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ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

筑摩書房

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 筆者の熱い気持ちに乗せられて一気読み。いや~実に刺激的な本だ。おもしろい。
 梅田氏によると、これからがWebの本番だという。(Web2.0というトレンドについても、もちろん言及している)

 筆者によると「次の10年への三大潮流」として、「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」を挙げている。そして「三大潮流? どの話も無料とかコスト低下とか、儲からない話ばっかりじゃないか」という反応は日本の大企業幹部に典型的な反応だそうだ。
 たとえば「オープンソース」。インターネット上で有志が情報を公開しながら、無報酬で、現代における最も複雑な構築物といえるOSなどの巨大ソフトウェアを完成・機能追加していく。彼らがこのプロジェクトに参加する動機は「おもしろいから」。
 おそらく、この感覚は20年前は皆無だったに違いない。もちろん問題がないわけではない。「おもしろいプロジェクトに参加するために、おもしろくない仕事を生活の糧のためにこなさなければならない」という矛盾を抱えているプログラマは少なくないようだ。このあたり、オープンソースという潮流にどう影響するか関心を持ってウォッチしたい。

 書き出しでも言及したように筆者のグーグルへの思いは熱く、ネットの「こちら側」と「あちら側」という表現をよく使う。「クライアントサイド」と「サ-バーサイド」に近い意味合いだ。その代表がそれぞれ「マイクロソフト」と「グーグル」だという指摘は面白い。つまり、ユーザーの手元に商品(ソフトウェア含む)を届けるか、ネットのサーバー上にサービスを用意するかという分類。この着眼点は新鮮だ。ネット上で世界を均一な経済圏と捉える(アフィリエイトの報酬額は先進国、発展途上国を問わず一定)ことができ、Web2.0がこれを後押しする。
 ジョン・レノンではないけれど「想像してごらん。報酬格差のない世界を」というわけだ。自分のホームページに張ったアフィリエイトから月5万円の収入があったとしよう。平均的な日本人と平均的なインド人とでは、その意味はまるで違ったものになる。

 本書に対して「楽観的すぎる」とか「インターネットの負の部分に触れていない」という指摘がある。それはそのとおりかもしれない。が、梅田望夫はこれらのことを織り込み済みでこの本を書き上げたのだと思う。
 それは野球のピッチャーが、敬遠ボールを決して160kmで放らないのと同じ。筆者のストライクゾーンではないのだ。

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