巡の後、サムが向かった場所はあの伝説のゲームセンター「フリンの店」だった。
 鍵を開けて店に入ったサムを待っていたのはシートをかぶせられた多数のゲーム機たち。ブレーカーのスイッチをバチン、バチン、と入れるたびに照明、ゲーム機灯が入っていく。やがて店の奥に置かれている「トロン」のゲーム機に気付いたサムは床についたひっかき傷からこのゲーム機の筐体が動かせることに気付き、その向こうの隠し扉の奥へ向かった・・・

 現在、封切り中の映画なのであらすじは、ひとまず、ここまで(^^;

 で、この映画のウリはなんといっても映像のカッコよさ!でしょ。So Cool!
 前作の世界観を踏襲しながら、まったく古さを感じさせない手腕はさすが! パンフによれば監督を勤めたジョゼフ・コジンスキーは建築学を学んだ映像クリエイターということでこの抜擢に見事に応えている。
 また、登場するライトサイクル(バイク)、レコグナイザー(前作のゲート)、戦闘機のデザインや形態変形もカコイイ。カッコいいだけでこんなにわくわくしてしまうんだから、カッコいいは正義なのだ(^^;

 テクノロジーに対するアンチテーゼも押さえていてる。「禅」が出てくるのにはちょっと驚いた。やはり技術を一方的に推し進めていくとバランスをとるための要素が必要になるのかな?
 ただ、トロンの文脈で禅が出てきたから驚いたのであって、コンピュータやネットワークの世界では古くから禅の信奉者は少なくないです。むしろ、現実世界を振り返ってみると、アンチテーゼではないが「デジタルデバイド」の文脈で語られる「技術に乗り切れない人たち」というのもいてよく言えば確信犯、悪く言えば開き直り(^^; もちろん、気持ちはあるが環境未整備が理由、という人たちもいるだろうけど、この視点が入るともっと面白くなったかも。
 それから連日報道されているマルウェア、ウィルスや、サイバー犯罪なんかの視点も欲しかったかな。なにせ、前作は1982年の作品だから、インターネットが一般に普及し始める10年以上も前の話なんです(^^;

 あと詳しくは書けないけれど、電脳世界でも自然界のような進化、それも突然変異が起き、それがケヴィン・フリンの予想しない方向へ事態が動く要因になっているというのがポイント。コンピュータ内部のデジタル世界の話なのに、予定通りにいかないというのは大いに示唆に富んでいます。

 ラスト、ポスターにもなっているサムが両手で高くディスクを掲げて「ライン」へ押し出してゆくシーン。前作のシーンとだぶって感動的でした。

 えっと、もう「ラスト」って言っちゃったけど、トロンは出ないの?と気になっている人もいるはず。ご安心下さい!(^_-

 それから、前作では戦艦の背景に「パックマン」が登場してファンの間で話題になってましたよね?
 あれ、今回も期待して行ったんだけど見逃した orz
 最後のクレジットに「BANDAI/NAMCO」ってあったから、きっとどこかで出たはずなんだけど・・・私はDVDが出たら再チャレンジしようと思います(^^;

 前作を見た人は必見! 見てない人は『TRON』を見てからごらん下さい(^^)

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