リドリー・スコットが一番この映画で語りたかったエッセンスが盛り込まれている訳で、マニア必見のカットである。
荒削りという点に関しては、オープニングが唐突だったり、ストーリーのわかりにくいカットの接ぎ方だったり、音楽やサウンドが2.5流だったり(いや、後半はできの悪いホラーかサスペンスかというくらいヒドイ(^^; )程度でそれほど気にならない(気にしてる?(^^; )
それより、屋台の親父が「2つで十分ですよ!」と言ってたのが天丼(?)のエビの本数だと分かった方がうれしかった。
劇中、レイチェルがピアノを弾くシーンがあるが、あの曲まで違っていたり。短調の暗い曲なので、これは一般公開版の単調だが明るいものに差し替えられて正解かな。
最後のシーン、デッカードとロイの対決は、一般公開版ではカットされたシーンが挟まっており、ややスピード感に欠けるものの、あのくらいの尺で描写してもらえるとロイに感情移入できてこれはこれでいい。
ラストはエレベーターのドアが閉まるところで終わっており、やはりリドリー・スコットの意思としては、ハッピーエンドの暗示はしたくなかったということを感じた。
しかし、5つの版があるなんて映画はそうそうないだろうし、ここまでの情念がなければ人をとりこにする作品はできないのだなあと感じた。
監督をはじめこの作品に携わった全てのスタッフ、ファン、マニア、そしてF.K.ディックに乾杯。
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