オープニングはミュージカル形式の短編で新鮮。犬を飼う人々のヒエラルキーを茶化してGood! ただ、全編、あのノリかと思うとちょっとビビッた(^^;)。
メインディシュは中村獅童扮する山田クンが主人公の、CM制作の物語。
ドッグフードのCMを手堅くまとめた山田クンだったが、上司、クライアント、起用タレントの事務所、メーカーへ企画を提出するたびに、企画はあらぬ方へ修正される、というストーリー。最終的にまとまったものは、ドッグフードのCMなのに犬も出てこない爆笑物。
自分のやりたいことがやれない現状に不満爆発の山田クンは、自分の部屋で幼い頃の思い出がつまった箱を開き、一枚の絵を取り出す。その絵には子供のタッチで、空き地に置かれたマンホールに少年と犬が並んで座っている、そんな光景が描かれていた。少年は幼き日の山田クンで、犬の名はポチという。ここから時代は遡る・・・。
あらすじを追うのはここまでにしよう。なんか、これ書いてて、もうヤバイっす。とにかく泣けるのだ(TT)。この、ポチにまつわるエピソードと、ラストの「マリエ」というエピソード。どのくらいヤバイかというと『アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス)』くらいヤバカった。(ちなみにアルジャーノンは今まで読んだ中で十指に入る名作。だから日本の同名ドラマは怖くて見ていない。)
ポチのラスト、山田クンは再びポチを藪の中に見失うのだが、それはやりたいことをやらせてもらえず、希望を見失った現在の彼を象徴しているようだった。「がんばれ、山田クン。君には未来があるさ」という見る者の内なる声は、自分自身へのエールだ。
心の汗を流したい方には、オススメの邦画。動物(犬)好きならなおのこと。
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