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 なぜか懐かしい風景の中、のんびり話が進むのがいい。蟲師ギンコの能力といわゆる「ザコキャラ」の戦い(?)も単なる蟲退治ではなく、親子の因縁をからめ丁寧に描いている。
 物語は現在と過去とがゆっくり交錯しながら、次第に密度を高めていく。

 オダギリ・ジョーのギンコ、なかなかいい。はまり役だ。ヌイは江角マキコでなくてもよかったか。タンユウの蒼井優もはかなげな容姿に、一本芯が通っていてよかった。這い出した文字を元の巻物に収めるシーンはCGも違和感無く、なかなか見ごたえがあった。

 そうそう、最近の時代劇は無菌社会の影響からか、登場人物がみな清潔すぎるきらいがある。その点、この映画は「臭う」ような人々が当たり前にいて時代を感じさせる。このあたり演出も上出来だ。

 残念なのはラスト。ぼかすのではなく、もっと明確に描いて欲しかった。ただ、これが蟲師の世界なのだと言われればそうなのだけれど。
 次回作がもしあるなら、ギンコ(とその仲間たち)VS強大な蟲というガチンコ勝負が見たい気がする。

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