しかし本作はそんな肩肘張らないで楽しめる作品に仕上がっている。タイムマシーンもコモディティ化し、付加価値で勝負する時代になったということか。
舞台は、とある大学のSF研究会。うだるような夏に、部室のクーラーのリモコンが壊れてしまう。そのリモコンが壊れる前に戻り、取ってくるためにタイムマシーンを使うという、H・G・ウェルズが聞いたら卒倒しそうなエピソードが軸になる。
突如部室に出現したタイムマシーンで、お気軽に昨日を訪問する彼らだが、やがてタイムパラドクスの怖さを知り、過去を変えないように奮闘するが・・・
タイムマシーンものに含まれるエピソードを過不足無く詰め込んではいるが、目新しさはない。しかし、この作品の面白さは別のところにある。
まず、学生がいかにもそれらしく描かれている。懐かしい感じに浸れる人は(オタク系を中心に)少なくないだろう。
部室に貼られている「スターウォーズ」や「ガンダム」のポスターも懐かしい。劇中で「ガンダム」の曲がさりげなく使われているのはちょっとした隠し味。(他にもファミコンの音なんかが使われている(^^; )
また時間軸を行ったり来たりする中で細かい伏線が生きるというタイムマシーンものの特性をうまくいかしているのは、監督(本広克行)の力量だろう。本広監督の次作『UDON』(自分は未見)に、本作に出ているうどん屋が登場するという遊び心もいい。
ただ学生たちのやり取りが、今見るとテレビのお笑い芸人たちのコントとかぶってしまうのは、どうなんだろう? どちらが熟成したのか、退化したのか。
薬局のまえに置かれている「マスコット」を部室に持ってきてしまうというノリについていける人にはオススメの1本。夏の暑いうちにどうぞ(^^;
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