ポターの変人ぶりは聞いていた。映画ではほとんど描写されていなかった(32歳で未婚(ミス)の、絵画オタク?)が、動物をより正確に描くために、死骸を長時間煮込んで骨格標本を作ったとか、キノコのすばらしい細密画を描き百科事典に採用されたとか・・・
しかし、そこまで思いつめる人であったからこそピーターが誕生した。それにはポターの努力のみならず、運も大きく味方した。
絵本を出してくれる出版社を捜し歩くポター(レニー・ゼルウィガー)だが、冷たくあしらわれる。そんな中、出版しましょうと言ってくれる出版社兄弟がいた。ポターの思いとは裏腹に、彼らの目的は自分にも仕事をさせて欲しいという末弟に担当させ、その思いをくじくこと。しかし、この企ては思わぬ方へと転がる。
ポターの絵本は徐々に売れ始め、やがて末弟ノーマン(ユアン・マクレガー)とのロマンスが芽生える。そして二人は結婚することに・・・
だが二人が夏のバカンスで離れ離れでいる間にノーマンはあっけなく他界する。
ポターの絵の才能は父親譲り。頑固で成り上がりの父親は世間体などから、ポターの結婚には反対する。が、娘を愛していることは伝わってくるし、好感が持てた。
ちょっと変わり者だが、純粋で一本気なミス・ポターを「ブリジットジョーンズの日記」のレニー・ゼルウィガーが好演。二人の不器用だが誠実なロマンスはおおいに応援したくなる。
紙に描かれたピーターたちが動き出す演出もなかなかいい。
イギリス湖水地方の美しい風景と、それを守るために絵本の印税を惜しみなく費やすポター。ラストも見る者に微笑みをもたらすだろう。
久々に心温まるよい作品に出会った。
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