ヒュー・グラント主演の映画を見る人は「あの感じ」を期待して見るだろう。この映画も「あの感じ」に満ちている。
期待通りにおもしろいってことは、もっと評価されていい。
ストーリーは特別取りあげるべきほどのものではない。
昔売れっ子、今落ち目のミュージシャン、アレックスに今をときめく歌姫から曲作りのオファーが。このビッグチャンスをものにしようと、即有名作詞家を頼んで曲作りを始めるアレックスだが、今ひとつ詞がピンと来ない。そんな彼の耳に、ピンチヒッターで植木鉢の水遣りに来ていたバイト、ソフィーの口ずさむ歌詞がすっと入ってきた。すったもんだの末、一緒に曲作りを始める二人だが・・・後は想像におまかせする(^^;
劇中で作られる歌がなかなかいい。それよりも一番強く感じたメッセージは、名曲は多くの人に向けてではなく、ただひとりの個人に向けて書かれる、ということ。
で、唐突だが昨日のエントリ、秋葉原の事件とつながる。
犯人の許しがたい行為だが、彼を追い詰めたものがあるというのも事実だろう(もちろん、言い訳にはならない)。彼は自分を追い詰めた総体に復讐しようとして、「群集」をターゲットにした。相手がマスだと思ったから「誰でもよかった」わけだ。
違うんだ。犯人が凶刃を振るったのは、肉親やらしがらみやら、もろもろの生活を背負った個人なんだ。ひとり、ひとり、それぞれの人生を歩む人間なんだ。
個人を見ることさえできていたら、という気がした。二日前に見た、この映画を思い出して。
この映画、二人の行く末も気を持たせていいが、アレックスと彼のマネージャー、クリスとの友情もいい。
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