子どもたちの夢を実現するために キッズコンパス

子どもたちが持っている夢を叶えるため、小学校から実社会へ巣立つまでの学生生活を保護者とともに応援します。

起業家精神を育む(9)

2014-02-13 23:40:00 | 高等教育

 リーダー経験は早期から 早稲田大学教授 東出浩教

 企業において新製品の発売や新規事業のスタートを成功させ、顧客に価値を届けるには「チャンピオン」と呼ばれるリーダーが欠かせない。英米ではものづくりで活躍する「プロダクトチャンピオン」の需要が高い。

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 チャンピオンの仕事の第1段階は、社内で新たな製品やプロジェクトのアイデアを見いだすことだ。このときチャンピオンは企業内起業家(イントラプルナー)だ。第2段階ではアイデアを絞り込み、ビジネスプランを作る。第3段階で必要な人材や資金を調達。第4段階で会社の正式な事業になるまで指導する。この過程で社内の反対勢力からプロジェクトを守ることも大事な任務だ。

 職務範囲を超え、非公式な活動もしながらプロジェクトを形にする。

 やや古いが、1974年に米航空宇宙局(NASA)に対する米国のアロック・チャクラバルティの調査では、チャンピオンが存在したプロジェクトの大半が成功。ところが、存在しなかった場合は大部分が「さほど成功しなかった」だった。

 英米ではビジネスプランを作成するまでは課長を目指す30歳代がチャンピオンのイメージだ。人材や資金を調達する40歳代後半以降の幹部クラスはエグゼクティブチャンピオンとも呼ばれる。

 私の研究室に在籍した古村修平氏と私の共同研究(2012年)によれば、日本企業では実績と人脈を積み上げた40歳代のベテランが、チャンピオンの様々な役割を1人でこなす例が多い。企業がチャンピオンを育てるには、20歳代後半にはリーダシップ経験を積ませ始めなければならない。


子育て卒業 新たな飛躍Wの未来

2014-02-13 09:11:16 | 子どもたちが社会人になって

2013/10/11 日経

 

もう一つの人生

子育て卒業 新たな飛躍Wの未来

 

 

 「カリスマ駅弁販売員」。三浦由紀江(59)を周囲はこう呼ぶ。日本レストランエンタプライズ(東京・港)上野営業所次長。専業主婦を23年間、44歳でパートを始めた。上野駅の店に配属されるや1年間で年間売り上げを3千万円増やした。

 

  弁当はすべて買って食べた。「そちらは少し油がきつい。お年を召した方にはこちらの方が」。舌で確かめた助言で次々と売れた。

 

営業部長に抜擢

 

 大学在学中に結婚。3人の子供を育てた。大学生となった長女に「毎日ブラブラして、この先どうするの」と迫られた。働きたかったわけではなく、自転車で通える場所をたまたま選んだだけだった。

 

 いざ働きだすと、たちまちのめり込んだ。「勧めてくれたの、おいしかったよ」。リピート客の反応もうれしい。仕入れも任され責任が重くなるほど、やりがいは大きくなった。「専業主婦を楽しんだ後、別の人生を楽しめている」

 

 変圧器の輸入販売会社ワンゲイン(大阪市)が新規ビジネスとして昨秋発売した、災害時などに使う家庭用蓄電池。社内公募に案を出したのは、その半年余り前に事務職採用されたばかりの岸田真由子(41)だ。息子が小学生になり時間に余裕ができ、関西学院大学の再就職講座を半年受講した後、就職した。

 

 大型の蓄電池を片手で扱えるようキャスターと取っ手を付けたのが新商品の特徴。「緊急時は子供とつなぐために片手は空けておきたい」。主婦ゆえの着想だ。

 

 実力が認められ昨年12月に営業統括部長に抜擢(ばってき)され、海外出張も任される。「新卒生を集めづらい中小企業に主婦は宝の山だ」と社長の梅千得。

 

深夜に学び資格

 

 いつからでも遅すぎることはない。専業主婦の潜在力を家庭外で生かそうという、子育てが一段落した世代の雇用者は増えている。岸田のような大学の再就職講座の志望者も急増した。

 

 41歳で社会保険労務士になった石崎芙美子(47)は9月上旬、念願の事務所を岡山市で開いた。名刺には「働きやすい病院づくりコンサルタント」。医師や看護師が過労に陥らない環境づくりを目指す。

 

 短大卒業後に就職し20歳で結婚退社。2人の息子はもう大学生だ。子供が成長するにつれ「家庭での役割が一段落したら社会に役立つ仕事をしたい」と思うようになった。日中はパートで夜は家事。深夜の3時間、食卓で勉強した。

 

 資格取得直後に大学病院で女性医師の復職プログラムを手伝った。医療現場のワークライフバランス(仕事と生活の調和)を多くの病院に広げたいと開業を決意。「私が先駆者になる」とライフワークに据えた。

 

 「一寸先は光」。作家の桐衣朝子(62)は色紙にこう書き添える。35年の専業主婦生活後、昨年の小学館文庫小説賞を受賞した「薔薇とビスケット」でデビューした。乳がんを患い「このまま専業主婦として人生を終えたくない」と書いた作品。「頑張っても実現できないこともある。でも頑張らないと何も始まらない」

 

 一歩踏み出す勇気がWの未来を広げる。(敬称略)